Voices for future leaders修了生紹介

6期生

松前 俊史

松前 俊史Matsumae Toshifumi

大日本印刷株式会社
情報イノベーション事業部 
DXセンター プロモーション本部 本部長

  • 大日本印刷株式会社 
    情報イノベーション事業部 C&Iセンター 
    SP・SD本部 本部長
  • 大日本印刷株式会社 
    情報イノベーション事業部 
    DXセンター プロモーション本部 本部長

立命館西園寺塾を通じてのご自身の変化や成長について

西園寺塾を通じて私が得たものは三つあります。
一つ目は、次世代リーダー候補生である塾生や講師の先生方との出会い・交流によって、自分自身の想いや熱量をさらけ出し、自分なりの信念に向かって新たな一歩を踏み出す勇気と必要性を再確認できたことです。
二つ目は、様々な講師のなかでも特に企業経営者からいただいたリーダーとしての矜持です。講義や書籍、フィールドワークだけでなく、経営者からの実践的かつ経験に裏打ちされた説得力ある教えは、今後の自身のキャリアや人生を考えるうえで、間違いなく有益なものとなりました。
三つ目は、物事を空間的、立体的に俯瞰する視座(の端緒)を養えたことです。これまでも複雑な事象を構造化し、わかりやすく捉えなおすことは不得手ではないと思っていましたが、それはあくまでも眼前の事象に対する認識スキルであり、そもそもそうしたこととはまったく次元の違う軸を設定し、大局で世の中をとらえなおしてみることが重要だということに気づかされました。例を挙げると以下の通りです。

  • 知識軸(x軸)…リベラルアーツとは何か、資本主義とは何か、資本主義の行き着く先はどうなるのか、次代に必要な考え方、アート思考とは何か
  • 時間軸(y軸)…文明の誕生から人類がどのように発展してきたのか、資本主義やヨーロッパ的普遍主義、アジア主義や日本のナショナリズムがどのような歴史のなかで形成されてきたのか
  • 空間軸(z軸)…宇宙とは、銀河系とは、そこから見える地球とは、地球における各国や地域とは、アジアにおける日本とは、そのなかで日本が果たすべき役割とは何か

普段の生活において意識することのなかった、あるいは必要とする場面が少なかったこの3軸(と勝手に設定させてもらいましたが)をしっかり捉えて認識する力が、グローバルリーダーに必要な素養なのだと理解できました。何より、もし西園寺塾に通っていなければ触れることのなかったこれらの学びに出会えたことが、とてつもなく大きかったと改めて感じています。

特に印象に残っている講義・フィールドワーク・出来事はどのようなことでしょうか。また、その理由についてお教えください。

  1. 知識軸(x軸):京都フィールドワーク
    座学ではなく実学として、自分にとってまったく未知の領域であった茶道・華道・香道、そして日本庭園の嗜み方や座禅の機会を与えてもらったことは貴重でした。
    にわか仕込みの初心者レベルという極めて表面的な経験であったとは思いますが、それでも日本人として嗜むべき道、薫るべき文化、学ぶべき理を、非日常の時間と空間のなかで体験でき、知識として吸収できたことは財産になりました。
  2. 時間軸(y軸):堂目卓生先生
    知識軸(x軸)ということもできますが、哲学に対する抵抗がなくなり、何よりも「国富論」しか知らなかった私にとって、アダム・スミスの「道徳感情論」が大変面白く感じました。経済学者ではなく、むしろ心理学者・社会学者としてのアダム・スミスの思想や人間本性に対する鋭い洞察力により、18世紀イギリス社会・産業の光と闇の構造を理解することができました。同時に、歴史は変われども人として求められる倫理観は不変だということを学べたことも大きかったです。
  3. 空間軸(z軸):薮中三十二先生
    元々自分のなかになかった軸であり、かつあまり直視してこなかった「国際社会における日本と各国が果たすべき役割」というテーマについて、元外務事務次官としての考え方やこれまでの経験談をうかがうことができ、専門家である先生と自分、他の塾生との考え方の違いを比較することがよい訓練になりました。
  • 堂目卓生先生
    (大阪大学大学院経済学研究科教授)

今後の夢や目標を教えてください。

とかく自分本位になりがちな自分自身の生き方において、

  1. 今回学ばせていただいた「利他の精神」をどこまで貫けるか
  2. 貪欲に柔軟に、豊富な知識や新しい考え方を取り込むことができるか
  3. 変化やイノベーションを、周囲を巻き込みつつ恐れず楽しみながら生み出せる源になれるかだと思っています。

未来の西園寺塾 塾生にメッセージをお願いします。

いわゆる異業種交流的な研修は様々あると思いますが、1年近くにわたり多様なジャンルの本を読み漁り、自分の考えをレポートにまとめ、講義に臨み、講師や塾生と懇親を重ね、さらに反芻する…といったプログラムは、西園寺塾のユニークネスだと思います。そして、そこには、「人としていかに生きるべきか、そのためにはどのように知恵を働かせて行動するのか」というメッセージが常に込められています。
部屋に置かれている30冊を超える書籍とレジュメとレポートの束は、物量以上に気持ちの熱量があり、いつでも西園寺塾の空気感や塾生たちの様々な考え方を再確認することができます。刺激を受ける材料がこれだけ身近にあるというのは大切なことで、折々で振り返り、読み返すことで、自分自身を更なる高みに持っていけるよう日々研鑽したいと思っています。
『変化を先取りするか、変化を迫られるか。』 塾生の皆さん、応援しています。