子育て世代と大学生がつながれば、
少子化問題に影響が与えられる

熊本県益城町出身の私は、熊本地震によって改めて地域の人のつながりの大切さを感じ、自分にも何かできることはないかを考えていました。そんな時、滋賀県が「少子化対策学生プロジェクト事業」の企画提案を募集していることを知りました。
当時、孤独な子育てに悩むお母さんが多いという話を聞く機会があったので、地域におられる子育て中の方と大学生とがつながれば、子育て支援になると同時に、学生にとっても近い将来の結婚や育児などを考える良い機会になるのではないか、それらは少子化対策にもつながるのではないか。そんな考えを出発点に、仲間を集めてプロジェクト事業に企画を提案したところ、採択され、活動がスタートしました。
「つながり、混ざりあうことで少子化問題を解決」をテーマに、地域内外のNPO法人や企業などと協力しながら活動を行いました。少子化が深刻な長野の長野大学で意見交換会をしたり、子育てと仕事のライフワークバランスについて考えるパネルディスカッションを開催したり。私が考えていることを面白がってくれる他の学生が出てきたので、各人がやりたいことを複数のプロジェクトで一気に進めました。周囲から評価されたことがモチベーションになり、うまく波に乗ることができたと思います。

世代や地域を越えた
「つながり」を生む“しかけ”を作る

「少子化対策学生プロジェクト事業」は1年限りの事業だったので、活動を継続させるため、大学の「学びのコミュニティ集団形成助成金」に出願し、採択されました。大学に助成金制度があるのはとても恵まれていると思います。前年の「少子化対策学生プロジェクト事業」に採択された大学の団体の中で、活動を継続できたのは私たちだけでした。
今もさまざまなプロジェクトが進行中ですが、その企画の一つが「赤ちゃん先生」の開催です。NPO法人が赤ちゃんを連れてきて、学生が赤ちゃんと触れ合いながら、お母さんたちと様々な話をするものです。ちょうど子連れで議場に入った議員が話題になっていた時だったので、社会の問題を自分のこととして考えることができる良い機会になりました。他にも、少子化に関するシンポジウムを開催したり、高校生に授業をしたり…「つながり、まざりあうことで少子化問題を解決」というテーマに当てはめられること、世代や地域を越えた「つながり」を生むしかけを作っています。

個人ではなく、チームとして
社会に寄与できるように

この活動で地域の幅広い年齢の方と接して学んだのは、地域では大学生の発想と行動力が求められているということ、また、大学生は子どもたちのロールモデルにもなれるということ、そして、学外の団体と共に活動することで、自分たちの可能性を広げることができるということです。それに気づいたことで、「0→1.1」の活動を意識するようになりました。ゼロから1を作るだけではなく、他の団体がマネできるようなフックを作る。周囲への波及効果を生み出す活動にしたいと思ったからです。
私自身は、コーディネーターのような立場で、メンバーがやりたいことをサポートする立場に徹しながらプロジェクトを成功させることを自分の課題にしています。自分がいることで周囲に良い影響を与える存在になりたいのです。私個人ではなく、チーム全体として、どうすれば社会に寄与できるかを真剣に考えられるようになったのは、この活動を通して自分なりに学び、成長できた点だと思います。

周囲に良い影響を与えられるような存在でありたい

今、私は、学外のものも含め、他にもたくさんのプロジェクトを立ち上げ、進行させています。将来は地元の熊本県知事になりたいと考えているので、さまざまな社会問題に対して自分ならどう対応するかと常に考え、アクションを起こしているのです。卒業後は医学部のある大学に学士入学して医師になり、医療の面でも社会に貢献し、さらなる将来の夢につなげたいと考えています。
震災で実家が被災したとき、大学にはさまざまな面でお世話になりました。そのご恩返しの気持ちからスタートした活動なので、自分の存在や行動が、周囲の人や大学に良い影響を与えられるようにということを意識してきたつもりです。助成金利用のロールモデルになることも意識してきました。出願書類の書き方講座を開催したこともあります。新しいものをつくり、特には失敗もし、学内では出会えない人に会うのは、普通の大学生活では経験できないこと。ぜひもっと多くの人が、この助成金制度を利用して新しいことを始めてほしいと思います。

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