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<研究テーマ> 蓄電池スマートセンサーの開発

 

1.背景と目的

 リチウムイオン蓄電池は、自然エネルギー活用のための分散電源用や、電気自動車用など、20年後に約40倍の大型普及が見込まれます.温度変動や劣化変動を伴うリチウムイオン蓄電池を安全、効率的に運用するためには、蓄電池のリアルタイム制御・監視システムが必要とされます.そのような機能を持つ蓄電池スマートセンサーは、蓄電池の劣化診断、OCVやSOC、内部インピーダンスの精確な動的把握が求められます.また、広範囲に普及する大量の蓄電池使用ログデータを集めるために、データログの無線送信機能や、ゲートウェイを介して、インターネット上にログデータを蓄積するための仕組みを実装します.

 

リチウムイオン蓄電池の普及とスマートセンサの役割

 

2.特徴と成果

 リ チウムイオン電池をリアルタイムに監視し、蓄電池の状態を把握する蓄電池スマートセンサーを開発しました.拡張カルマンフィルタを用いた残量推定システムを実装し、さらに、無線によりゲートウェイを介してインターネットに測定データを自動蓄積する新規性の高い機能を実装することにより蓄電池管理技術を革新しました.

 

(機能)

● 拡張カルマンフィルタを用いた高精度残量推定システム(温度変動、劣化変動の考慮)

● 使用時の電流・電圧変化からの内部インピーダンス同定

● センサーネットワークによるデータ収集とビッグデータによる劣化診断、劣化予測

 

(特徴)

1.線形化工夫による精度向上 (International Meeting on Lithium Batteries 2014)

2. カルマンフィルタの負荷ノイズ最適化 (IEEE Vehicle Power and Propulsion Conference 2014)

3.高速・低負荷計算、マイコン実装,組電池対応

蓄電池スマートセンサーの構成

 

 

試作した蓄電池スマートセンサー

3.今後の展開

 蓄電池スマートセンサーは、従来の蓄電池センサーとは異なり、温度変動や劣化変動に対する特性補正機能を有します.蓄電池の置かれる状況が変化しても、正確に蓄電池残量等を計測することができます.また、OCVや内部インピーダンス等の常時計測が可能であるため、蓄電池の使用状態で劣化診断ができます.さらに、インターネット上に蓄電池使用ログを蓄積する機能を有し、大量のデータから機械学習により蓄電池劣化傾向の予測や寿命予測などにも対応できます.汎用性とセンサー機能の成長性を秘めたデバイスといえます.