重回帰分析による予測モデル


下表に示すような、ひとつの目的変数に対して2つの説明変数がある場合を考える。変数()の値が 組あり、  の 番目の値は、 と表記する。



◎ の  に対する重回帰式

 (1) 

すなわち、を予測する計算式を求めてみよう。(1)式の中の は定数項、は の  に対する偏回帰係数、は の  に対する偏回帰係数という。この重回帰式(1)に実際のデータ( 組の  )を代入して、最も残差(誤差)が少なくなるような係数  の組み合わせを以下の手順(最小二乗法)で計算することにより、重回帰式(1)を求める。

◎まず、組の中の1番目のの値と予測計算式の値の差を「実測と予測の残差」として

 (2) 

とおく。同様に第 番目の残差は、

 (3) 

と書くことができる。このような残差の二乗和

 (4) 

を最小にする  の組み合わせが最小二乗法で求める解となる。

◎(4)式を  で偏微分してゼロとおく。すなわち、

 (5) 

を得る。これを整理して書き直すと、

 (6) 

となる。これは、未知数  についての3元連立一次方程式であり、通常、正規方程式( normal equation )とよばれる。これを解くには、まず(6)式の第1式を で除し、各変数の平均を用いて  を表す。

 (7) 

これを(6)式の第2式・第3式に代入して変形すると、

  
 (8)
を得る。これは、未知数  についての2元連立一次方程式であり偏差平方和(変動)と偏差積和(共変動)の公式

 (9) 

を用いて変形すると、

 (10) 

と書くことができる。これより、最小二乗法により求められる重回帰式(1)の偏回帰係数は、

 (11) 

という形で計算することができる。