2021.1.26     

環境工学系研究室

卒業論文/修士論文 作成の手引き

 

樋 口 能 士     

1.卒業論文/修士論文作成上の注意

1) 基本的な注意

a) 言葉の使い方に注意し、研究報告らしい文体にするよう努めること。「私は」 「我々は」 等で始まる能動態の文章は基本的に使わない。また、「その」 「この」 等の指示代名詞もあまり多用しない。接続詞や語尾にも注意(ex. ・・・だ → ・・・である ・・・だから → ・・・であるため ・・・と思う → ・・・と考えられる など)。理工学系の論文では、文体の美しさよりも的確さが要求される。

b) 一文が長くなりすぎないように注意し、句読点の使い方にも気を配る。本文中、特に結論部分には、箇条書きなどを適切に使うと有効である。

c) 文章中に化学記号等を積極的に用いることは有効であるが、新規に用いた記号については、その直後に括弧書きで意味を明示する(ex. BOD(生物化学的酸素要求量))。また次元を持つ数値には、必ず単位を添えること(ex. BOD 200 → BOD 200mg/L)。

d) 数式は、研究および解析手法の核心を端的に表現するために用いるものである。したがって、重要な数式については、式中の各記号の意味および単位を添えて、本文中に記述する(ただし頻出する記号に限り、新規に用いた時点で記述すればよい)。全論文を通じた式番号を付けること。一方、多くの数式群を用いた場合には、表あるいはAppendix.(付録)を用いて、その内容を要領よくまとめるように努める。

e) 図表は、要点を的確に読者に伝えるために用いる。例えば、実験手順の記述にはフローチャートが有効であり、データの比較には表よりも図の方が一般的に有効である。また、実験条件、解析の前提条件(シミュレーションなどの場合)などには、表を用いると有効である。ただし、考察部分に必要以上に図表が多い論文では、かえって論点が伝わりにくくなるので要注意。

2) 論文の構成

 論文の構成は、基本的には以下の通りである。

表紙 (決められたFormatに従う)

目次 (通常の書物に同じ。各章、節の頁を箇条書きで紹介)

第1章 序論 (研究の背景にある社会情勢、研究の目的、研究内容などを端的に紹介)

第2章 研究の背景 (研究の背景にある社会情勢、既往の研究のまとめ等)

第3章以下 (性質の異なる複数の実験、解析を行った場合には、各章ごとに、実験(解析)手順、結果、考察、まとめ、のような節を作ってまとめる。各章には、実験(解析)の内容を端的に表現するような題名を付ける。)

例1   第3章 ○○に関する実験

     3-1 実験手順   3-2 実験結果   3-3 考察   3-4 まとめ

例2   第3章 実験内容   第4章 実験結果   第5章 考察

最終章 結論 (研究結果、今後の検討課題などを端的にまとめる)

謝辞 (指導教員を始め、研究に携わったメンバーに対する御礼の言葉)

参考文献 (後述のFormatに従って、参考にした論文や書物等を箇条書きで記述。ただし、文献の先頭の番号は、本文中の引用箇所の後ろに上付きで付された文献番号と一致するように。)

3) 論文のFormat

a) 全体

・ 論文の印刷に当たっては、用紙サイズを全てA4とし、上下20mm、左25mm、右15mmの余白をもうけること。

・ ページ番号は下端より10mmの場所、中央に振ること。

・ 本文は1ページ35行程度、1行45字程度とし、用紙の拡大/縮小率100%の場合にフォントサイズが10〜11ポイントの印字となるように出力すること。

・ 章が変わる場合は改ページをすること。また、章、節、項が変わる場合には、論文全体を通して同じ形式で、空白行挿入およびタイトルのフォント変更(通常タイトルは太字にする)等を適宜行うこと。

・ 本文は、図表を含み、卒論100ページ以内、修論150ページ以内を目安とする。冗長な論文構成は絶対に避けること。

・ 図表や数式が膨大な量になる場合に限り、これらを巻末あるいは別冊に付録としてまとめる。ただし原則として、本文の図表のみで読者が理解できるよう、最低限の図表は本文中に掲載すること。

・ 論文中に参考文献から引用した箇所があれば、本文であればその文末に、図表であればそのタイトル末に、上付で文献番号を付すこと。著作権の問題を意識して、引用文献の丸写しは絶対にしないこと。

b)

・ 図の表題は、最下部に太字で書く。

・ 原則的には、横軸にはパラメータ(経過時間、影響因子となる物質の濃度など)を、縦軸には目的項目を設定する。

・ 数値軸には、適当な間隔で、数値(外側)とともにキザミ(内側)を入れること。

・ 各軸には、軸外側の中心位置にその意味を記述し、数値軸には単位も必ず添えること。なお縦軸のコメントは、反時計回り90゜の状態で記述。

・ プロット等は、明確に分かる程度に大きく書くこと。

c)

・ 表の表題は、最上部に太字で書く。

・ 数値の単位は、できる限り、タイトル行(列)で代表して記述する。

・ 表中のデータに関する長いコメントは、脚注にまとめる。

d) 参考文献

・ 論文の場合

(文献番号 著者名 ; 題名, 雑誌名, 巻, 頁 年 の順で、おおよそ以下のFormat)

1) 衣笠太郎, 琵琶湖 清 ; おいしい水の研究, 水環境学会誌, 25, 96-106 (2006).

2) 草津花子, 右京 南 ; 琵琶湖の水質の実態, 第60回土木学会年次講演会要旨集, 197-200 (2006).

・ 書物の場合

(文献番号 著者編者名 ; 題名, 頁, 出版社 年 の順で、おおよそ以下のFormat)

(ただし海外文献では、頁, 出版社, 出版都市, 出版国(米国の場合は州) 年 の順)

1) 衣笠太郎 著 ; 水環境工学−基礎編−, 96-106, 立命出版 (2006).

2) Kusatsu H., Ukyo M. ; Environmental Studies, 96-106, UBC Press, Vancouver, Canada (2006).

・ ホームページの場合(官庁のページ等の信頼が高いもののみとし、書物等の引用を優先する)

("○○○○ホームページ" [○○には団体名を挿入] ; 該当ページの題名 [ウィンドウ上部にあるページ名] , URL [ページのアドレス] , 掲載日or閲覧日 の順で、おおよそ以下のFormat)

1) 環境省ホームページ ; 水質汚濁に係る環境基準について, http://www.env.go.jp/kijun/mizu.html, 2006年8月31日掲載

2) 滋賀県琵琶湖環境科学研究センターホームページ ; 水質調査(月表)2006年8月琵琶湖南湖, http://www.lberi.jp/asp/bkkc/Suishitsu/bkkcSuishitsuGhyoSearch.asp, 2007年1月31日閲覧

 

詳細については、先輩の卒業論文をよく参考にするように!

 

2.論文要旨の作成手順

 参考資料として、卒業論文ではA4で1頁あるいは2頁、修士論文ではA4で2頁の論文要旨を作成する。作成手順の詳細については、論文要旨Word書類をダウンロードしてその内容をよく読むこと。この書類の所定の箇所に要旨原稿を上書きすると、正しいフォーマットで書くことができる。この要旨は、論文提出後発表会前にメールの添付書類として樋口 higuchi@se.ritsumei.ac.jp まで送付すること。

 

以上