立命館大学 理工学部 環境都市工学科 インフラマテリアル研究室

English

研究内容

インフラマテリアル研究室では、「非破壊試験による材料(コンクリート,鋼材,ゴムなど)の損傷・劣化評価」,「環境負荷低減型コンクリート材料」,「コンクリートに関する新規用途開発」などを行っています。
今後も,私たちが安心・安全に暮らしていくために,現存するインフラの劣化の早期評価や新たな技術開発が不可欠です。また,本研究室では,「コンクリート+異分野」で実施している研究も多く,「防災・減災・環境」に着目した,未来のより良いコンクリート社会に繋がる幅広いテーマで研究を進めています。その中で,ほんの一部のプロジェクトを以下に示します。

材料・構造グループ(MSG)

ポーラスコンクリートに関する研究

ポーラスコンクリートは,空隙を多く含む特殊コンクリートの一つです。通常のコンクリートと比較して,透水性などが優れており,空隙内で植物を生育させることも可能です。近年では,琵琶湖や海域への実地試験も行っており,その研究成果から,水質浄化,動植物の住処としても活用可能であることがわかっています。このポーラスコンクリートについて,①空隙率や目詰まりの評価手法,②環境劣化がポーラスコンクリート表面のすべり抵抗に与える影響,③砂防分野における防災・減災への活用などを研究しています。特に③に関しては,砂防・地盤工学との異分野連携を進めています。

透水しているポーラスコンクリート

透水しているポーラスコンクリート

香水コンクリートの開発

コンクリートの新たな適用先として,香り+コンクリートに着目した研究です。本研究では,他大学の先生と共同で,芳香性を持った新しいコンクリート(Per-Con:パルコン)の開発を進めています。香料成分は有機物ですので,コンクリートの水和反応や硬化特性に影響します。それらの影響について,化学的な視点からも検討を進めています。一方で,香りの効果としては,芳香成分により香りが1週間程度しかもたないものも存在します。数時間,数日,数週間,数か月など,香り持続性のコンクリートなども検討しており,実際に商品化することをイメージして,香りの官能評価も進めています。この研究では,大気環境工学,人間工学などの異分野連携を通じて,新たな挑戦をしています。

ラベンダーの香料を加えたモルタル壁材と円柱サンプル

ラベンダーの香料を加えたモルタル壁材と
円柱サンプル

スラグ・副産物グループ(SAG)

スラグや産業副産物・産業廃棄物の利用による各種特性

近年,天然骨材資源の枯渇化・低品質化が問題視され,採取量が規制される地域が増加しています。それに加え,環境保全や循環型社会のために,産業廃棄物や産業副産物を有効活用する傾向も高まっています。産業副産物の中でも注目されているスラグ骨材を従来の天然骨材の代替品として高置換率で使用することが可能になれば,天然骨材の枯渇化・低品質化への対策と環境保全および循環型社会への寄与度を高めることができると考えています。しかし,スラグ骨材や産業廃棄物の置換率を上げていくと,ブリーディングの増大やそれに伴う強度低下など各種性状に負の影響を与える可能性があります。本研究室では,高炉スラグ(粗骨材,微粉末),電気炉酸化スラグ(粗骨材),琵琶湖から採取した底泥,下水汚泥焼却灰などを利用した研究を進めています。また,各種骨材とモルタル界面の接着状態が破壊過程に及ぼす影響について,非破壊試験法のアコースティック・エミッション(AE)法により破壊メカニズムの解明にも取り組んでいます。再水和による自己治癒効果の検証も進めています。

高炉スラグ粗骨材を使用したコンクリートのスランプ

高炉スラグ粗骨材を使用した
コンクリートのスランプ

圧縮破壊過程のAE計測

圧縮破壊過程のAE計測

非破壊試験グループ(NDTG)

RC中の鉄筋腐食早期評価

RC部材の鉄筋腐食は進展期以降でひび割れや錆汁が顕在化して判明することが多く,現在活用されている非破壊試験法も進展期以降で評価できる手法が多いです。この研究では,外観に劣化が顕在化する前に鉄筋腐食を早期評価できるか検討しています。本研究室では,AE法と電気化学的手法(自然電位法や電気化学ノイズ(EN)法)を組み合わせたハイブリッドスクリーニング技術について研究しています。この研究では,建築都市デザイン学科の福山先生とも連携して研究しています。その他に,補修効果の確認に関する検討も実施しています。

腐食促進中のAE計測とEN計測

腐食促進中のAE計測とEN計測

橋梁用ゴム支承の損傷評価に関する研究

橋梁の上部構造と下部構造の間に設置される積層ゴム支承は,免震対策として多くの橋梁で適用されています。特に,1995年の阪神淡路大震災後に急速に普及していますが25年以上経過しており,近年では,積層ゴム支承の劣化や地震後の破断が多く報告されています。しかし,劣化や損傷度を評価するための非破壊試験法がほとんど研究されていません。この研究では,AE法によるモニタリングを適用して,ゴム支承内部の損傷や劣化について非破壊評価する手法について検討しています。また,この研究では高分子工学や構造工学などの異分野連携を通じて研究しており,同学科の伊津野先生とも連携して数値解析による研究も進めています。

熊本地震で破断したゴム支承

熊本地震で破断したゴム支承

PAGE TOP