- 研究概要
- 「建築設計プロセス 建築意匠(伝統民家・景観など)に関する研究」
建築やプロダクトのデザインには、作業の手順としての「デザイン・プロセス」という考え方・学問領域が存在します。これは1960年代のアメリカやドイツで発達してきた概念で、主に工業デザインと建築デザイン分野で研究が行われてきました。
設計という行為は、無計画に進行するのではなく、(1)効率的な時間配分 (2)独創性のあるアイデアの生成 (3)クライアントとスムースな合意形成・設計意図の伝達 (4)表現力豊かなプレゼンテーション、などの目標をもって計画的に作業を行われることが一般的です。またこうした作業プロセスを意識的に操作することで、結果的なパフォーマンスが向上します。以上のような方法論について、スケッチなどの表現技法、企画分野で発達している発想法の援用などに着目し、実際のプロジェクトやコンペを通してプロセスの有効性を検証する研究を行っています。
- 研究室紹介
- 「建築意匠(デザイン)の価値とプロセスを考える研究室」

院生は建築設計におけるデザインプロセスの研究や、日本の建築意匠論に関わる基礎的な考察、民家と歴史的町並みの意匠サーベイ、歴史都市のコンテクストを維持したまま防火と耐震性を両立する歴史的都市建築意匠材料の開発研究などを行っています。
- 研究テーマ
- 建築空間デザインにおける発想法援用手法と創造性向上に関する研究
- 実務型設計プロセスの合意形成過程・案の発散と収束・評価基準の多様性に関する研究
- 日本の建築意匠の諸特性に関する研究
- 歴史的都市における防火と耐震性を両立する建築意匠材料の開発と、その意匠性の定量
- メッセージ
- 「コミュニケーションとしてのデザイン・プロセス」
都市や建築などの所謂「環境デザイン」形成過程では、デザインされたモノの是非もさることながら、これに関係する人々間の合意形成の在り方が非常に重要となりつつあります。近年、都市計画においては市民参加の重要性が、建築設計においてはユーザーニーズの多様化が度々指摘されているように、これまで作り手側だけで担われていたデザインプロセスが、社会的に開かれたコミュニケーションプロセスへと変革しています。こうした背景を踏まえて、従来のデザイン方法論をベースに、コミュニケーション・ツールの検討や、目的の共有化手法、合意形成の段階設定などの課題について、実践を通して体系化することが目下関心のテーマです。また、海外事例や共有嗜好された都市イメージ研究なども併行して行っています。教育面では、学生諸氏の基礎的デザインスキルの充実に加えて、デザインを通したコミュニケーション能力の向上に寄与したいと考えています。1990年京都大学工学部建築学科卒業。1992年パリ建築大学研修生。京都大学工学研究科助手を経て1998年4月より現職。建築設計・意匠論が専門。