Themes [最近の研究テーマ]
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1.生体計測に関する研究 |
生体計測は生体工学の第1歩です.日常生活の様々な場面での色々な生体信号を計測するための新しい生体センサの開発とその応用に取り組んでいます.
携帯型ディジタル生体信号モニタ装置:マイクロプロセッサを用いた超小型ディジタル・コンピュータ・システムを開発しています.生体センサと組み合わせることにより,日常生活の中で生じる種々の生体情報を知ることが出来ます.
ウォーキング/ジョギング支援システム:携帯型ディジタル生体信号モニタ装置とGPSセンサ,加速度センサ,心拍センサを組み合わせた楽しく,安全なジョギングを支援するシステムの開発.ウォーキング,ジョッギングは病院の生理学検査室で行われる負荷試験と同等と考えられ,その長期の生理反応のモニタリング結果の中から罹患兆候が未然にしやすくなると考えている (now suspended).
体内コンピュータならびに経皮電力供給,経皮ディジタル通信技術: H16〜18文科省都市エリア産学官連携推進事業からの発展として,コンピュータ,メモリ,センサなどの生体信号のモニタに必要な一切の要素を家畜の体内に埋め込み,その健康状態などをモニタするシステムの開発研究を実施しています.皮膚表面からの電力供給,経皮的な無線ディジタル通信技術の開発もプロジェクトの重要な課題です(農水省プロジェクト) (now suspended).
高齢者睡眠モニタリング・システムへの応用:導電布を利用した容量結合型電極をベッドに設置すると,パジャマを着たままで睡眠時の心拍変動をモニタすることができます.高齢者の睡眠モニタリングシステムへの応用を図っています(文科省知的クラスタープロジェクト,滋賀医大,三洋電機,イー・エス・ピーとの共同研究) (now suspended)
自動車運転時の心電図計測:心拍変動が覚醒度と密接な関係があることが知られています.車のシート内やハンドルに容量結合型電極を設置することにより,運転中の心拍変動を安定してモニタできる技術を開発しました(トヨタ,デンソーとの共同研究)
生体内信号源の推定(1):容量結合型電極の場合,信号源と電極の間に形成されるコンデンサを利用して信号検出を行うため,信号源が深い位置にある程,出力される信号は小さくなります.この点を利用して,体幹胸部の回りに複数の電極を設置し,心臓の電気信号源の位置を推定しました.その結果,心臓収縮期において,ほぼ心臓位置に心臓の大きさで信号源が回転する現象が確認されました.心筋梗塞など,心筋の異常の診断に利用できると考えています.また,インナーマッスルの筋電図計測への応用も検討しています.また,インナーマッスルの筋電図推定への応用を検討しています.
- 生体内信号源の推定(2):皮膚表面電極によって生体電気信号を計測する従来の方法を改良し、信号電極とグラウンド電極の間に抵抗を入れる.この分圧抵抗によって、信号減が深部に位置するほど、計測される信号の大きさが小さくなります.この分圧抵抗の値を変化させることで、信号源の大きさと深さの情報を同時に得ることができます.この原理を実現する回路開発、脳内信号、心電図などを対象とした生体内信号源の推定、足のむくみ計測などの応用を検討しています(H25~27科研費基盤(B)プロジェクト)
慣性センサによる運動計測とその臨床応用:話題のメタボリックシンドロームに日常運動が有効なことが知られています.加速度センサ,ジャイロセンサなどの慣性センサはヒトの運動,行動を手軽に計測できます.慣性センサを用い,運動,行動の様々なパラメータを計測する技術を開発しています.
日常行動のモニタ: 被験者の腰背部に加速度センサを装着させ,加速度データの基線変動から被験者の姿勢変動を,高調波成分の周期性解析から被験者の歩行/走行,乗車を自動分類することができる.更にGPSセンサを併用することによって,日常生活における行動地図をモニタすることができる (now suspended)
エネルギー消費の推定: 身体活動に伴う加速度変化は身体活動の大きさとよく一致する.更に加速度データの絶対値を一定時間毎に加算すると,被験者の一定時間毎のエネルギー消費とよく一致する.またその応用として,衣服の着易さ,靴の履き心地の評価を試みている.ヒトは衣服の着心地,靴の履き心地の違いによって,身体活動が僅かに変化する.このような僅かな身体活動の変化に対して,本エネルギー消費推定方法は敏感である.
身体活動量計測の応用: 身体活動量を指標とした整形外科的治療,リハビリテーションの定量評価(滋賀医科大学との共同研究),労働負荷の定量計測(阪大医学部との共同研究) (now suspended)
周期運動軌跡の推定:周期的な運動に限定した場合,歩行に伴う体重心の運動軌跡など,容易に運動軌跡を推定することができる.本方法によれば,衣服の中での皮膚の動きなど,画像計測手法が難しい場合に使用できる.また,この手法を用いて,要支援,要介護1・2の高齢者の歩行機能の定量計測システムを開発した(島根県,日本医師会総合政策研究機構との共同研究).また,歩行中の体重心移動の絶対軌跡を求めることにも成功しています (now suspended)
加速度センサの関節近傍設置方式による関節角度の計測: 測定対象の関節近傍に関節を挟みこむように加速度センサを配置すると,回転加速度,遠心加速度はほぼゼロとみなせ,加速度センサの出力の違いは関節角度にのみ依存することとなる (now suspended).
関節近傍設置方式を用いたスポーツ運動計測: 上記の加速度センサの関節近傍設置方式を用いると,ゴルフスウィング時の手首の運動など,高速な運動をほぼ無拘束計測できる.また,歩行速度計などへの応用も可能となる (now suspended).
その他の生体計測:これ以外にも新しい生体センサ,生体計測技術の研究開発を実施しています.
柔軟ポリマー曲率センサによる嚥下機能の計測:高齢者の嚥下性肺炎が問題となっています.新しく開発された柔軟ポリマー曲率センサを用い、嚥下機能の計測を試みています.将来的には誤嚥アラームを発することのできるシステムに仕上げたいと考えています(H26-26科研費挑戦的萌芽研究、大阪歯科大学との共同研究)
脳波計測・筋電図計測:脳波計測は脳機能の解明,ブレイン-マシン・インターフェイスの実現などに最も必要な生体計測技術の1つです.脳波計測を利用した脳機能計測に取り組んでいます.また,オーソドックスですが,筋電図計測は運動計測の基本手技の1つです.商品評価,開発に筋電図計測を役立てています.
メンタルストレス反応の計測: メンタルストレスに応じて心拍数,呼吸変動など,生理信号の変動が起きるが,運動をしても生理状態は変化する.しかし,運動に伴う生理信号の変動を差し引くことにより,メンタルストレスの程度を知ることができる.また,慢性のストレスの計測に関しては,胃の蠕動運動の光計測を試みている.日常よく経験するように,慢性のストレス下では消化器系の働きが鈍るからである.
ARモデルを用いた生体リズム活動の解析:心臓は自律神経系の影響下にあるので,心拍間隔のゆらぎを周波数分析することで,交感神経,副交感神経の機能を推定できると言われています.本プロジェクトではARモデルを用い,心臓系,呼吸系と運動系システムの相互作用を同定する研究を実施しています.
肩運動メカニズムの解明: 肩は人体中で最も複雑で不安定な関節と言われており,肩運動のメカニズムは未だ解決していません.形状を似せても,90°以上挙上できる肩の人工関節は未だないとも言われています.新しい人工肩関節の開発を目指して,肩関節の運動メカニズムを明らかにしたいと考えています(帝京大学との共同研究).
高齢者の転倒・骨折メカニズムの解析:WHOの運動の1つにセーフティプロモーション活動があり,日本では日本セーフティプロモーション学会が中心に安全,安心のまちづくりに貢献しています.この活動の一環として,高齢者の転倒ならびに骨折のメカニズムについて研究しています.まだ仮説の段階ですが,転倒時の筋力発揮が骨折の防止に大きな役割を果たしていると考えています(スウェーデン王立カロリンスカ医科大学,京都府立医科大学との共同研究) (now suspended).
腱張力に着目した筋力計測装置:高齢者の転倒,骨折に筋の機能低下が大きく影響しており,高齢者の筋力の直接計測の方法が求められている.個々の筋力の発生力を知る方法として,腱に着目した.腱は筋と骨をつなぐワイヤーとみなせ,その張力は筋力そのものである(スウェーデン王国カロリンスカ研究所との共同研究) (now suspended).
人の運動機構を模した2足歩行ロボット: 関節内に力学センサを埋め込む,ヒトの足構造を取り入れるなど,人運動機構の研究成果に基づいた2足歩行ロボットの開発研究 を実施している (now suspended).
柔軟な3軸力センサ: 靴底に入れ,踏んでも痛くない足底圧センサは実用化されているが,剪断方向の力まで同時に計測できるセンサはまだ開発されていない.シリコンゴムの内部にひずみセンサを埋め込んだ柔軟な3軸の力センサの開発を行っている (now suspended).
2. 生体機能操作に関する研究 |
21世紀の医療は遺伝子工学・タンパク質工学を駆使した再生医療(ハードウェアの修復),神経インターフェイスを介した神経調節機能への直接介入(ソフトウェアの修復),そして予防の3つが主役になると考えられています.当研究室では,特に2番目のソフトウェアの修復技術に着目し,侵襲/非侵襲の生体機能への直接介入技術を検討しています.
マルチ電極による神経-筋の選択的電気刺激とインナーマッスルの筋電図推定:神経束の特定 部位を電気刺激するあるいは特定部位の信号導出のため,マルチ神経束電極の開発と,刺激回路/計測回路の開発を行っている(H16〜18文部科学省都市エリア産学連携推進事業びわこ南部エリア「診断・治療のためのマイクロ体内ロボットの開発」プロジェクト,滋賀医大整形外科,立命・理工・小西研との共同研究) (now suspended).
他動的揺動運動がバランス機能に与える影響:新しい他動的揺動装置(SEW,ヤマハとの共同研究)を開発し,他動的な揺動がヒトのバランス感覚に与える影響を検討しています (now suspended).
エクササイズ機器としての自転車:手軽なエクササイズマシンとしてサイクリングが注目されています.ヒトの運動特性に合わせたパワーアシスト方法の検討を行っています (now suspended).
寝具内温度の制御による睡眠コントロール:睡眠深度は寝具内温度によって大きく影響される.寝具内温度をコントロールすることによって睡眠深度をコントロールする試みを行っている(三洋電機,立命・情報理工・知能情報・飯田研との共同研究) (now suspended).
VRと歩行シミュレータを組み合わせたバーチャル散策コース: メタボリックシンドローム予防のために日常的な運動の重要さが指摘されています.室内でVR空間を散策できる新しい歩行シミュレータを開発しています.また,VR空間での移動速度と実際の移動速度が異なった場合,運動にどのような影響を与えるのかも検討しています.なお,本研究に先立っては,方向転換,階段昇降可能なバーチャル散策コースを開発しています(歩行シミュレータの動画:直進歩行,階段昇降,方向転換,坂道歩行,横歩き (now suspended).