立命館大学理工学部物理学課程1回生授業
「ミクロ・マクロ世界の物理」 課題一覧(順不同)

                               by 小笠原 宏

「ミクロ・マクロ世界の物理」では、「つまらない高校物理=物理学」というイメージを払拭し、物理学の真の面白さや、研究の面白さを体感してもらうことを目的に、一回生を対象に開講している科目です。研究の面白さは、現象に内在する規則を見つけだすまでに色々な仮説・モデルを考えてあらゆる方向から考察・議論するところです。また、見出された規則性が意外な方面にも適用できるということを知ることも、物理学の面白さの一面です。

 この授業を受けても、体系的な知識は全く身に付きませんが、議論を楽しむ雰囲気が醸成され、学生一人一人が研究の面白さに目覚め、突っ走り始めるきっかけになって欲しいと願っています。

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Microsoft Excel の基本操作に慣れよう
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対数グラフに慣れよう。

直径1kmの月のクレーターの数は何個ある(フラクタル)

高速道路の車間距離・飛行機事故の発生間隔
(ポアソン過程)

ポアソン過程の計算機シミュレーション

ガウスの法則(重力・電磁力・熱伝導・流れ、なんでもござれ)

分布質量と重力(地球の中心はブラックホール?
        銀河円盤の重力と太陽の運動)

銀河回転パターンと質量分布(銀河とダークマター)

ダークマター源論争

地震計と波動方程式(マクロ的微分方程式)

近隣の平均値=保存場の方程式(ミクロ的微分方程式)

地球の温暖化予測(マクロ現象の微分方程式)

何がミクロで何がマクロか?

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99年度ミクロマクロ世界の物理 まとめ

 1)今年度、エクセルを導入した。効果は以下の通り 
     ポアソン過程 全体の難易度感減、修得度劇的上昇
     波動方程式  計算機得意層の面白度・修得度の劇的上昇
            計算機不得意層の面白度減
  物理現象の理解にエクセル導入の効果はかなり大きかった
  計算機不得意層のコンプレックス解消が課題。
 2)受講者を即席TAにしたてあげるという無謀な試みもした。TA役の受講者は喜んでいたが、そうでない受講者達の評判はいまいちであった。
 3)昨年と同じ課題については、昨年と同様な評価であった。
   難易度:難しいが挑戦する価値があるという評価が大多数
   ガウスの定理や場の方程式等、抽象的なテーマの受けが悪い。

***受講者の声****

[ポジティブな感想]
 ・これから出会う物理学の難しさ面白さを、身をもって実感できた。
 ・非常に興味深い授業だった。
 ・自分だけではさっぱりわからなくてもみんなで考えるとわかったりして楽しかった。
 ・この授業以外は重い授業ばかりだったのでこの授業は楽しかった
 ・この授業から物理の面白さがわかった
 ・この授業がなかったら、公式暗記物理を今でもしていたと思う
 ・大学のおもしろい物理を紹介するという目的は達成された。
 ・考え方を重視する点がよい。
 ・力学のみだと2回生のときに苦労していたかも。
 ・物理の勉強の目的はテストだったが、この授業ではテストがないので物理について自由に考えることができ、本当の面白さを少しわかったと思う。
 ・「ミクロマクロ」や「物理と数学」でやったことは、授業の高度なところで時々出てきたのでけっこうやりやすかった。
 ・力学がつまらないので、物理学科に入り力学しかなかったらいやになっていたかも。
 ・グラフを見て直感的にとらえることによって、物理への興味が湧いた。
 ・すべてのものが異質かつ変化に富むものでよかった。目新しさ、柔軟さがある。
 ・高校物理が公式暗記とは思っていないし、面白くなかったわけでもない。でも大学の物理は高校の物理とは違うということがわかった。
 ・高校の物理(幅せまい物理)からスケールの大きい物理になったかな。これから、使える物理を色々と学んでゆきたいと思っている。
 ・頭の使い方が少し変わった気がする。
 ・高校と全く違う感じで楽しかった。
 ・TAをやれてよかった。

[反省点・ネガティブな感想]
 ・雲をつかむような授業だった
 ・何をやっているのかわかりにくい ――――> 4回生になったらわかる???
 ・題材が自分で選べたらよかった ―――> バラバラに見えても一応考えてます。
 ・課題での質問が非常にわかりにくい
  ――>改善を試みます。が、君らが超過保護な環境で勉強させられていると気づかようと画策しているのも事実です。課題を発掘しようという意識を持てば、一つの問題をいかようにも発展させられるということを感じて欲しいと願っています。
 ・マニアックな用語や式をいきなり出さないで欲しい
 ・微分積分を物理で使わなかったし、いきなり専門的なことを言われるとわからん
        ―――――>わからないことはわからないと言おう。
              問答の中に面白いことがあることが多いですよ。
 ・課題が難しかった―>アンケートでは難しいが挑戦する価値ありという評価が多数
 ・考える時間がもっと欲しい。ゆっくりやってほしい 
        ――> 昼休み皆で議論しなさい
 ・狭く深く ――――――> 2回生理論物理学セミナーをお楽しみに
 ・討論形式もよいが、もっときちんとした形で答えを出してほしい
   ―――――>去年は答えを言い過ぎと言われて今年は変えた。どちらがいい?
         自分の言いたいことを言葉にして討論するというのは、
         自己表現の訓練として去年よりも成果があったと思う。
 ・高校物理がつまらないと決めつけるな
 ・いい問題を解けば高校物理も十分面白かった
     ―――>おおせごもっとも。この講義の目的は公式暗記人間の意識改革です。
 ・エクセルを使うときはTAを何とかして欲しかった
 ・全体的にコンピュータの説明が少なかった。―――>
   TA養成という名前の補習は成功したが、来年は要所にTA本格導入を考えます。
 ・題材をやるときは面白いが評価をつけられるのがいや
        ―――>こちらもいやですが、そうしないと一部諸君は勉強しない。 
            困ったものである。