マイクロコネクタの研究開発

最先端半導体IC技術の発展によりSOC(システム・オン・チップ)と呼ばれる高機能LSIが製造可能になり、それを用いた小型・軽量・高機能電子装置が開発されている。それに伴い装置内に使用される接続用コネクタも更なる小型化が要求されている。本研究では厚膜レジストを用いたUVフォトリソグラフィと微細電鋳技術を組み合わせることによりピッチ80μmのマイクロコネクタの製作を行った

従来品と比較した場合、既存のコネクタは、プレス加工・射出成形で製作しているためピッチ300μm以下の加工が困難である。厚膜レジストを用いたUVフォトリソグラフィと微細電鋳技術を組み合わせることによりピッチ80μmのマイクロコネクタの製作を目標とした(Table.1)

SiO2付きのSi基板を用いる。その上に犠牲層およびコネクタ接点の電鋳用種層としてCr/Niを真空蒸着により形成する。フォトリソグラフィにより犠牲層のパターニングを行い、Cuを電鋳し犠牲層を形成する。厚膜レジストを用いてコネクタ接点の電鋳用の型を形成する。Ni電鋳した後、厚膜レジスト、Cu犠牲層、Cr/Ni種層の順に除去を行う。最後にNiの防食を目的としたAuめっきを行う(Fig.1)

Si基板上にピッチ80μm、厚さ50μmのフォークタイプのコネクタ端子を製作することができた。厚膜レジストで形成したNi電鋳用型のアスペクト比は最大5に達成し、テーパ率は2%であった。マイクロコネクタの強固な嵌合と正確な接続を得るために2段階のガイダンスを採用した。また、製作したコネクタ端子単体を嵌合させ、接触抵抗を測定したところ約50mWの値を得ることができた(Fig.2Fig.3)。

 

Table.1 従来品との比較

 

Fig.1 製作プロセス

 

Fig.2 製作したマイクロコネクタ

 

Fig.3 実装したマイクロコネクタ