2002年10月31日(木)
<<出張の嵐>>
午前は数理モデル論の講義。受講生は7名。イデアルの根基、根基イデアル、 ヒルベルトの零点定理とその代数幾何学的意味、簡単な例など。水曜日の代数 曲線論の講義と内容的に似たような事を、似たような感じの教室で、似たよう な数の学生を相手に話し、さらに受講生のうち2名は重なっているので、 どちらで何を喋ったのかがだんだんわからなくなってくる。

午後は卒研ゼミ。5回生I君は巾零群のところでまた"かたつむり"始め、結 局数行しか進まず。4回生M君はグレブナー基底の基礎理論のところをほぼ終 て、次回から消去理論などのグレブナー基底の応用へ入りそうである。

明日から11月中旬ごろまで、東京出張、京都に戻ってゲーテ、大阪出張 とその途中抜け出してかんがん飛ばすぜ線形代数の講義、および、俺が出張を 抜け出してまで来てるのにぬけぬけと欠席する人は来年の科目担当がどうなる か知らんから覚悟せよ!の巨大雑用がらみの教室会議、ふたたびゲーテ、そし て京都出張という具合に出張の嵐が吹き荒れるため、日誌の更新はいつになる か不明。

2002年10月30日(水)
<<わけのわからない粘っこさ>>
何だか追いたてられるようにして一週間があっという間に過ぎてしまう。気が ついたら今日はもう本当の闘い・真剣勝負・今週もがんがんとばすぜ覚悟しろ! の線形代数の講義の日だし、10月も末である。追いたてられる毎日というの は、一週間のような短期的周期はあっという間に感じられるけど、一ヵ月のよ うな中期的周期はとても長くも感じられる。10月の初旬頃のことなんてとっ くの昔の事のように思えて、「それでもまだ1ヵ月も経ってなかったのか」と いう気分。

午前の代数曲線の講義は、Zariski位相の話の後、射影代数的集合の座標環 の話、射影代数多様体の次元および素イデアル鎖の関係など。眠り天才くんは 苦し気なため息を吐きながら眠ることなくノートを取っていた(えらい、えら い!)。他にMぴー君、うちの卒研ゼミのM田君、情報学科から来たS藤研の人、 夢見るH研の学生さんらしいけど解析やってる人が代数の講義聞いて大丈夫な のかしらの某君。本日の受講生は以上の5名。僕は代打じゃありませんのH沢 君とか、他2、3名の諸君は欠席の様子。今日の話は彼らにはかなり難しかっ たらしいけど、来週は休講だからひと息ついとくれ。

昼休みは、一回生が線形代数の質問に来た。質問するだけでなく、何 故か質問しようと思うに至った経緯などを綿々と説明し「...という状態だっ たのですが、今日この質問に対してこのような解答を得たので、これからは...」 と今後の学習上の展望まで説明してくれる。こういうわけのわからない粘っこ さは、いかにも数学の学生らしくてよろしい。

線形代数はがんがん飛ばし、やっと4ページ弱進む。この調子で11月末 から固有値・固有ベクトルに入ることができないかしら。講義の後、来週分の 講義の準備。週末から来週にかけて出張などが続くので、逆算すると今やって おかないと後がしんどい。

小一時間程巨大雑用に取り組んでから帰宅する。

2002年10月29日(火)
<<真面目>>
午前の3回生F君の可換環論自主ゼミと午後の自家養成サクラI君の代数幾何学 院ゼミのため、朝から出勤。自由加群、ケイリー・ハミルトンの定理、捻れ3 次曲線に類似した具体例の計算、整拡大など。昼休みは昼食と巨大雑用。院ゼミ の後は野暮用のため、早々に帰宅。夜はドイツ語の予習など。

そういえば、今居る二人の卒研生の配属が決まった去年の今ごろ、たぶん 一人は就職活動と卒業単位取得に忙殺されゼミを休みがちになり、もう一人は 何となく行方不明になって、事実上卒研ゼミはほとんど開かれない事になるだ ろうと予想した。これは情報学科時代の経験からすると自然な予測である。と ころが実際は、一人はさっさと就職が決まってしまい単位も卒研以外はとっくの 昔に揃っているらしい。もう一人は単位取得にはやや苦労しているようだが、 行方不明になる気配は皆無である。かくして卒研ゼミは極めて規則的にほとん ど潰れることもなく順調に続いている。皆さんとっても真面目である。

2002年10月28日(月)
<<事実上確定>>
巨大雑用の一貫と健康診断のため出勤。私は健康診断が大嫌いである。健康診 断は医者が自分で治せる病気だけ見付ければ良いものを、時には治せもしない 病気まで見付けて「あなたはこういう病気にかかっています」「え!?治るん ですか?」「治りません」「えー!?」といった馬鹿馬鹿しい展開になる。治 せないのなら、痛くもない腹を探って人の人生を引っかき回すような事をせず に、そっとしておくというのが最低限の礼儀というものだと思うのだが。

来年度の卒研は1名で事実上確定した。卒研ガイダンスでは表向きには言 わなかったけれど、来年度はもしパソコン好きの学生が居れば数式処理システ ムSingularを使いながら可換環論を勉強するって事もやってみようかと思って いたのだけど、今度入ってくる学生は計算機は大嫌いだそうである。ま、私も 計算機嫌いを標榜しているけどね。他のゼミへの志望者の集まり具合や顔ぶれ などを見ていても思うのだが、学生というのは担当教員の本質をちゃんと見抜 いているようだ。

卒研ゼミのテキストはおそらく桂利行「代数幾何入門」(共立講座21世紀 の数学)、あるいは、石田正典「代数幾何学の基礎」(培風館)のどちらかを学 生に選ばせることになろうと思う。

2002年10月27日(日)
<<ぶらぶら>>
快晴、そして寒いと言ってもいいような陽気。午前中は近所を自転車で駆け回っ て野暮用。午後は今秋初めてジャンパーをはおって、山科SBUX、京都駅前ホテ ル京阪をハシゴ。夕食もホテル京阪で食べて、食後はアバンティー・ブックセ ンター。本を冷やかすわけでもなく閉店間際までただぶらぶらしてすごず。

2002年10月26日(土)
<<一見効率的な生活>>
午前中は"来週もがんがん飛ばすから覚悟しておけ"線形代数の講義の準備。午 後はゲーテでドイツ語。一旦自宅に戻り、夕食後はラクト・スポーツクラブ。  移動時間の読書はHartshorne"Algebraic Geometry"の微分形式の章など。何 とか日曜日にでもまとまった時間を作って計算の見直しなどをやりたいのだけ ど、こういう「一見効率的な生活」を送っていると疲れが溜まってまた昼寝を してしまいそうだ。

2002年10月25日(金)
<< 卒研ゼミ志望先登録 >>
巨大雑用のこともあって、昼食後に出勤。巨大雑用とは言え、ずっとそれにか かりっきりというわけでもなく、事務方に資料を請求してそれを待ったり、追 加の資料を請求したり、連絡のつきにくい人に時間をおいて繰り返し連絡をし たりといった事も多い。従って週何回かの出勤日に集中的に片付けようとして も、なかなかそうは行かないわけだ。

今日は来年度の卒研の志望先登録の締め切り日。極端に人気のあるところ と極端に人気の無いところに分かれてしまい、各ゼミに定員があるから学生同 士で自主調整せよということになっているものの、なかなかうまく行かない。 学生定員が70名程度にとどまっているからまだ何とか平和的調整ができるの だが、学生定員が大幅に増えたときの卒研配属は情報学科の例で見るように悲 惨の一言である。

私のゼミには18時前ぐらいの段階で1名が志望していたが、その後増え たのか減ったのかは知らない。

2002年10月24日(木)
<< H沢君のオブジェクション >>
午前中は数理モデル論の講義。体のイデアル論的特徴付け、多項式環のイデア ル、イデアルと代数的集合の間のI-対応とV-対応の定義と簡単な例。今日もノー トに忠実に淡々と講義を進め、ノートの不備をひとつ見付けた。

そういえば、昨日の帰り際にK川先生の部屋でH沢君に会ったのだが、彼は 「代数学IV(代数曲線論)のことですが...僕、(Mぴー君の)代打じゃありません!」 (10月16日(水)の日誌参照)とオブジェクション。確かに今週はMぴー君 とH沢君が同時に教室に居たから、不確定性原理か何かを仮定しない限りH君の 代打説は否定されたことになる。ここにお詫びして訂正いたします。

昼休みは昼食もそこそこに教務委員の巨大雑用に取り組む。

午後は卒研。交換子群、降中心列、可解群、巾零群、および、ブーフバー ガーの基本定理の証明など。

卒研後も教務委員の巨大雑用で残業。

2002年10月23日(水)
<< S藤先生のオブジェクション >>
昨夜夜中にふと目をさまし、教務委員の巨大雑用をどうしたものかとか数学と か考えているうちに明け方まで眠れなくなり、睡眠不足のぼんやりした頭をか かえて午前は代数曲線論の講義。多項式環の斉次イデアルと射影代数的集合、 射影代数多様体と素イデアル、整域、多項式環の剰余環の定義など。

昼休みは昼食もそこそこに雑用に励む。教務委員というのは今の時期が一 年で一番忙しいものらしい。

途中S藤先生が血相を変えて私の部屋になだれ込んできて、昨日の日誌の 「可哀想理論」は何だ!?と激しいオブジェクション。何が「何だ!」なんだ?! とか色々押し問答した結果、S藤先生の可哀想理論は「高山が計算機屋をやっ ていた頃はその存在を否定できないが、高山が純粋数学に転向して以降は断固として存在しない」と いう統一見解で合意に達する。ということで、昨日の日誌は微妙に変更されて います。

午後の講義は真剣勝負の線形 代数。冗長と思われる部分を大胆にカットし、さらに90分間息をも継がずに せっせと板書することにより、4ページ弱進む。講義の後、そのクラスの学生 と算太郎が揃って線形代数の質問に現れたので、対応する。

夕方以降はまた教務委員のお仕事に忙殺される。非常勤講師の先生を教室 で捕まえたり、来年度海外留学予定のA堀先生の講義の都合、 極めて現実的かつプラクティカルな人間ではあるものの、しかしながらもしか してそれが故に「彼がそこに"居る"」という感覚を突き抜けた夢見る人たる存 在の予感を放ち続ける夢見るH先生(略して「夢見るH先生」)と再々履修科 目の取扱などを聞いてまわる。

2002年10月22日(火)
<< S藤先生の可哀想理論 >>
本日、自家養成サクラI君の代数幾何の院ゼミが午前午後ひとコマづつという、 代数幾何デー。ウエストウイング最上階角部屋のゼミ室から見える琵琶湖を眺 めながらの優雅なゼミである。I君は1日に2コマもゼミをやってもらえてラッ キーとか言って喜んでいるようだ。ゼミのあとは教授会。 教授会の後も20時半頃まで残業。

昼休み時間に、学生数人が来年度の卒研の事で質問に来た。
-- 来年度はどういう風に卒研を進める予定ですか?
「それはどういう学生が集まるかによりますが...」
-- 卒研生が5人とかそれ以上とかになったらどうするのですか?
「そんな事態に陥った事がないからわかりませんねー」
(要するに何にも考えて無かった事が暴露された形。大体学生が卒研に ついて問い合わせをしてくる事自体が珍しいので、何の心の準備も なされていない。)
-- テーマは学生に合わせて選んでくれるんですか?
(ここで、霞がかかっていた頭がすこしはっきりしてくる)
「そういえば、ここ2年程"私は数学落ちこぼれです"and/or"代数さっぱ りです"という学生相手に群論再入門ゼミをやっているけれど、3年連続で群 論再入門はやりたくない。テキストは色々相談の余地はあるけれど、テーマは 可換環論か代数幾何学で決まりです!」
(こう言い終えて、自分が何を考えていたかをやっと自覚し始める。誰か と会話を重ねることによって初めて自分が考えている事が自覚できる典型例で あろう)

(話題は少し変わって)
-- 高山先生は怖いですか?
(普通、怖いですか?と聞かれて怖いですよーと答えるかね?いや、でも 数学者なら怖い事を自慢する人も居るかも知れないな。怖くなければ数学者じゃ ない!俺は怖いぞー!ゴオー(口から火を噴く音)!なんてね。)
「うーん。Kaz先生よりは怖くないと思います」
(Kaz先生より怖い先生は世の中に存在しないから、それではほとんど 何の答にもなっていない)

後ろの方の学生達は、「じゃあ○×先生よりも怖いのかしら」「○×先生 よりも優しい先生はこの世に存在しないから、それは何を言ったことにもなら ないじゃないか」などと話ている。

「隣の部屋のS藤先生は、ぶっきら棒だけど性根が怖いわけではない。それ どころか『学生が可哀想!学生が可哀想!』と大いなる慈悲の御心の持ち主で ある。私はぶっきら棒ではないけど性根はどうかなあ。S藤先生から見れば怖 い先生なのかも知れませんね」

ところで、私はS藤先生の専門の内容の概要というか雰囲気が大体掴めるけ れど、S藤先生は私のやっていることがさっぱり分からない、というよりも関 心が無い。これは今も昔もあまり変わっていない。私が計算機屋だった頃、S 藤先生はしばしば「高山は俺が分からない(興味が無い)ことを学生に教えよう としている。それはきっと学生にもわからない(興味が無い)に違い無い。わか らない(興味が無い)事を勉強されられる学生は可哀想だ!」というような事を 言ってきたので、「阿呆!無茶苦茶言うな!」と喧嘩になったものである。これをS藤 先生の可哀想理論という。私の下で勉強させられる学生はみんな可哀想なので あり、学生を可哀想な目に合わせている私は酷(ひど)い人間だという訳だから、 学生に対して割合クールな私としても黙っちゃおれなかったわけである。

純粋数学者に転じた今、S藤先生の可哀想理論は消滅したらしいのだが、 可哀想理論の余韻は今も私の胸にかすかに響いている。

2002年10月21日(月)
<<昼寝>>
めっきり涼しくなってきた。本日午前中は自宅で仕事。午後から雨があがり、 夕方まで自宅で仕事。ここんところ気ぜわしくやっているうちに疲れが溜まっていた のか、途中ちょっと横になったら2時間近く昼寝をしてしまっていた。夕食後はラクト 山科のスポーツ・クラブへ。

2002年10月20日(日)
<<落とし穴>>
午前中は自宅で過ごし、午後は最近のお気に入りスポットである山科駅前SBUX、引 き続き京都駅前ホテル京阪のラウンジで過ごす。午後はずっと雨。

ここんところ何だか気ぜわしくって、朝も昼も晩も時間があれば何かやる事を見つ けてせっせと働いているような感じである。まとまった時間ができたから、気になってい た計算をやってしまおう。こま切れの時間しかないから、講義メモ作りやその他諸々の 雑用をやろう。こま切れの時間しか無いし机の前に座れる状態でないから、あの本の 続きの解読でもやろう(私は机の前に座って本を読むことはあまりない)。時間は少し あるけれど、頭がぼんやりしてきたからドイツ語の予習でもしよう。何だか気分的に疲 れたから、自宅PCにインストールされたsingularの使い方を調べよう。頭はぼんやりし てきたし気分的にも疲れたから、スポーツクラブに行こう。頭はぼんやりしてきたし気 分的にも体力的にも疲れたから、もう寝よう。まあ、こんな調子である。私は毎日一定 時間ぼんやりしないといけない体質なのだが、お気に入りスポット間の移動時間は ぼんやりできる(だから大抵ぼんやりと歩いている)。

こういう一見効率の良さそうな勤勉な生活は、そこそこ自己満足をもたらしてくれる けれど、何か落とし穴があるような気もする。落とし穴の一つは、こま切れの時間だけ の状態がずっと続くと、まとまった(時間を要する)仕事が何もできないことである。 まとまった時間は、細々とした仕事をさぼり倒して無理矢理作らないといけないのかも 知れない。

2002年10月19日(土)
<<靴を買う >>
午前中は、来週もガンガン飛ばすべく線形代数の講義メモ作り。午後は同志社包囲 網のゲーテ。ゲーテの後、雨の中を四条大丸と高島屋を回って靴を買う。私はかれ これ10年近くスポルディングのあるタイプの靴と決めている。今履いているのはエッ センに滞在する直前に買ったもので、ちょうど2年後の今靴底に穴が空いてしまい、 とうとうお払い箱になってしまったのだ。今までの人生の中で最も楽しかったエッセン 時代の記憶は今でも鮮明なままだけど、それ以外のものはどんどん朽ち果てて行く。

夜は線形代数の講義メモ作成の続きを少しやって、ドイツ語の宿題をやる。

2002年10月18日(金)
<< 得意だけど大嫌い >>
大阪で高校の数学教師達の会合に呼ばれ、入学試験や数学教育などについて色 々意見交換をしてきた。

最近は、理工系でも「高校時代に数学が得意だったけれど数学は大嫌い。何が 悲しくて大学生になってまで数学を勉強しなければらなないのか」という奇妙な事を 言う学生が多く、これでは大学教育のレベルが維持できないと頭を抱えている学科や、 それなら数学の授業は『うちは理工系の学科だ』という事を言うためのアリバイ程度に やっておけば良いではないかという声まで上がる学科まで色々あって、それぞれ頭の痛い問題が 生じている。

一体、高校以下の数学教育の現場で何が起こっているのだろう。上記のような事 を言う学生がほとんど見られなかった20年ぐらい前と比べて、授業や先生達が変わっ てしまったのか。それとも生徒が変わってしまったのか。何かが変わったのならば、本 質的に何がどう変わってしまったのか。そういう事をずっと疑問に思っていて、高校の 先生に会う機会があるたびに聞いてみるのだけど、はっきりした答は返ってこない。今 日訊ねた先生からも、やはりこれといった答は得られなかった。

情報学科時代に上記のような事を言っている学生を2,3名知っていたが、彼らは 高校数学を全く何も理解していないにもかかわらず、模擬試験や入試等ではそこそこ 以上の得点を稼ぎ、自分でも数学が得意と思っているらしかった。彼らの事を知って以 来、正直言って一所懸命色々知恵を絞って入試問題を作るのがちょっと虚しくなってし まった。

2002年10月17日(木)
<<末法の世?>>
午前中は数理モデル論の講義。本日学生は12名前後。途中から眠りこけてい る学生が居たが、彼はいかにも「数学の講義に出ている情報学科の学生」らし くてよろしい。 情報学科の学生達って、あんなに判で押したように数学を毛嫌いするなんて、 よほど悪い物でも食べて育ったのだろう、可哀想にと思っているのだけど、それ ではこの教室で黙々とノートを取っている学生達は一体何を考えているの だろう。まあ、何でもいいか。 とにかく講義ノートに忠実に淡々と心を込めて 講義しているのだが、そうするとノートの不備がいくつか見えてくる。

昼休みは昼食もそこそこに雑用の山の一角をせっせと切り崩す。今日は教 務課事務に行ってせっせとお仕事。独立法人化への準備でひっくりかえっている 国立大学の某先生は「うかうかしていると昼飯も食べ損なう程忙しい」と言っ ていた。 かつては「研究時間がたっぷりあっていいだろうな」と憧れの的だった 国立大学でそんな事があるのかねと思うのだけど、末法の世とはその ようなものなのであろう。

午後は卒研ゼミ。群の準同型定理、同型定理、卒業アルバム写真撮影、二 日連続の夢見るH先生、グレブナー基底の性質、S-多項式とその例など。

明日は雑用のため大阪出張。

2002年10月16日(水)
<<本当の闘い>>
午前中は代数曲線論の講義。射影空間とアフィン空間の間の座標変換、アフィ ン代数的集合、平面代数曲線と空間代数曲線の定義方程式の数、射影空間にお ける多項式の零点集合の考え方など。Mぴー君の代打[では無かったことが後に判明]として(?)H沢君が現れる。気 を失いそうになるのを必死でこらえている眠り天才君がいじらしい。彼が陥落 する日はいつか?

本当の闘いは午後の線形代数の講義である。教室に向かう途中Ar先生と一 緒になり「二次形式の標準化(の入口)まで講義すべし!」なる御宣託を賜わり、 せいぜい固有値と固有ベクトルのところまで行くのが精一杯だろうと思ってい た私は「これはえらいことになった」とまなじりを決して教室に入る。例によっ てメモを使いながら息つく暇無くハイ・テンションでせっせと講義を進め、ど うにか教科書3ページをクリアする。うーむ。毎回このペースを維持しないと いけないな。

その後、教室会議を経て来年度の卒研ガイダンス。10月11日の日誌 で示した素案プラスαの内容を説明する。今日も雑用の山の一角を切り崩す ために「残業」してから帰る。