ぎっくちゅ


なにせ、出向元の○○製作所ではIBMコンパチの計算機しか使ってはいけない ことになっていて、ICOTに来てからというもの、アメリカ製の計算機が思う存 分使えるのが嬉しくて嬉しくてたまらないのである。

DEC2060をしゃぶり尽くしてそろそろ飽きて来た頃、商品化されたばかりのSUN ワークステーション買わせて、TeXを導入して、プリンターをポストスクリプ ト対応の物にかえさせて、LANを広域ネットワークに繋げて、色々なシステム チューニングや性能解析をして、日本における先進的ユーザの草分けとしてつっ走るので ある。

システム管理は私の天職。楽しい作業は楽しい徹夜で。嬉しい作業も嬉しい徹 夜で。目の下の隈(くま)は、楽しく嬉しい毎日が、正しく機能しているシステ ム・メッセージなのだ。高山なる男が、「ぎっくちゅさんは、あれで結構色気 のある美男子なのだけど、目の下の隈には鬼気迫るものがありますなー」なん て行ってるけど。楽しく嬉しいことは、やめられない。

先進的ユーザとして正しくないマシンの使い方をする輩は、目の下の隈の 名において断固として断罪する。時代遅れの石頭上司には、目の下の隈が 黙っちゃおれない。ネットワークの障害が起きると、目の下の隈が私に 精気を呼び戻す。

「子ゆえにこそもののあはれは、おしはからるれ」(徒然草).

この人は、この言葉の強力な反例である。私はこの人に奥さんがいて、子供を 風呂に入れたりしているなんてとても信じられない。

<<註>>: 若い時にこういう超一流の”計算機使い”を見てしまうと、生半端な システム管理なんて馬鹿馬鹿しくなってくる。同じ時期に真の天才プログラマー と呼ぶべき人2名程と一緒に仕事もしたし、3度の飯よりデバッグが好きとい う大鈍才も見て来たし。どう頑張ったって、ああいう人にはなれないという気 分を徹底的に味わされると、「物作って動かす計算機科学」なんて、つくずく 自分のやることではないと思ってしまうのだ。