ひとこと

  • ガウスになりたいですか?

  •       私の知人に数学から計算機科学に転向した人がいる。転向の理由を色々聞いて いると、要するに「自分はガウスにはとても及ばない馬鹿だし、ガウスに匹敵 しない論文はゴミ論文だし、ゴミ論文なんか書いても意味がない」かららしい。 (うーむ、凄い。凄すぎる。) アンドレ・ヴェイユ曰く「まずガウスのように始めなさい。すぐ に自分がガウスでない事がわかるだろう。でもそれでいいのだよ。」続い てドクトル・クーガこと久賀道郎博士曰く「どうしてもガウスになれるんでな ければ嫌だ、さもなければ数学なんかやってもしょうがないといわれる方には、 こう申し上げます:あなたは数学が好きなのではない、何か別のものが好きな のです。」そうか!彼は元もと計算機科学が好きだったんだ。
     
  • 挨拶

  •       ワイドショーなどを見ていると、犯罪事件の容疑者の近所の人へのインタビュー で、「余りつき合いは無いけど、ちゃんと挨拶をする良い人で、事件を起こす なんて信じられない」というのがよくある。人は挨拶する人を無条件に「良い 人」を信じる傾向があるようだ。特に「周りは敵ばかり」という状況で生きる人 は、心の底で舌を出していても挨拶だけは愛想良くしておけ、というの は良い処世訓かも知れない。
     
  • 古き良き時代?

  •       某国立大学元教授は若い頃、自分は研究するために雇われていると思い、中年 になってから、自分はそもそも学生を教育するために雇われているではないか と思い始め、定年前にはただ雇われていただけだと悟ったという。何のために あるのかわからない場所に、何のために雇われているのかわからない人達がい て、それが世の中を面白くしていたたというのか。今から考えれば夢のような話だとおもう。
     
  • 風邪

  •       学生数が多いから、寒い季節になると教室も通学バスも風邪の菌がうようよし ているわけだ。それで私のように真面目に大学の先生していると、学生諸君の 風邪をもらう機会も増える。ゼミの学生が風邪ひくと、数日して私も風邪をひく。 学生諸君は風邪を理由に2、3日寝込み、ついで に2週間ぐらい「静養期間」を取って卒研ゼミをさぼり倒す輩もいるが、こち らはそうもできない。いっそのこと真面目な大学の先生なんてやめちまおうかしら。
     
  • 計算機

  •       たかが道具のくせに、どうでもいいようなバーションアップと仕様変更を頻繁 に繰り返し、その度にこちらの時間を取らせて本業を放棄させるという、開発 者の陰謀の産物である。計算機の開発そのものは創造的で面白いが、人の作っ た計算機の使い方に習熟するというのは、単なる後追いでしかない。 この私に後追い仕事を強要するとは傲岸不遜極まるシロモノである。
     
  • 仕事と道楽

  •       研究者の間では研究することを「仕事する」と言う。しかし会社員時代、研究は上 司の目を盗んでするものだったから、私は研究以外の給料をもらうためにやる 仕事を「仕事」と言う。では研究は何と呼ぶかというと 「道楽」である。人生の目標は「仕事」を極力押えて「道楽」に生きることだ と心得ている。大学の「研究室」も「単に仕事をする場」になってはオシマイだ。
     
  • 講義

  •       大体私はその時の勢いとノリで講義をするから、レジュメや講義ノートを作っ ても絶対その通りにはしゃべらない。だから、その講義で何をしゃべってどこ で終るかは自分でも予想がつかない。いきおい、前の時間に何をしゃべったか 覚えていなければならない。講義を同時に3つ以上担当していると、次第にど こで何をしゃべったかわけがわからなくなってくる。そのスリルがまたたまら ない。
     
  • 整理整頓

  •       私の同僚の部屋は6年間一度も掃除をした事もなく、大量の紙クズと空段ボール箱とど うでも良いようなものを含めて本と雑誌が床、ソフアー、机、本棚と所 構わず散乱し、机の上に堆積したゴミの上でパソコンをいじったり書きものを したりしている。部屋が汚いと忙しそうに見えるのか、単に汚いのにう んざりするのか、訪問者は長居をしない。私の部屋は適度に整理整頓され、 適度に乱れているためか、訪問者は長居をする傾向にある。
     
  • おりこうさん

  •       某大学での非常勤講師の2回目の授業にて、1回目同様に講義が始まってもいつまでも騒い でいる子供達にマイクのヴォリュームを最大にして一括。「やかましい!静かに せんかあ!!何度も同じ事を言わせるんだったら、君らはほんまもんのド阿呆 やぞ!」3回目の授業では、講義が始まるととたんに静まり返った。 彼らは形式論理をちゃんと理解しているようだ。「あんた達、やっぱりおりこうさんね。」
     
  • 物好き?!

  •       高山研究室は情報学一の超不人気研究室である。余りに不人気だから数理科学 科へ追い出される(?)のである。数理情報だか計算機数学だか知らないが -- 私にとってそういう名称はどうでもいいことである--、「数学をばっ ちり研究する!」と標榜している事が理由である。しかし毎年必ず1名「数学やり たい!」と言って入って来る物好きな学生がいる。毎年必ず1名ってところが また不思議である。情報学科というのは奥が深い。。。
     
  • パソコン

  •       私は計算機嫌いを標榜しているが、本当は計算機いじりは好きみたいだ。プロ グラムを組んだり、ちょっとしたシステム管理の真似事をしたりしていると夢 中になってしまうようである。しかしこんなことをやっていると数学の研究は 進まないし、自分は計算機科学の研究をしている訳ではないので、パソコンい じりは人生の浪費なのである。人間40歳を過ぎたら人生の浪費は極力避けね ばならない。
     
  • 黒板とチョーク

  •       情報学科はホワイトボードとマーカーペンの文化だか、数学教室は黒板とチョー クの文化であり、会議室にも教員の研究室にも黒板がある。数学者には黒板が よく似合う。ところで、チョークの粉が大嫌いな私の同僚は、数理科学科に移籍したら計 算機演習をできるだけ沢山担当して講義を持たないようにしようと涙ぐましい 努力をしている。
     
  • 会議のやりかた

  •       数学教室の会議はすべてをオープンにして長時間大騒ぎで議論することが多い ようだ。情報学科の会議は長い議論や意見の対立の表面化を避けるため、根回 しで決まった事をさっさと確認して先に進む事が多い。どちらがいいのか知ら ないが、数学者は基本的に立場や価値観が共通であり、大ぴらに議論しても決 定的な対立は生まれないというお互いの信頼関係があるのではないかと推察す る。
     
  • 何故黙っている?

  •       情報学科では数式を全てすっ飛ばしてニューロやグラフィックスをやりたがる 無茶な卒研生が多いようだ。かと言って教員達は、面白い事をやるには数学を ちゃんと勉強しておかないといけないよ、とはあまり言わない。かくして情報 の1回生の多くはグラフィックス志望でかつ数学なんか勉強しなくて良いという 迷信を信じている。
     
  • 浅はかな選択

  •       数学嫌いで何かにつけろくに勉強していない学生に限って、「絵が出て面白ろ そう。わかりやすそう。」という安易な理由で、(実は数学の塊である)コンピュータ・グラフィック スをやりたがる。しかし愚かな学生だと嘲うわけにはいかない。俺は代数をやるの だから解析は要らん、と微積分学までさぼってしまい後悔している大馬鹿者 がここにいる。
     
  • ドイツ語

  •       ドイツ外留を1年後に予定している事もあって、ゲーテ・インスティチュート関 西でドイツ語会話のコースを取ることにした。しかしドイツでは英語だけで何とかやっていけるはずなのに、 もののはずみとは言え何でこんなにドイツ語ばかり勉強 することになったのだろう?私は数学の研究をしに行くのであって、語学留学 しに行くわけではないのに。おかしい。
     
  • 学食ランキング

  •       他大学への出張は学食グルメ行脚の旅でもある。メニューのバラエティと新メ ニューへの挑戦度、料理の味、喫茶・テイクアウトコーナなどのサービスの層 の厚さや価格等を中心とした私の総合評価は、今のところ我らが立命館生協食 堂が京大生協と鼻の差で全国2位である。これだけでもいい大学に就職できた ものだと思う。
     
  • 外留と卒研

  •       来年度海外に長期出張するので数理科学科の卒研配属は無し。先生がいないの だからこれは数学科では(数学科でなくても?)アタリマエ。「来年度先生が不 在なので卒研配属は14名のところを10名に減らします。」何だか知らない けど、これは情報学科ではアタリマエ。
     
  • 数学はお好き?

  •       長いこと情報学科にいると、数学者以外の人間で数学が好きなのが存在すると はとても信じられなくなる。数学科に200名程度学生がいるが、それは何か の間違いなのでしょう。数理科学科へ移籍するといっても、何だか狸にだま されているみたいだ。来年度になれば肥溜の風呂に入り、狸や狐を相手に「講 義」をしている私が見出されることでしょう。
     
  • 国立大学法人化

  •       国立大学が私立化したら、学生定員を3倍から5倍にするか、教員数を3分 の1から5分の1に減らすか、学生定員を2倍にして教員数を3分の2から5 分の2にしないと経営が成り立たない。それに学生受けしない深遠な学問や、 企業受けしない基礎研究はやりにくくなるし、講義の負担も倍増して教員の研 究時間が大幅に減る。それでは大学が死滅するって!? 心配しなさんなって、 ウチの大学と同じになるだけじゃないの。立命館は別に死滅してませんけど。
     
  • 広島流お好み焼き

  •       お好み焼きは断然大阪流に限ると思っていたが、広島に出張したので4晩連続 広島流お好み焼きを食べまくったら、大好きになった。大して味の違いが出る 料理とは思えないが、店によってソースやソバやその他の具、そして値段が微 妙に違う事を発見した。4晩の経験からは、うまい店は安くまずい店は高い という傾向が伺えた。
     
  • 形式的平等主義

  •       研究室の設備も予算も学生定員も皆平等でなければならないという、工学部の 形式的平等主義には無理がある。人気のある研究室に人・物・金を集 中させ て、研究室によって違いがあって当り前だとすればよい。何?それでは人気の 無い研究室の教員は研究できないって? しかし、希望を全く無視されて無理 矢理押し込まれた学生が真面目に研究するとは考え難い。学生がいなくても、 テーマ次第ではいくらでも研究できます。
     
  • 講義と研究

  •       研究をしていないと良い講義はできないが、講義ばかりしていると研究はできない。 これはあたりまえの原理なのだが、あたりまえの事があたりまえとして通る大学が良い大学である。 この事もまたあたりまえの原理なのだが、それがあたりまえである世の中なのかどうかは知らない。
     
  • 修論(中間)発表会

  •       既に工学プロパーの話に興味が薄れた私としては、仕事とはいえまる一日ネットワーク がどうしたGUIがこうしたといった話を聞かさせるのはしんどい。立派な発表は仏顔で許しているが、いい加減な 内容で発表している学生には思わず「切れて」吊し上げてしまう。そう言えば、 工学やってた頃の私は、全発表者を吊し上げて教育的指導を徹底する鬼教員だったな。
     
  • 卒研配属

  •       いくらでも学生が欲しい人気研究室、それ程学生が要らない人気研究室、全然 志望していない学生でも何でもいいから沢山欲しい不人気研究室、全然志望し ていないやる気のない学生なんか欲しくない不人気研究室。複雑にからみあっ た教員のエゴと、予測不能の学生達の動きと、工学部特有の 不思議な論理と、 私学の特殊事情とやらがカオスを形成する頭の痛いセレモニーである。
     
  • 不連続点

  •       1、2回生の授業中にあんなに大騒ぎせずにおれなかった自由保育状態の学生達が、4回生の 授業ではお通夜状態で「死んで」いる。私は3回生の講義を担当した事が無い ので、この大変化が起こる現場を目撃していない。たった1年で精神年齢が10歳 ぐらい急上昇するのだろうか?それとも就職活動でエネルギーを絞り取られて しまうのだろうか? おい、そこの君!何とか言ってみろ。
     
  • 卒業研究

  •       1年の卒業研究は、企業の採用活動の都合で半年に減り、学生の間の競馬の流 行によってさらに3ヵ月に減り、取りこぼした単位集めのためにさらに2週間 に減る。それ以上に減らないのは、卒業論文提出を義務付けているからである。 しかし、卒業研究を一晩だけやって卒業するツワモノもたまにはいる。 あんまり世の中ナメてちゃいかんぜよ!
     
  • 語学

  •       語学が得意でもないのに、趣味半分実益半分でフランス語やドイツ語を少しづ つ勉強している。上達は遅々としたものだが、やった分だけ確実に結果が返っ てくるのが嬉しい。その対極にあるのが数学である。数ヵ月、あるいはそれ以 上のたうち回って考えても何も成果が得られない事はザラにある。
     
  • 志望動機

  •       院試の面接で志望動機を聞くと、少なからぬ受験生が「学部で勉強していなかっ たので、勉強し直したいから」と答える。こういう学生は大学院で 苦労する。若い時はやり直しがきくのだし、勉 強し直したいなら、学士入学して学部をやりなおす事をお勧めする。「学 部生より劣る院生」よりも「遅れてきた優秀な学部生」の方が評価は高いであろう。
     
  • 大学院入試

  •       ついこの前まで、大学入試で失敗する悪夢に目を覚ましては、「実際は合格して たから今があるのだ」と胸をなでおろしていた。最近数学課程の大学院入試に かかわるようになり、大学院入試で失敗する悪夢に目を覚ましては、「実際に不 合格になったから今があるのだ」と人生の不思議さをかみしめている。
     
  • 数学の演習問題

  •       学生時代は一般理論の勉強に忙しく、個別の問題に長い時間をかけようとしな かった。解ける事がわかっている演習問題を解く面白さと気楽さがわかって来た今 は、解けるかどうかもわからない問題を見付けたり解いたりするのに忙しい。 演習問題解きは老後の楽しみだな。
     
  • 院試問題

  •       せっかく作った問題を誰も手を付けないとちょっとくやしい。これは学生達の盲点 を突いた問題だから、絶対誰も解けまいと思って出した自信作の問題で満点答案が出る と、かなりくやしい。そういう学生が他の研究室に取られるかと思うと、 ますますくやしい。
     
  • 健忘症

  •       昔から人の顔は忘れないが、名前はすぐ忘れる。思い出そうとして数日間暇々に あれこれ考えていると、ふっと思い出せる事が多い。この苦痛と快感は、数 学の問題を解く時のそれに似ている。降参して「あの人なんて名前だった?」 と誰かに聞く時が一番悔しい。
     
  • 記憶力

  •       昔から暗記物が大の苦手で、忘れてしまってもゆっくり考えれば自分で再構成 できる数学は楽チンな科目であった。それにしても、数学をマル暗記だけでや り抜こうとする最近の学生諸君のド根性と頭の強さには敬服する。でも、 何でもかんでも暗記一点張りじゃ、つまんないだろうなあ。
     
  • 「分数のできない大学生」

  •       この本を読むと、全国的に大学生の学力崩壊が進んでいるのだと分かる。 全国平均を割り引いて考えると、うちの学生もそんなに悪くないのだなあと、妙に 気分が楽になる。もっとも全国平均を割り引いて良いのか、という問題はあるが。
     
  • レポート課題

  •       レポート課題とは、ある程度以上のプライドを持った学生には学習効果を保証し、 プライドの低い学生達にとっては、コピー・コマンドに対する習熟、運命共同体的連体感 の形成、課外の諸活動の促進等に絶大な効果を発揮する有効な教育手段である。 そして教員にとっては、数少ないオリジナルなレポートの宝探しである。
     
  • 卒業論文

  •       まじめ学生には大学4年間の総仕上げを、サボり学生には卒研のアリバイ作りを意味する。 アリバイ作りも悪くはない。締め切り直前に徹夜でそれらしいものをデッチあげる のは、スチャラカ社員になるための立派な実践的職業訓練である。しかし、 教科書をワープロ で打ち込むだけというんじゃあ、スチャラカ社員ではなく リストラ社員になっちまうぞ!
     
  • 学生人気

  •       気まぐれな(?)学生人気に自分の研究活動が決定的に左右される訳でも無く、学生 に人気が無いと、誰も使わない大量のパソコンの購入とシステム管理を自分の 研究時間を割いてまでやらねばならぬ訳でも無い。そんな、教員の研究の自由 が保証された数学科の教員でも、学生人気を気にするものらしい。 これは(研 究の)「自由からの逃走」か?
     
  • 単位認定

  •       教師は「これぐらい理解してもらわないと」と定価を決め、学生は「こ の程 度しか勉強するつもりはない」と値切る。学生人気が研究室の繁栄を決定する 学科では、この価格交渉の場で往々にしてディスカウントが行われる。 ディ スカウントをやり過ぎると、人気はあるが研究の方は今一つという研究室が乱 立して困るらしい。私には関係ないことだけど。。
     
  • 携帯電話

  •       数学者には静かに考えたりぼんやり考えたりするゆったりとした時間が 一番 大切なので、出物腫物所嫌わず静かな時間にプルプル乱入してくる携帯電話を 持つのは、悪魔に魂を売るようなものだ。とは言うものの、学生達が四六時中 楽しそうにモシモシやっているのを見ると、ちと羨ましい。あれはいいオモチャ だよな。
     
  • 就職活動

  •       平日にセミナーぶっつけて講義と卒研を潰しておいて、「大学で何を勉強 し てますか?」はないでしょうに。こないだまで基礎研究は企業でやるから大学 は教育に専念して欲しい、などとタワゴト言っておいて、今は完全に口をつぐ んでいるし。ボーダレスだのグローバリゼーションだのと偉そうな事は言って いるけど、企業というのはどう考えてもあまり頭は良くない。
     
  • 夏休み

  •       夏休みの終りに憂鬱になるのは、学生も教師も同じである。学生はまた堅い椅 子に長時間座って退屈な講義を聞くかと思うとウンザリするだろうし、運動不 足の教師は休みあけの講義で動き回って足腰が痛くなる。そうい えば、企業 の研究所と違って、大学教師というのはかなりの肉体労働だ。
     
  • 大学教師稼業

  •       大学教員の世界は、個人商店の同業者組合みたいなもので、会議で 顔を合わ す以外は専ら学生との付き合いが中心である。そういえば教室内の半数の同僚 とはこの1年間一度も面と向かって話しをしたことが無いし、 最近5年間一 度も話した事がない同僚も居る。専門も価値観も違う人達の集団なのだから、 この方がかえっ て平和でよろしい。
     
  • サマースクール

  •       数学者の世界にはサマースクールというものがあって、夏休みの始めに1週間 ぐらい朝から夕方まで最新理論の講義を受ける。ノート を整理し復習するだ けで、夏休みの半分ぐらいが飛んでしまう。バイトとサークルの合間に毎日3 コマも4コマも講義を受け、夏休みはしっかり遊 ぶ学生達が、結局何もかも 消化不良のまま卒業するのは、至極当り前であることがよくわかる。君達!卒 業してからが勉強の始まりなのですぞ!
     
  • 私語

  •       言うてすまんが、教壇から見ていると私語をしている学生というのはただの阿 呆にしか見えない。阿呆相手じゃあ講義にも気合いが入らないし、第一君達は 阿呆じゃないんだから、いつものオリコーサンの顔をして死んだフリでもして なさい!
     
  • 実験系研究室

  •       何年かに一人ぐらい、システム管理の勉強がしたいパソコン大好き青年が現れ て、誰も使わない大量の計算機を思う存分システム管理して大いに楽しんでい く。それ以外は閑古鳥がさえずり、ペンペン草が咲き乱れる静かな風景を楽し むことができる。
     
  • 情報工学の研究

  •       お金を集めてそれを使う事が情報工学の研究であることを、大学に勤めて初め て知った。お金はいくらあっても困る事はないそうだ。必要以上のお金は研究 の邪魔になると思っている私は、この分野には才能が無いのだろう。
     
  • 行方不明学生

  •       尻を叩かれてからおもむろに勉強しようという工学部気質の学生と、尻を叩か れなければ何もしない奴なんかどうせモノにならんと思っている理学部気質の 教員が出会う所に、行方不明学生が発生する。
     
  • 教授会

  •       教授会における実に興味深い法則を2つ程発見したのだが、「教授会を冒涜す るものだ!」とあらぬことで吊しを食うのが恐いので黙っていようと思う。
     
  • 「高山先生」

  •       会社員から大学教員に転じた当初は、「高山先生」と呼ばれるたびに、「セン セイと呼ばれる程俺は落ちぶれてないぞ!『高山さん』と呼べ!」とむかつい てていたが、今では「高山さん頑張れ!」という学生アンケートに対して「ば かもん!高山『大先生』と呼べ!」とむかついている。