ヒューマンインターフェイス期末試験問題2004年度

1.ビデオ一体型テレビの操作性についてヒューマンインターフェイスの観点から論ぜよ.
2.宇宙のかなたにあるA星は重力や気温などの環境が地球とそっくりであり,そこにすむ高等生物Xは人類とそっくりであったが,技能レベルで作業を実行できるようになるまでには膨大な時間がかかる点が異なっているとする.この星における使いやすいインターフェイスに関して考察せよ.


解説

1.いわゆるテレビデオの操作性についての設問.一般的に言えてテレビデオにも当てはまる操作性に関して書いてもよいが,設問の「テレビデオの操作性」という点からは少し外れるので,きちんと多数の項目を網羅的に書いてなければ満点とはしづらい.一方,テレビデオ特有の操作性について書いてもらえれば網羅的でなくともよい.例えば,テレビデオの最大の特徴は「配線がいらないこと」である.つまり設置が容易な機器であり,このような機器があまり得意でない人にもすぐに使える機器という位置付けである点は重要であるが,これについて書けている人は1割前後か.「リモコンの可視化と制約」については多くの人が書けていた.また,テレビデオで最も操作が難しいものは録画予約であるから,録画予約の操作性についてきちんと説明した答案も大変良い.平均点20/30点満点.

2.例年と同様に条件設定があいまいな問題だが,どのように解釈してもかまわない.ヒューマンインターフェイスで学んだことからきちんと説明できさえすればよい.正解など無いのだから,きちんと理解し,正しく考えているかどうかを見ている.設問の「技能レベル」は「技能ベース」が正確な表現でした.試験中に言いましたので大多数がきちんと理解してくれました.不正確な設問で迷惑をかけました.お詫びいたします.
 具体例を書いてヒューマンインターフェイスのキーワードを書かない人が意外に多かったが,それではあまり点はあげられない.キーワードを使ってきちんと説明してもらわないと講義をきちんと理解してくれたとは判断しにくい.例えば,「ミスが多くなる」のように書いている人がいたが,キーワードは「ミステイク」であり,「ミス」ではきちんと理解しているとは言えない.「エラー」は正しい用語だが,技能ベースで発生する「スリップ」も含むため「ミステイク」と書いていなければ解答としては不十分.一方,「技能ベース・・・」との関係を全く説明せずに,「可視化」「対応付け」「制約」等々のキーワードを並べただけの人もいたが,これも間違いではないが,満点にはしづらい.なぜ,それらが重要なのか,きちんと説明すべき.「頭の中の記憶と外部の記憶(情報)」について書けている人は皆無であって残念.「慣れるとは外部の記憶を頭の中に移すこと」である点をきちんと説明した上で論理展開して欲しかった.大多数が「可視化」だけですませていた(間違ってはいないが,説明は不十分).「概念モデル」や「アフォーダンス」について書けている人はそれぞれ2割弱か?しかし,きちんと論理だって説明できている人は少なかった.「地球と同じ」という解答もあったが,それでは不正解.また,設問は「不器用」なのとも「記憶力が乏しい」のとも意味が違う点にも注意.作業に慣れることと記憶力が同じではないのは,例えば記憶力の良い人ほど自転車に早く乗れるようになるわけではない,ことでもわかるだろう. 平均点14/30点満点.

A+:4% A:11% B:19% C:37% F:29%
中間試験と合わせて満点が1名,98点が2名いた.すばらしい!例年よりも少し難しかったか?中間試験で出来が悪かったが期末試験で期末試験で巻き返した人も意外と多かった.問題を教えている中間試験でほぼ満点ならば単位を落とすことは無いはず,と思ったら,期末試験で15点しか取れずに単位が取れなかった人が1名いた.


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Last modified: Wed Aug 11 2004