ヒューマンインターフェイス期末試験問題2005年度

1.携帯型音楽プレイヤーの操作性についてヒューマンインターフェイスの観点から論ぜよ.
2.宇宙のかなたにあるA星は大気の成分や気温などの環境が地球とそっくりであり,そこにすむ高等生物Xは人類とそっくりであったが,ただひとつXは記憶力が非常に低くて短期記憶で1〜2チャンクの内容しか記憶できないという点が異なっているとする.この星における使いやすいインターフェイスに関して考察せよ.


解説

1.携帯型音楽プレイヤーといっても様々なものがある.カセットタイプのウォークマンでもMDプレイヤーでもiPodでもなんでもかまわない.そのため,想定している装置が違うので人によって同じ内容でも「使いやすい/使いにくい」が別れたものもあったが,内容をきちんと指摘しているならばどちらも問題ないと判断した.採点は,どれだけ多くの観点から操作性について論じているか,で行った.なので「誤操作を防ぐHold機能」だけについて延々と論じてくれた人には少しの点しかつけられない.逆に個々の項目に関してはヒューマンインターフェイスのキーワードを使って簡潔に述べるにとどめて,たくさんの項目を挙げた人に高い点をつけた.ただし,キーワードの使い方が間違っている人の場合には正しく理解していないとして減点した.なお,項目の中で最も重要な項目だけは少し配点を高めている.それは,「携帯型ゆえに小型でなくてはならず,そのために生じる操作性の問題」についてである.これについて挙げている人は予想よりも少なかった.
全体的に例年に比べてヒューマンインターフェイスのキーワードをきちんと使って説明している人が多かった.携帯型音楽プレイヤーという対象がなじみがある人が多かったということだけでなく,よく勉強してくれていたのだと信じる.ただし,携帯型音楽プレイヤーの操作性では考えなくてはならないことは多く,書いていることは正しくてもたった5つぐらいの項目を挙げただけでは満点とはしづらい.平均点21/30点満点.満点者は16%.

2.例年と同様に条件設定があいまいな問題だが,どのように解釈してもかまわない.ヒューマンインターフェイスで学んだことからきちんと説明できさえすればよい.唯一の正解など無いのだから,きちんと理解し,正しく考えているかどうかを見ている.大多数の人が,「概念モデル」「可視化」「アフォーダンス」「対応付け」「制約」などのキーワードを使って説明していたが,残念ながらそれだけでは満点は挙げられない.正しいのではあるが,地球の場合との差が明確でない説明が多いこと,内容の本質をついていないこと,の二点の理由による.ここでの本質とは「外界の知識(または情報)をより充実させて短期記憶の足りない部分を補う」ことである.「アフォーダンス」もラベルも取扱説明書もすべてこのための一手法に過ぎない.この「外界の知識」ないし似たキーワードがないとこの問題の本質に迫っているようには見えない.
そこで次に問題となるのが,外界の知識に頼ることができない場合の対応である.例えばパスワードや暗証番号がそれにあたる.この対応についてまで書かれていて初めて満点をつけることができる.平均点16/30点満点.満点者は3名のみ.

A+:3% A:21% B:26% C:18% F:31%
中間試験と合わせて満点はおらず,最高点は90点が2名.2番の採点が少し厳しかったかな?


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Last modified: Wed Feb 8 2005