ヒューマンインターフェイス期末試験問題2007年度

1.駅にある切符の自動販売機の操作性についてヒューマンインターフェイスの観点から論ぜよ。

2.下記の機能を持つ無線操縦式の災害時被災者探索用ヘビ型ロボットのインターフェイスを設計せよ. 単に図を書くだけではなく,どのような点に注意したのかを文章で説明すること
・大地震などの災害によって瓦礫等に埋まった人間を探索するためのロボットとし、見つけた被災者を救助する機能はなくてよい
・全体としてヘビに似た構造を持ち、直径20cm程度のスペースがあれば瓦礫の隙間を抜けることができるものとする
・カメラがついている
・人間探索用のセンサや移動機構の限界などの機能の詳細は各自が適当に想定してかまわないが,想定した内容は答案に明確に書くこと.


解説

1.切符の自動販売機は操作点の上で様々な工夫や問題がある。 採点は、ヒューマンインターフェイスに関して重要な項目を12個挙げ、それらに言及しているかどうか、を基準にしている。 8個挙げれば満点とした。 ただし、手嶋が挙げた12個以外に関しても正しい内容を挙げていた場合には加点している。 12項目の中で重要だがあまり気がつかれていないものはなく、おおむねよく書けていた。
全般にできはよく、全く書けていない人は少ない。 全員何かは書いているので、約7割の人が20点以上(30点満点)。 平均点は21.1点/30点満点.

2.難問。実際にどうするのがよいのか非常に難しい。 ただ、前年度のヘリコプターの問題とも相通じるところがあるので、前年度の解説を読み、または聞いた人はヒントが得られたはず。 ヘビ型の移動方法について詳細に決めないと議論しにくいところがあるが、採点の際には明確に書かれていなくてもある程度は柔軟に判断したつもりである。 しかし、瓦礫のなかを探索するのであるから、二次元的な動きではなく、三次元的な動きが必要なのは明らかだろう。 単に「ジョイスティックで対応付けをする」というような表現では二次元的な動きしかできないように思え、説明不足。 頭部を上下左右に動かすことができて、頭部の向いている方向に進む方法や、平面移動と頭部を持ち上げる機能を加える方法などが考えられるだろう。 頭部の向きが変えられなければヘビ型にする意味はないし、瓦礫の隙間を抜けることは難しいだろう。 それ以外の移動方法でもよいが、単に「前に進む」ではあいまいすぎる。 たとえば「ジョイスティックを右に倒せば右に進む」と書いている人もいたが、「右に進む」というのがどう進むのか説明がない。 ロボットが頭部の姿勢は一定にしたままで、身体全体がそのまま右方向に進むのだろうか? ジョイスティックの対応付けが良いのはそういう移動の場合であると説明したはずだが、それでは瓦礫の中を抜けられそうもない。 きちんと説明していればある程度加点しているが、説明不足では加点しにくい。
探索用なので発見した位置を知らせることは重要であろう。 多くの人がGPSを使ってこのロボットの位置を知るとしていたが、GPSの原理を正しく知っていれば瓦礫の中では使用不能なのは明確だろう。 どの計測方法もきちんとその原理を理解した上で、使えるかどうかをぜひ考えてほしい。 この講義の範囲内ではないので減点等はしていないが、加点もできない。
例年の如くロボットの機能ばかりを詳しく書いて、インターフェイスについて全く、ないしほとんど書いてない解答が複数あった。 ロボットの機能についてどんなにいいことを書いても全く加点できない。 ヒューマンインターフェイスの試験なのだから。
問題が難しかったので、一度採点した後に採点基準を見直して甘く採点した。 その結果、平均点19.6点/30点満点.満点は13%だが、10点未満も14%いた。

A+:3% A:33% B:25% C:22% F:18%
きちんとできた人と出来なかった人が明確に分かれた。満点も2名。


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Last modified: Mon Aug 20 2007