1.ヒューマンインターフェイスにおける概念モデルの重要性に関して説明せよ.
2.インターフェイスにおける対応付けの重要性を乗用車のハンドル操作を具体例に挙げて説明せよ.
1.2004年度の中間試験をはじめ過去に何回も出している問題。
例年通り必要な内容を細かく挙げて、それについて言及していればポイントを加点する方式で採点している。
ちなみに全部加点されると33点なので、こちらの想定した内容の6割以上が書ければ満点となる。
なので、たとえば「デザインモデルとユーザモデルが一致するようにシステムイメージを作る」という内容を詳細に書いただけでは満点にはならない。
一番根本的である事項なのに書いている人が1割にも満たなかったのが「機器を使うときにはユーザーは概念モデルをもち、それをもとにして操作する」ということ。
このことを言わずに「概念モデルの重要性」を説明しても、「ヒューマンインターフェイスにおける」という部分の説明には不十分である。
全体の60%が16点以上とれている一方、0点も3名。15%の人が10点以下と出来不出来が大きく分かれた。
問題を教えているのに白紙の人がなぜいるでしょう?不思議です。
出題側としては、講義でやった内容についての試験であり、しかも問題も教えているのだから中間試験では最低8割は取ってほしいと思っているのだが。
講義で話していない独自に考えた事例を挙げている人も多かった。
自分の頭で考えることは大変良いことではあるが、必ずしも適当でない例も散見された。
平均点は14.7点/20点満点.
2.全く書けていない人はほとんどおらず、白紙が1名、6点が2名、8点が5名の合計8名のみが10点未満であった。
全体の28%が20点満点である一方、10〜15点の人が37%もいた。
「乗用車のハンドル操作」なのに「ウィンカー」の例しか挙げていない人が10名近くいたのはどうしてでしょう?
平均点は15.4点/20点満点.
例年、不十分な解答であるのに本人は満点に近いと思っている学生が出るので、もう少し採点の実際を具体的に説明しよう。
期末試験のためにも、ぜひきちんと点数が取れる答案の書き方を覚えてほしい。
以下はある学生の実際の解答である。
なお、説明のために文の番号をつけている。
1)乗用車のハンドル操作を例に挙げて説明する。
2)車体を右に進ませたいとき、ハンドルは右に回し、左に進ませたい時にはハンドルは左に回す操作をする。
3)この操作は対応付けが非常に良い。
4)反対に、右に進みたい時、ハンドルを左に回し、左に進む時にハンドルを右に回していては、非常に運転しづらくなる。
5)これは対応付けができていない。
6)運転は慣れるまでに時間がかかり、その間の危険性も高い。
7)だから少しでも運転しやすい操作をするためにハンドル操作のような対応付けが重要になってくるのである。
第1文には加点要素はないが、全体の流れを整えるのに必要な文である。
第2文では部分点を6点つけた。
第3文では「非常に良い」という表現では点をつけられない。具体的に表現していないからである。
もしもこの部分をたとえば「自然である」などと書けば、そこに部分点を加えたのだが。
第4文では加点要素はない。第2文の内容を反転しただけで新しく何も言っていない。
ハンドル以外の操作方法では対応付けが悪い点を書いているならば、加点している。
最後に「運転しづらくなる」と書いている点が第2文にはない部分だが、「〜では非常に使いづらい」「〜操作が困難」のような表現だけでは説明としては十分ではない。
第一回目の講義にも説明したように、「使いやすさ」とは様々な異なる側面をもっているからである。
もっと具体的にどのような面で「使いやすいのか(または使いにくいのか)」を書かなければ、きちんと説明していることにはならない。
第5文でも加点要素はない。第3文と同じ理由である。
第6文、第7文では「対応付けの重要性」について書かれているが、「運転しやすい操作」だけでは具体的に説明しているとは言えない。
しかし、第6文によって「対応付けがよければ操作に簡単を覚えることができる」という意味を言いたいらしいと読み取ることができる。
とはいえ、「対応付けの重要性」として「簡単に操作に慣れる」だけでは不十分であり、明確には書いていないこともあって加点としては2点だけにした。
合計でこの答案の点数は8点となる。
確かにこの解答の内容は間違っていない。
だが、説明が十分に尽くされているとは言い難い。
特に「よい」「悪い」「使いやすい」などといった表現があいまいすぎて具体性に欠け、ポイントを逃している。
つまり、できる限り重要な内容を逃さずに書き入れることが必要である。
そのためにはうまくキーワード(たとえば上記では「自然な対応付け」など)を使うとよい。
ただし、正確にそのキーワードが書けていなくても、そのキーワードを示す内容があれば同じ点をつけている。