ヒューマンインターフェイス中間試験問題2008年度

1.Normanの7段階モデルについて例を挙げて説明せよ.
2.インターフェイスにおける対応付けの重要性を「電灯のスイッチ配置」を具体例に挙げて説明せよ.


解説

1.しばらく出していなかった問題だが、前回と同様にあまりできていない。0点が4名、10点未満は合計16名。
例が適当ではない解答が多かった。 ノーマンの7段階モデルはインターフェイス行為をみたものなのだから、何かの機器を操作する例を挙げるべきであり、対人行為などだけを例に挙げているのでは適切な例を挙げた際の満点6点のうちで2点程度しかつけられない。 もっとひどいのは、人間の行為ではなくロボットのフィードバックループを例に挙げた人が二人もいて呆れた。 全く内容を理解していないとしか判断できないが、一応両解答ともほかの部分に加点して20点満点で3点程度つけた。
平均点は13.2点/20点満点.満点は14名。

今年も、採点の実際をもう少し具体的に説明しよう。 期末試験のためにも、ぜひきちんと点数が取れる答案の書き方を覚えてほしい。 以下は実際の解答の例を採点した例である。なお、説明のために文の番号をつけている。
1)この7段階モデルとは人間が実現目標のための行動を7つに段階分けをしたものである。
2)このモデルがあることによってインターフェイスの設計が非常に有効に進められる。
3)なぜなら、実現目標の行動は必ずこのいすれかの段階に分けられる。
4)よって各段階ごとに対処方法が明確に示されていれば、問題が起こったときに処置しやすいからである。
5)しかし、7つの段階分けの境界線はあいまいである。
6)例えば、システムがややこしくて操作ができないという問題は行為系列がしっかりとできていないために、行動に移すことができない。
7)よってシステムを簡単にするなどして、操作をしやすくする必要がある。

まず第1文は、このモデルの本質を簡潔に述べており、日本語はやや正確ではないがそこは問題視せずに3点加点している。
第2文は言っていることは正しいが、「設計が非常に有効に進められる」だけではどこがポイントかは明確ではない。それを後ろの文で説明しているので、話の流れには必要ではあるが、ここでは加点していない。
第3文は「必ず」というのは間違いであるが、特に減点はしていない。
第4文は記述は正確性には欠けるが、「設計が非常に有効に進められる」理由となる具体的ポイントを指摘している点を甘めに判断して3点。
第5文は重要性が他のポイントに比較してやや低いがこのモデルの問題点の一つを指摘しているので2点。
第6文は「例えば」と例を挙げている部分だが、7段階モデル全体を説明する例ではないこと、例の割には抽象的な表現で具体性に乏しいことから、内容が正しくてよい例であれば最大6点加点するうちの2点だけを加点した。また、7段階モデルの具体的な段階のひとつである「行為系列」という言葉があるので、ここを知っているということで上記とは別に2点加点しているが、7段階すべての具体的な説明はないのでそれ以上は加点できないと判断した。
第7文は第6文からのつづきで内容は第4文とほぼ同じであり加点するポイントはない。
甘めであるとは思うが、合計で12点がこの答案の点数になる。ちなみに手嶋があらかじめ想定したポイントをすべて書いている答案の場合には28点になるが、20点以上はすべて20点としている。想定していなかったポイントでも回答が正しくかつ適切ならば2、3点加点している。

2.2004年、2005年に続いて三回目の出題。過去の問題と解説を公開しているんだからそれらを勉強していればほぼ満点はとれるはず。ところができが悪いのに唖然とした。問題を事前に教えているのに0点が7人もいたのはどうして?全く白紙の人もいれば全くとんちんかんなことを書いている人もいました。2004年度の解説に書いているように、対応付けが適当でないとどのような問題がおこるのか,エラーや記憶,ラベルや印などをキーワードにしてきちんと説明できていないと満点にはしていないが、満点はたった9人。14〜17点の人が全体の52%と多かった。
平均点は13.6点/20点満点.

採点の実際を少し挙げると
・解答中に矢印(→)などを使っているもの:当然減点しています。正しい日本語の文章で書かねばなりません。矢印などはメモとして使うのは見やすくなるでしょうが、正式な答案としては不適切だということぐらいいい加減に覚えてほしいものです。
・「対応付けが悪いと非常に扱いづらいものとなる」:「使いやすい」「使いにくい」などの表現では、たとえ内容が合っていてもこの講義の回答としては加点できない。その「使いやすさ」「使いにくさ」の本質・中身を学ぶのがこの講義なのだから。どういう側面で「使いやすく」(にくく)なるのかをきちんと説明していれば加点対象となる。
・「対応付けが悪いとミスがおこる」:この講義で出てきた用語としては「エラー」ないし「ミステイク」ならば正解で加点している。だが、「ミス」というのは一般に使うとして言葉ではあっても、この講義では適切な用語の使い方ではなく、講義をきちんと理解していないようにみえるので加点した上で1点減点した。「間違いをおこす」などのように専門語を使っていない場合には減点はしていない。


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Last modified: Sun June 3 2007