ヒューマンインターフェイス中間試験問題2011年度

1.Normanの7段階モデルについて例を挙げて説明せよ.
2.インターフェイスにおける可視化の重要性を、携帯電話を具体例に挙げて説明せよ.


解説

1.例は適切ではないものが多数見受けられた。加点を0点にはしていないが、内容に応じて減点している。まず、機器のインターフェースではない例では点はあげられない。ヒューマンインターフェイスに関するモデルであることを理解していないとしか考えられない。たとえば「雨が降ってきて傘をさす」という例を挙げた人もいた。傘は機器ともいえるけど、使いやすさが問題となるようなインターフェースという面では適切な例とは言い難い。また、行為系列がものすごく複雑な行為になっているものも、例としてはあまり適当とは言えない。例えば皆で勉強したのだろうが、複数の人が「マウスを操作して何かを検索する」ことを目標とした例を挙げていた。しかし、検索なんて複雑な作業よりも、もっと単純な行為の方が例としてふさわしく、説明も正確でわかりやすくなるはず。また、「行為系列」と「行為系列の実行」の例が正しくない人も結構いた。たとえば、「コマンドを入力すること」が「行為系列」で、そのコマンドを確定する実行キーを押すことが「実行」だとか・・・。
多かった間違いが、「エラーがどの段階で起こったのかわかることが利点」と書いているもの。正解は、「インターフェースのどこに問題があるのかがわかること」である。インターフェースの問題は、ヒューマンエラーとは限らず、もともとインターフェイス側に不具合がある場合も多い。正しく書けば4点加点した内容だが、「エラー」と書いたのでは2点のみの加点にとどめた。
何度も言っていることだが、加点要素を探して加点する採点方法であるため、どんなに正しいことを書いていても一定以上の量の文章を書いていなければ満点にはならない。今回の設問で言うと、この1番だけで答案用紙の半分程度の量を書いている人はほぼ全員が15点以上(20点満点)である一方、7、8行しか書いていない人は10点程度の場合が多い。(ただし、うまくまとめて説明した人の中には10行で満点の人もいる)。量だけがすべてではないので、意味のないことを書いて量を増やしても無駄であるが、試験問題をあらかじめ告げているのだから、10行未満しか書けない答案で十分に勉強して理解しているとみなすことはできない。もちろん7段階を挙げて、その例を挙げただけでは全然不足。
平均点は14.2点。成績が良い人と悪い人の差が大きい。満点は18名、19点も7名。0点が4名、10点未満が16名。


2.全般に大変できが悪い。相変わらず多いのが、「可視化とはボタンにラベルや記号を付けること」とする間違い。ラベルや記号は可視化するための一つの手段であることは間違いないが、それを「可視化」と呼んでいるのではない。「携帯電話は可視化されていて使いやすい」と書いている人が結構多くて驚いた。講義の内容を理解していないらしい。「携帯電話は、機能の数に比較して操作手段が少ないため、基本的に可視化が十分ではない」が正しい。それを前提にした上で、可視化を高める工夫を書いてくれれば満点になるだろう。「可視化がされていないとエラーが多くなる」と書いている解答が多かったが、厳密さに欠ける。可視化がされていないことの問題は、「その機能があることに気がつかず、用意された機能を使えないこと」と「機能を使おうと思った時に、どこを操作すればいいかが分からずに、あちこち探し回ることになること」である。
あとは、2006年度の解説に書いたものと同じ間違いも多かった。それでもこの年は満点が29%もいたんだね。今年と大きく違います。
平均点9.9点/20点満点は、問題を予告しているにしてはひどすぎる。0点が4人。全員何かは書いているが、全く見当外れの内容を書いていたりして、加点要素が見られかった。10点未満がほぼ半数。満点は4名のみ。


なお,どうしても中間試験を受けられなかった人にはレポートを課した.

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Last modified: Sat July 9 2011