ヒューマンインターフェイス中間試験問題2013年度

1.Normanの7段階モデルについて例を挙げて説明せよ。
2.インターフェイスとヒューマンエラーの関係について例を挙げて説明せよ。


解説

1.採点はいつも通り加点積み上げ方式である。それぞれの加点要素について書かれていれば加点している。
この問題では、今年は、「Normanの7段階モデルとはなにか」で最大8点、適切な例で最大6点、「Normanの7段階モデルの利点と特徴」で最大6点、「Normanの7段階モデルの欠点」で最大8点、その他で最大3点の合計31点を加点要素とした。7段階を正確に書いて、その例を正確に書いただけでは10点にしかならない。「Normanの7段階モデルについて説明せよ」という問題なら、その利点・欠点を挙げずに満点になるはずがない。
適切な例を挙げている人は意外に少ない。挙げている例が不適切だと、正しく理解していないと判断される。たとえば、ATMからお金を引き出す例を挙げている人が複数いたが、引き出そうと思ってお金を受け取るまでが1サイクルと説明している例は不正確である。まず、振込、預け入れなどの選択肢の中から引き出しのボタンを押して、次の画面に行くまで、が1サイクルである。同様にデジタルカメラで撮影する行為でも、撮りたい構図を決めてシャッターを押す一連の行為を1サイクルとするのは不正確である。自動販売機でジュースを買うのも同様。これらの場合は2点だけ加点した。また、相変わらずインターフェイスではない例を書く人が結構いた。Normanの7段階モデルは「人間のインターフェイス行為を目標実現行動として捕らえたモデル」であり、当然ラーメン屋に並ぶ行為や、リンゴを食べる行為、富士登山は例として不適切なので1点も加点できません。電車に乗車する行為も電車という機器との関連ではあるが、電車に乗ったか乗らなかったかの行為の差が電車から戻ってくるような操作ではなく、インターフェイスとは言い難いので適切な例ではない。
このモデルの利点を、「エラーが発見しやすくなる」としているのは厳密には正しくないが、こう書いている解答は多かった。この講義では特別に説明がなければ「エラー」とはヒューマンエラーのことを意味するが、人間に問題があるヒューマンエラーだけではく、機器のインターフェイスの使いにくい部分をも発見しやすくしているのだからである。
平均点は14.3点/20点満点。満点者は25名。その一方10点未満も16名もいる。出来がいい人と悪い人の差が大きい。


2.この問題だけに限らないが、「例を挙げて説明せよ」と書いてあっても、具体例だけしか書いておらず、一般化されていなければ加点しづらい。まず一般論を説明し、その具体例を示すのがよい。いきなり具体例から入る解答では、多くの場合加点はもらいにくい。この問題では、今年は、「ヒューマンエラーは必ず起こることを前提にすること」で5点、「ヒューマンエラーは論理的で理解可能であること(含、スリップ&ミステイク)」で最大10点、具体的なヒューマンエラー対策で最大12点、例とその他で最大5点の合計32点を加点要素とした。多数の人がヒューマンエラーの本質がどこかを正確に指摘していて、頼もしいと感じた一方、どこが重要なのか全くわかっていない人もいて、差が大きくついた。
平均点は13.8点/20点満点。満点者は12名のみだが、18点以上は25名。その一方、10点未満が15名いた。


中間試験を受けられずに代わりにレポート提出になった学生は例年よりも多く3人。3名の成績の平均は40点満点で20点を下回った。レジュメを見ながら書けるレポートなのだから、レジュメに書いてあることを書くだけでは不十分で、レジュメに書いていない例などを見て正確に理解しているかどうかを評価することになるわけだが、挙げてある例が適切でないとすれば良い点をつけるわけにはいかない。

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Last modified: Fri July 12 2013