福祉インターフェイス論期末試験問題2014年度

1.宇宙のかなたにあるA星は大気の成分や気温などの環境が地球とそっくりであり、そこに住む高等生物Xは人類とそっくりであったが、ただひとつ記憶力がとてつもなく優れている点が異なっているとする。この星における使いやすいインターフェイスに関して考察せよ。
2.障害者や高齢者のための福祉機器を製作したり選定したりする際には、機能(すなわち、できなかったことができるようになること)を基準にするのではなく、QOL(Quality of Life)向上を基準にすべきである。具体例を1つ以上挙げて、この点を詳しく説明せよ。


解説

1.2007年に(ヒューマンインターフェイスの講義で)全く同じ問題を出しているのだから、2007年度の解説をあらかじめ読んで勉強していればポイントはすぐにわかったであろう。2007年ではあまり出来がよくなかった問題であったが、よく勉強したようで、今年度は比較的できがよかった。的確な指摘をしている解答が多かった。

平均点20.0/30点満点。12%が満点、29点も10%。その一方10点以下が12%いた。

2.これも昨年度の福祉機械論の講義でほぼ同じ試験問題を出している。福祉機械論とは話した範囲が異なるので、同じ採点基準にはしていないが。ただ、講義の最後でも「出すとしたら過去の試験問題と似たような問題」と話したはずで、鋭い人はピンと来たはず。講義でも後半はほぼ毎回このことを強調して話していたんだし。だから予想できたはず。つまり、甘く採点する気はない。しかし、あれだけ強調して説明しているのに、講義をちゃんと聞いていない人、理解していない人が多いのには呆れた。
介護でするか福祉機器で自立するか、について比較して書いている人もいた。しかし、これでは「同じ機能を実現するのにQOLが高まるのはどっちだ」という話であって、題意の「機能が低くてもQOLが高まる方が重要である」「機能が高くてもQOLが下がるようならば問題である」ことを十分には説明していないので、ある程度の点はつけたが、満点とは言えない。
また、講義の前半で話した「滅多に使わない機能をたくさんつけて、機能が多くなりすぎると使いにくくなる」ということを中心に説明している解答もあったが、この設問に対する答えとしては満点とはならない。QOLは使いにくさだけの問題ではないこと、便利な機能であっても場合によってはQOLを下げることがあることなど、の点で必ずしも正しくないからである。もっと極端な例は、高齢者の携帯電話使用を例に挙げている人も複数いたが、設問には「福祉機器」と書いており、携帯電話やユニバーサルデザインの例は適当とは言えない。
また、「車いすでは走行特性ばかりに注目せずにいすとしての特性を考えるべき」、と書いている人も複数いたが、これも不適切である。走行特性といすとしての特性は相容れないものではなく、両立できるのだから、例としては適切ではない。
なお、講義で何度も説明しているように加点方式で採点しているので、具体例が1つの人より2つ以上書いた人の方が高得点になる傾向はあった。もちろん的確な表現で説明していれば1つの例でも満点になるが、表現がややおかしくてその例では減点になったとしても、2つ目、3つ目の例が減点された部分を補って満点になった人は結構いた。ただし、不適切な例をいくつ書いても加点にはならない。

平均点18.7点/30点満点。36%の人が満点だった一方、46%の人が15点未満で、できた人とできていない人に分かれた。


A+:9% A:16% B:16% C:30% F:28%。満点は2名のほか、99点も3名と、出来がよい人は大変良かった。

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Last modified: Wed Aug 6 2014