福祉インターフェイス論中間試験問題2014年度

1.インターフェイスにおける対応付けの重要性を「電灯のスイッチ配置」を具体例に挙げて説明せよ。
2.インターフェイスとヒューマンエラーの関係について例を挙げて説明せよ。


解説

1.過去にも出している問題なので、過去の解説を見てポイントを押さえていれば十分良い点が取れるはず。しかし、相変わらず「例」の話ばかりを長々と書いて、一般論としての「対応付けの重要性」が書けていない人が多く、そのために点がもらえていない人が多い。また、この講義のキーワードを使って説明できていない人も多かった。キーワードがなくても同じような意味であると判定すれば加点、または一部加点しているが、キーワードを使う方がすっきりと短い文章で説明できるはずである。また、過去にも何度も指摘しているが、単に「使いにくい」「使いやすい」では加点できない。その原因となっている部分を明確に指摘してほしいのだが、相変わらず「使いにくい」「使いやすい」と書かれている答案は多い。

また採点の実際を説明する。番号は説明のためにつけたものである。
1.対応付けとは、ユーザが「この操作をすれば、この結果が得られるだろう」と予想したとおりに結果を得られるようにすることである。
2.「電灯のスイッチ配置」で例を挙げると、教室の前から4つの電灯があり、スイッチが4つ縦に並んでいる場合、スイッチの並んでいる順番が電灯の順番に対応していなければ、「2番目の電灯をつけようとして2番目のスイッチを押すと、4番目の電燈がつく」といった様に、目的とは違った結果となり、誤操作の原因となる。
3.対応付けをすることの利点として、ユーザが想定するであろう操作を行った場合、ユーザが想定するであろう結果を得ることができるインタフェースを作成できると、ユーザがその機器の操作説明書を読んでいなくとも、ある程度理解できることである。
4.反対に、対応付けの欠点とは、インターフェイスの操作法がユーザの想定と異なっていた場合、エラーを多く引き起こしてしまうことである。
5.対応付けが行われていないインターフェイスは上記のように誤操作を引き起こし、ユーザが目標とする結果が得られなくなるため、インターフェイスにおいて「対応付け」は重要である。

まず第1文では、対応付けとは何かを述べている。細かな問題はあるかもしれないがおおまかに間違いはなく、2点加点した。
第2文では、例を挙げて正しく説明していること、「エラー」という用語ではないがほぼ同じ意味の「誤操作」の問題に言及していること、「物理的アナロジー」という用語は使っていないが、そのような意味の内容を説明していることから、11点加点した。これは少し甘い採点であり、最初は加点は8点とした。しかし一通り全員の答案を読むと、この程度甘い採点をしないと合格点に程遠い点になる答案が多いことから、この部分の加点要素を甘く見た。
第3文は、日本語としてやや不正確であるが、「操作説明書を読まなくても操作できる」ことを指摘していると甘く解釈して、3点加点した。
第4文は、対応付けの欠点ではなく、対応付けが配慮されていない場合の問題である。また、エラーの問題はすでに加点しているので、加点要素はない。
第5文は、これまで述べたことを繰り返しているだけで、なんの新しいことも言っていない。そのため、加点要素はない。
以上の加点をまとめると、この答案は合計16点となった。

平均点は13.7点/20点満点。満点者は20%。その一方10点未満も18%いる。


2.去年も出しているし、何回も出している問題なので過去の解説を参考にしていれば、満点近い点数は取れるはず。実際過去最高と言うほどできがよかった。きちんと重要なポイントを押さえて書けている解答が多かったが、挙げた「例」が単なるエラーの例になっていて、それが「インターフェイスとヒューマンエラーの関係」とどういう関わりがあるのかわからない解答もいくつも見られた。過去にも何度も解説で述べているように、「例を挙げて」というのは「具体例を挙げて一般論を補強せよ」という意味であり、例が一般論と結びついていなければ得点には結び付きにくい。
平均点は15.9点/20点満点。35%の人が満点。ただし10点未満も10%いた。



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Last modified: Fri July 11 2014