福祉インターフェイス論期末試験問題2018年度

1.スマートスピーカーの操作性についてヒューマンインターフェイスの観点から論ぜよ。スマートスピーカーとは対話型の音声操作に対応したAIアシスタント機能を持つスピーカーである。市販のスマートスピーカーについてでもよいし、まだ市販機としては搭載されていない機能をもったスピーカーでもよいが、機能に関しては採点対象外である。
2.講義の行われたC107教室において、障害を持った学生が講義を受ける場合に、1)どういう問題点があるか、および、2)どういう配慮があれば問題ないかを、@肢体不自由学生、A視覚障害学生、B聴覚・言語障害学生についてそれぞれ簡単に述べよ。ただし、制度や人的補助は除き、機器・設備に関する内容に限定するものとする。


解説

1.数年に一度はその一年で特に話題になった機器の操作性を考えさせる問題を出している。そこでこの一年で特に話題になった機器を考えていて思いついたのがこの問題である。しかし、音声の入出力に関してはバーバルインターフェイスのところで講義でも話しているので、それを思い出してもらえれば新たに考えなければならないところは多くない。その意味では過去最高レベルに簡単な問題だったはずである。ところがバーバルインターフェイスで話した、特に音声入力の特徴について書けている人が予想よりも極めて少なくて驚いた。復習すれば覚えているだろうし、丸暗記しなくても一度習ったことなら半分程度はすぐに思い出せると思うのだが。
 多くの人が「フィードバック」という用語を使っていたが、単にフィードバックと書いただけでは加点していない。なぜこの機器ではフィードバックが重要なのかをきちんと説明してほしい。ただ、「音声を正しく認識できない」「音声が正確に拾えていない」と書くだけでは不十分で、どういう要因でそういう事態が起こるのかまで書いてほしい。そこが「音声操作」の課題であり、そこを正しく指摘できるのかを見ているのだから。
 機器の誤動作のことをミステイクやエラーと表記しているのはこの科目では間違いである。間違った用語の使い方をされると、その用語を正しく理解していないことになり、加点できなくなってしまう。同様に対応付けや可視化に関しても間違った使い方をしている人が意外に多かった。
 また、音声だけの情報出力では十分ではないからディスプレイなど視覚情報も出すべき、という解答も多かったが、それではパソコン等と同じになってしまう。スマートスピーカーの売りは音声だけで操作・情報入手できることなのだから、スマートスピーカーの製品コンセプトを大きくは逸脱しないで考えてほしかった。同様に、音声入力以外の電源スイッチなどについて長く書いている人もいたが、題意は音声入出力の部分の操作性であるのは自明だろう。そう考えれば、この機器の電源スイッチについて書いても加点はできない。
 高い加点をしたポイントとしては、「人間同士の会話で使われる音声を使うので、特別な操作方法を覚える必要がなく、初心者向け」、「実行可能な機能が可視化されていない」、「実行できない機能もわからず、制約がきいていない」、「環境音の影響が大きい」などであるが、講義で話した一般的な音声入力の特徴をすべて書いただけで満点になる配点にしていた。

平均点11.4点/30点満点と極めて悪い。出題者としてこんな簡単な問題でよいのかと考えていただけにあまりの出来の悪さにショックである。講義で話したことすら書けていないのでは話にならない。満点は2名のみ。20点以上も8名のみ。対して10点未満が41%もいた。

2.以前の科目「福祉機械論」の時に何回か出した問題。とはいえ、「福祉機械論」の際にはもっと授業中にいろいろな説明ができていたが、この講義では話した内容が限られているので、「福祉機械論」で出題した時よりは項目ごとの加点を増やし、また甘く採点している。たとえば、「車いす使用者が使うための机がほかの教室にはあるところがあるが、C107教室にはない」という答えが結構多くあったが、ちゃんとありますよ。そういうところを気が付けていない、という点で前の講義ではこう書かれると加点しなかったのだが、問題と解決策には気が付いているということで今回の試験では少しだけだけど加点することにした。また、@ABは均等には配点していません。障害ごとにみた重要度にあわせて加点を決めている結果である。
 以前の試験でもそうでしたが、Bで授業の発声内容が聞き取れないとは書かずに、チャイムの音が聞き取れないのが問題と書く人がけっこういるのですけど不思議です。授業で話したことは聞いても仕方がないのに対して授業の終りのチャイムはすごく重要だと思っているのでしょうか?あと、「教室の後ろの方に座ろうとした際に黒板が見えにくくて問題」と書いている人もいたのですが、それは問題とは言いません。前に座れば解決するのですから。そもそも後ろに座りたいと考える方が間違っています。
 Aでは、黒板が見えないという問題と、レジュメ・映像・Powerpoint等が見えないという問題とは分けて加点した。後者は先生が事前に準備しているので、事前にその学生に配布しておくことでパソコン等と音声出力機器を使ってある程度対応できるのに対して、黒板は事前に準備がされていないも多くて、そのような対応が難しいからです。

平均点18.9点/30点満点。まったく書けなかった人はいないので、なんらかの点は取れていたはずだし、しっかりかけていた人も多い。満点は9名。43%が20点以上。10点未満は9名のみ。


A+:4% A:17% B:23% C:36% F:19%。期末試験の1番で点がとれなくても、中間試験と期末の2番でとれたので何とかC評価の人が多い。


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Last modified: Aug 6 2018