福祉機械論試験問題2004年度

1.BKCキャンパス(及びそのアクセス)において障害者・高齢者に配慮している又は配慮が欠けている設備・機器についてできる限りたくさん箇条書きし,それぞれについて簡単に説明せよ.(制度等は除く)

2.情報の流れという観点で視覚代行を考えると,4つの方式に分類することができる.そのそれぞれについて具体的な機器の例を挙げて各方式の特徴を説明せよ.

3.次の福祉機器から1つを選び,知っていることをできるだけ詳しく書け.

(1)電動車いす (2)意思伝達装置 (3)聴覚障害者用の警報音への対応機器 (4)共用品 (5)義足  (6)福祉車両 (7)入浴用品


解説

1.講義での知識を丸暗記しただけでは役に立たない.身近な例としてどこにどのような機器・設備があるか問題意識をもって生活をしていれば難しくないはずの問題.しかし,満点をあげられる人は13人しかいなかった.1)エレベータ,2)エレベータの操作パネル,3)エレベータの点字の案内,4)エレベータの音声案内,5)障害者用トイレ,6)通常のトイレの手すり,7)建物の入り口のスロープ,8)点字ブロック,9)駐車スペース,10)車いす用の講義机(コラーニングの大教室),などなどBKC内にはたくさんの設備・機器がある.配慮が欠けている個所はもっとたくさんある.ただし,「障害者用トイレはどこにも無い」「点字ブロックが存在しない」などのように機器・設備に言及していてもきちんと見ていないものには点をあげることは難しい(どちらもキャンパスのあちこちにあります).箇条書きしろというのに箇条書きをしていない人も何人もいた.「たくさん」という設問なので,正しい記述をした機器・設備の数で採点した.ただし,建物ごとに配慮の仕方が違っても,同じ機器・設備はひとつとカウントしている.また,あまり本質的でない指摘または障害者や高齢者に特有ではない指摘には基本的には点をあげていない.その理由は,「障害のない若い学生が,自分には不要であっても障害者や高齢者のために必要な設備に気がついているか?」というのが本設問の意図だからである.平均点は19点/30点満点.もう少しできるかと思った.

2.昨年度もそうだが,一問は難しくしようとしており,今年度はこれ.講義では説明したが,あまりできないだろうと予想したとおりであった.最大のポイントは,「情報の圧縮・変換」であり,これについて書いていれば多少記述が不足していても点をつけている.逆にいくらたくさんいろいろな機器について書いても,「触覚」「聴覚」などのキーワードが書かれていなければ部分点はあげにくい.提出済みレポートを問題に置き換えた人は全員2番を選んでました(これも予想通り).平均点は11点/30点満点.満点は1名のみ.

3.例年出している機器の知識を問う問題.昨年よりもずいぶんできがよかった.例年ある数行しかない解答はほとんどなかった.間違いで気になったのが,意思伝達装置で携帯電話のことばかり書いている人と,入浴用品でシャンプーとリンスの容器のことしか書いていない人.どちらも本質を外しているのでほとんど点はあげられない.ポイントを積み上げて採点しているので,重要なポイントを一つ二つ書き漏らしていたとしても,各機器のキーワードをたくさん書き込んだ説明になっていればいい点になっているはず.ただし,本質において間違ったことを書いていた場合には,きちんと理解していないと判断して減点した.ささいな間違いは減点していない.なお,一人だけ1つではなく3つも書いている人がいた.その答案に対しては3つの最低点をもって3番の問題の得点とした.

 なお,レポートについてだが,例年とは異なり手抜きレポートが若干見られた.バリアフリー展を見た人はわかると思うが,ちゃんと見て,体験していれば感想をたった1ページしか書けないはずは無い.そんなレポートは当然のことながらそれなりの点しかつかない.そのため過去はレポート提出者は(たぶん)全員合格していたが,今年はレポート提出者でかつ期末試験受験者から2名の不合格者を出した.

A+:8% A:10% B:20% C:28% F:34%
もう少し落ちるかと思ったが,甘めの部分点が効いたらしく,ぎりぎりでCに引っかかった人が多かったようだ.例年のことだが,単位を本当に欲しいならばレポートを出すべきである.レポートも出さずに試験用紙の最後に「単位が足りないのでお願いします」などと書くのがいるが,努力もせずに口先だけとしか思えない.そんなことを書くくらいならばきちんと(任意の)レポートを出すこと!


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Last modified: Tue Aug 3 2004