福祉機械論試験問題2005年度

1.指先やまぶたなど身体のほんの一部しか自分の意思で動かすことができない人たちがパソコンを使うことの重要性と,それを実現するための機器や制度等について詳しく説明せよ.

2.障害者用車いすと高齢者用車いすとの違いを詳しく説明せよ.

3.次の福祉機器から1つを選び,知っていることをできるだけ詳しく書け.

(1)装具 (2)福祉車両 (3)聴覚障害者用の警報音への対応機器 (4)視覚障害者用歩行補助装置 (5)移乗機器


解説

1.重要性および機器・制度等の両者併せて加点ポイントとなる項目を12個ほど挙げ,それらにひとつ言及するごとに5点として採点した.つまり12個のうち6個について触れていれば満点とした.ちと採点が甘かったかな?はじめは1項目4点にして8個で満点としたら満点者が1人しか出なかったものだからこうした.ずばりキーワードを挙げていなくても,文章でその項目を示唆している部分があればよいものとした.「なぜ重要なのか」に関しては明確に書いていない答案も多く残念であった.単に「それによってQOLが向上する」と書いているものもあった.内容は正しいのであるが,それを言うとこの講義のすべてがそれで正解になってしまう.もう少し具体性がないと5点はつけられない.最も重要な「意思伝達」について書いている人が多かったのはよかったが,それだけの人も多かった.最もきちんと書けていた人(1名)はこの「重要性」だけで4項目20点を取っていた.これに対して後半の機器・制度の方で点を稼いでいる人が多かった.しかし,入力スイッチについてはきちんと書いている人は多かったが,重要な項目である「スキャン方式」等について書いている人が予想外に少なかった.講義中に実演までやって見せたのだが.また制度としての米国の「ADA法」や日本の「アクセシビリティ指針」まで書けている人は本当に少なかったのは残念だった.
ヒントとするために最終講義日にALS患者の生活に関するビデオを見せたので,イメージが湧きやすかったようだが,あのビデオの内容を書いただけでは満点は程遠い.平均点は22点/30点満点.

2.2003年度にも出して,できの悪かった問題.再度同じ問題を出しているというのは,この講義の中で重要なポイントだからであり,今後もまた出すかもしれない.2003年度のときに比べてできはよかったが,相変わらずトンチンカンな答えをしている人も2割強と多い.満点は4名のみ.平均点は17点/30点満点.

3.例年出している機器の知識を問う問題.例年数人はいる全くトンチンカンな答えが存在せず,おそらく過去最高のでき.大変完成度の高い解答が多く,読んでいてうれしかった.よく勉強していることがわかる解答が目立った.

 なお,レポートについては,ほぼ全員がきちんと見学し,体験を通していろいろ考えてくれたことがわかるレポートであった.レポート提出者は全員合格であり,ほとんどがAかA+評価であった.基本的に単位取得の危なそうな学生のための措置なのだが,そういう人があまり提出しない傾向にあるように見えるのは残念である.

A+:6% A:34% B:18% C:22% F:20%
ここ数年でもっともよい成績であった.1番の採点が少し甘かったかとも思ったが,前回に比べて平均点が5点上がった2番や過去最高の3番を考えると,受講者がよく勉強した結果なのだと思い,大変うれしい.


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Last modified: Tue Feb 7 2006