福祉機械論試験問題2013年度

1.福祉機器を製作したり選定したりする際には、機能(すなわち、できなかったことができるようになること)を基準にするのではなく、QOL(Quality of Life)向上を基準にすべきであることを、繰り返し講義で説明した。講義であげた例(たとえば、電子式歩行補助装置、電動義手、車いす、視線入力装置、じょくそう予防ベッドなど)でもそれ以外でもよいから1例を挙げて、この点を詳しく説明せよ。

2.(1)Webのアクセシビリティ、または(2)情報処理機器アクセシビリティのいずれかについて、知っていることをできるだけ詳しく書け。

3.次の福祉機器から1つを選び,知っていることをできるだけ詳しく書け.

(1)車いすのフットレスト (2)補聴器 (3)階段昇降機 (4)点字ブロック (5)入浴用機器 (6)大腿義足


解説

1.問題文にここまで丁寧に書いているのだからできなければおかしいと出題時に思ったのだが、できていない人が多く茫然とした。何度も説明した話で、最後の講義でも強調して話したのだが、ここまで理解してもらえていなかったのかと。この問題が正解でないのであれば、この講義内容を習得したとは認められません。車いすなどの名前に引っ張られて、個々の機器の機能について長々と説明している解答がいくつもあったが、それらは全部ダメ。尋ねているのは、「機能ではなくQOL向上を基準にすべき」ということなのだから、「機能は高くてもQOLを満足できない例」や逆に「機能は低くてもQOLを高めるので選択される例」を挙げればよい。機能が高くてQOLを向上する例では、題意を説明できていないので、加点要素にはならない。そうはいってもゼロ点にすると半数以上がゼロ点になるので、個々の機器に重要な機能ばかり説明した解答では、その記述の正確性と解答の量に応じて5〜10点程度つけた。たとえば電動義手を例に挙げた人はほぼ全滅。ほぼ全員が電動義手は能動義手等よりも機能が高いと書いているが、それではなぜそれなのに日本ではほとんど使われないかを書いていない。使われない理由まで書けていれば満点、書けていなければ10点以下である。また、カラーやデザインが選べることについて書いている人もいたが、これらは機能とは無関係にできる配慮で、加点はしたが、題意とは異なるので、これだけで満点になることはない。「機能が悪くてもデザインで機器を選ぶ人がいる」というような表現なら満点ないしそれに近い点にしたが、そのような解答はいなかった。
平均点は13.3点/30点満点。満点は受験者の18%。一方10点以下が66%と、できた人とできなかった人と明確に分かれた。

2.出題時の想定通り、この問題をレポートに換える人が大多数だった。受験者全体の50%以上がこの問題をパスしている。もちろん授業ではきちんと説明しているし、その意味するところをきちんと理解してもらうことは極めて重要なのだが、過去にあまり出題してこなかった分野だし、勉強できていない学生は多いだろうと想定していた。講義でも言ったように、レポートで換える人がいるから少し難しい問題も一問は出していいだろうと考えているが、この問題は難しくはない。ちゃんと勉強して理解しているかどうかだけ。やや甘めに採点した。
解答者の平均点は14.8点/30点満点。これもできた人とできなかった人との差が激しく、25%が満点だった一方、10点以下も55%。

3.例年だしている知識を問う問題。今年は入浴用機器が一番人気、二番は補聴器だった。全般にできはよかった。


A+:12% A:20% B:6% C:28% F:34%。採点中は半分程度がFになるのではないかと心配したが、テストの成績が悪くてもレポートで救われてC評価になった人が結構多かったので、例年より少し多いくらい。逆に少し採点を甘くしたせいかもしれないが、満点(=A+)が12%と過去最高だった。


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Last modified: Thr July 25 2013