福祉機械論試験問題2014年度

1.BKCキャンパス(及びそのアクセス)において障害者・高齢者に配慮している又は配慮が欠けている設備・機器についてできる限りたくさん箇条書きし,それぞれについて1行程度で説明せよ.(制度等は除く)。

2.手動車いすはその使用者にあわせて各部の寸法を変えたり,取り付け位置を変えたり,パーツを選んだりすることが望ましい。 その理由を説明せよ。

3.次の福祉機器から1つを選び,知っていることをできるだけ詳しく書け.
(1)福祉車両 (2)補聴器 (3)階段昇降機 (4)ベッド (5)装具 (6)移乗機器


解説

1.過去にも同様の問題を出したが、今年は大変出来がよいのでうれしい。採点基準は過去と大きくは変わっていない。同じ機器・設備はひとつとカウントしているので、「プリズムハウスにはエレベータがある」などと建物ごとに指摘しても加点できない。逆に言えば、こう書かれるとプリズムハウス以外にあるエレベータは気がついていないのか、と思えるので、書き方によっては減点している。ただし、たとえば「すべての建物にエレベータがある」というのは実は間違っていて、ついていない建物も実際には存在するが、それは全部を確認するのは簡単ではないので減点はしていない。中には19項目挙げてくれたが、間違っていたり、重要でなかったり、特定の建物のことだったりして16点しかつかなかった人もいて残念だった。たとえば、実際にはあるのに「この建物の入り口にはスロープがない」と書かれてしまうと、いくらスロープの重要性を指摘しているとしても加点しようがない。あと、「階段教室の奥へ上がるスロープがない」という解答があったが、階段を使わなくてもよい場所にいればよいのであり、これも加点できない。同様に「教室の机の間が狭くて車いすが通れない」も加点できない。入口の近くにしかいられないことが受講において不利益になるような特別な事情がない限り、特に問題ないからである。
平均点は点25.5/30点満点。満点は受験者の45%。一方10点以下が10%いたのは残念。

2.基本中の基本で、過去にも同様の問題を出しているから、満点続出でもよいと思っていたが、思ったほどではない。レポートに換えている人も多かった。「理由を説明せよ」という設問なのに、モジュール化などそれを実現する方法を長々と書いている人も複数いた。しかし、それでは採点対象にはならない。高齢者と身体障害者で違う車いすが適することのみを書いている人もいたが、それでは満点にしづらい。それでは、高齢者ならば全員共通の車いすでよいことになってしまうからである。過去に比べて、いすとしての快適性について書いている人は多かったが、逆に走行特性への影響をきちんと書けている人は多くなかった。移乗特性まで書けている人が少ないのは例年通り。いすとしての特性だけをいくら詳しく書いていても、走行特性についてなにも触れていなければよい点にはならない
解答者の平均点は23.2点/30点満点。満点は38%。

3.例年だしている知識を問う問題。今年は装具と移乗機器が人気で、次が補聴器だった。階段昇降機を選んだ人は0人、ベッドは2名だった。装具は、テキストの冒頭の部分を丸暗記して書いている人が多かったが、残念ながらそれでは満点はつけづらい。そこは講義では話していない内容で、ということはそんなところよりももっと知っておいてほしい重要なポイントがあり、それを書いてくれないと点をあげにくいからである。丸暗記している人間は理解していないというのが大半だろう。それよりも、多少間違っていてもいいから、講義で学んだ内容を自分の言葉で書いてくれている人の答案の方が満点になる。


A+:17% A:54% B:13% C:4% F:12%。問題が易しかったかな?過去最高の出来といってよい。


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Last modified: Mon Aug 4 2014