[ 2018年11月 ] の記事一覧

2018.11.10

マーケティングカンファレンス2018


10月は、ラグビーのイベントの話題が続きましたが、
その間に、早稲田大学で行われた
「マーケティングカンファレンス2018」にも参加してきました。
この学会は実務者の方も多く参加される学会です。
また、「マーケティング領域」の
様々な研究会によって構成されています。


数年前にスポーツマーケティング研究会が立ち上がり、
私もできるだけ参加するようにしています。
スポーツマーケティング研究会のトピックスは
「デジタル」、「IT」、「AI」が中心で、
研究ベースだけでではなく、上場企業やスポーツ組織の
「旬」な取り組みを知ることができます。

デジタルやAI、マーケティングというと
どこか冷たく無機質にとらえられるかもしれません。
しかしながら、どのような時代においても、
マーケティングの根底には、人々の幸せ、
社会の幸せの創出を追求することが存在します。
マーケティング学会におけるスポーツマーケティング研究会は、
デジタル化が進む中で、スポーツに関わる研究者と実務者、
組織の果たす使命を確認するような研究会でもあります。

スポーツマネジメントの理論と実践の間にいると
「スポーツは現在進行形」だとつくづく感じます。
そして年々、進行する速度が加速されているように感じています。
このような研究会に参加すると、実務者でも研究者でも
国内外の情報収集をはじめ、勉強量の多さを感じます。
こちらの勉強量が追いつかず、不安になることもありますが、
この学会は、他の研究者や実務者の方に
情報を共有していただく良い機会となっています。

今回の学会の基調講演は、阿久津聡先生、竹内宏高先生、
そして、野中郁次郎先生がご登壇されました。
普段著書やデービット・アーカーやマイケル・ポーターの
翻訳本でお名前を拝見する先生方が
一度に集まられて、大変注目度が高い基調講演となりました。
阿久津先生のお話によると、
竹内先生と野中先生がご一緒にご登壇されるのは
1990年代後半にUCバークレイ校以来で
その際は、ピータードラッカー先生も
ご一緒に登壇された基調講演だったようです。

竹内先生が、ピータードラッカー先生のお言葉を紹介してくださいました。
"You cannot predict the future, but you can create it."

今学期3回生を対象とした授業で、
Marketing of sport と、
Marketing through Sportを大別して講義を行っています。
今回の学会を通じて、Sportmarketing for の後を
より深く考える機会になりました。
この続きは授業で考えたいと思っています。

写真はマーケティング学会の会場とプログラムの抜粋
撮影:ゆ
写真の無断転載はご遠慮ください

#Marketing for Japan
#Marketing for peace
#Marketing for health
#Marketing for happiness
#Marketing for what?

2018.11.09

秋になってきました

みなさん、こんにちは、嶋村です。11 月に入ったとはいうものの比較的暖かい日が続いているように感じます。しかし草木は徐々にその色を変えてきているようで、大学のイチョウの木も黄色く色づきました。なんかいつもと違う感じで始まりましたが、実は今日研究室に来た学生さんに「なんかネタない?」って聞いたところ、「秋になって紅葉(黄葉)が始まってますよ」ってことだったので、今日はこういう書き出しになりました。今日の写真はその学生さんにもらいました、U さん、ありがとう。女性はロマンティック。僕も昔は自然の移り変わり愛で、感傷的になっていたのかもしれませんが、今は忙しくてそんな余裕ありません。。。ちなみに、最近の学生さんはこういうことを「エモい」と言うようです。英語の emotional に由来するようで、「感情が動かされた状態」や「感情が高まって強く訴えかける心の動き」を表現するそうです (Wikipedia 調べ )。ちなみに「エモい」自体は最近の言葉ではなく、僕が学生時代からあったように思います。ただその時は、音楽のジャンルだったような気がします。まあロックの1ジャンルなんですが、僕は好きではありません(笑)。


さて、最近の忙しさの要因の一つに課題の添削があります。僕は割と課題にコメントをつける方なので、大量の課題を捌くのは大変です。じゃあ、サラッと見ればいいじゃないとなるのですが、書いてしまうんですよね。けどこれは生徒のためを思ってしっかり書いてあげようというよりは、「語彙・文法がおかしい!」、「証拠出せ!」、「論文をちゃんと引用しろ!」、「論理が全くわからん!」といった採点中のイライラを表象するものとして書くことが多いです(笑)。まあもちろん結果的にそのコメントを見て、質問に来てくれる学生さんもいるので、それはそれで役立ったいるのかもしれませんが、前に話した僕のアメリカ時代の先生よろしく、英語でワーって書いているので、質問に来ない人ってコメントの意図がわかっているのかいないのか、それとも単にコメントが無視されているのか謎ですね。結局教員も人ですから、学生に対してどういう気持ちで接するかで宿題の添削も変わってくるのではないかと思います。僕自身はとりあえず学生にしっかり学んで欲しいと思いっているので、(イライラして書いてるわけですが)コメントをしっかりつけています。まあ当然と言えば当然なんですが、さすがに全く進歩が見られない課題を受け取ると心が折れそうになる時がありますね。


結局、こういうことは最後は学生の手に委ねられるわけで、つまり学生自身がよくなりたいと思うかどうかなんですね。要は、学生が自分で「やるぞ!」と思って、その気持ちを切らさないようする以外なかなか方法がないので、学生のみなさんがご自身で自分のやる気のスイッチをオンにしてもらう必要があるわけですね(某塾の CM とは違い、自主性を重んじる大学では普通押してくれません。まあ最近はそうも言っていられない大学もありますが 笑)。けれど、惰性でここまで来ちゃったりするとスイッチが錆びついてなかなかオンに入らない人もいるようです。だからと言ってずっとオンな人は疲れるだろうし、そんな人といたらこっちも疲れますね。まあとりあえず、そんなスイッチが錆びついている人は、一日で(30 分とか)少しでいいから大学の授業以外で、勉強道具を広げて机に座ってみることをお勧めします。別に P の宿題でも他の授業の予習でも何かの資格の勉強でもなんでもいいです。一人で図書館に行って、一人で勉強する習慣をつけることです。もし乗り気じゃなかったら、座ってボーッと教材を眺めているだけでもいいです。ただしスマホは触らないこと。そうする時間をルーティーン化(なぜかスポ健には「ルーティーン」という言葉が好きな人が多いようです 笑)することで、徐々に習慣的に勉強するようになるではないかと思います。一度スイッチオンの仕方がわかると意外とオン・オフが簡単にできるようになります。僕は経済学部のダメ学生から言語学者になると決めた時、こんな感じで勉強する日々に戻りました。そして、言語学を勉強するにつれてたくさんの言語の不思議に出会うことができ、今でもその不思議に魅了されています。今の学生生活に改善の余地があると感じている方は、とりあえず定期的に机の前に勉強道具と一緒に座ってみてください。そして、疲れたら窓の外の紅葉した風景でも眺めてみては?


ではでは。

2018.11.08

学会のハシゴ


こんにちは、shinoです。

今週は日中は比較的暖かいですね。
過ごしやすいです。
皆さんいかがお過ごしでしょうか?


先週のブログでも書きましたが、
先週は千葉の木更津と、北海道の札幌で開催された学会に参加してきました。

『学会のハシゴ』をしてきたということです。

どちらも臨床医学の学会でした。
千葉の木更津は日本足の外科学会』というかなり専門的な学会でしたが、
北海道の札幌で行われたのは『日本臨床スポーツ医学会学術集会』というもので、
この学会は、ドクターだけでなく、トレーナーやスポーツ栄養士、理学療法士など、
スポーツに従事するいろいろな分野の人が集まる学会でした。

この学会では伊坂研究室の研究科博士課程3回生の安田さんが発表をしてくれました。



現役のスポーツトレーナーでもある安田さんは、
野球の肩・肘障害と下肢身体的特性との関係について研究しています。
私もこの研究を一緒にしていまして、今回はその成果を発表しました。



しっかり発表し、質問にも的確に答えてくれていたので良かったです。
観ていて安心しました。

会場の評判も良かったと思います。
研究テーマが変わった視点なので、会場にいた人たちも注目してくれたんだと思います。

今回発表したことで、研究内容に関する今後の課題や、次にするべきことは明確になりました。
研究がさらに発展すると思います。

頑張って、最後には素晴らしい研究にして欲しいと思います。

学会発表をすると、いろいろな意見や質問が来ます。
普段考えていないような質問も多々ありますが、それが次の研究へのヒントになることも多いです。

慣れていないと、人前、特に知らない人たちの前では、緊張しますし、なかなか大変ですが、
得ることも大きいと思います。

皆さんも、人前で意見を発表する機会があれば、どんどんチャレンジしてください。


~お知らせです~

BKCキャンパス内にある立命館生協ユニオンショップにて、
サポーターおよびインソールの販売を行っています。



スポーツ傷害後、予防のために、
サポーター、インソールが欲しい、
けど、買いに行く時間がない、
何を買っていいのか分からない。

など、悩んでいる皆さんのために、
生協さんおよび日本シグマックスさんのご協力のもと、
販売することになりました。

購入についてのアドバイスは、
私が行っているスポーツ傷害カウンセリング(https://reserva.be/supocommoで予約できます)
でさせていただきますので、
希望される方は相談に来てください。


2018.11.07

第96回全日本学生相撲選手権大会

こんにちは。

この間の3日、4日の連休、両国国技館で、第96回全国学生相撲選手権大会が
開催されました。



一日めの3日は個人戦。
この日の優勝者が「学生横綱」です。

そして、二日めの4日は団体戦。

立命館大学相撲部は、個人戦で、文学部2回生の大久保賢一君が身長約155cm、
体重約60Kgと小兵ながら、鋭い技のキレで、大きな選手たちをなぎ倒し、
優秀32選手決勝トーナメントに進みました。
これは凄いことです。

二日めの団体戦では、勢いのある相撲でBクラストーナメントで3位となり、
Aクラス予選に進出しましたが、0勝3点、16校中13位で残念ながら敗退しました。

しかし、疲れの溜まった三戦め、対日大戦では、力を振り絞って2勝をあげました。



部員たちには、相撲を通じて、人を尊重すること、人としての力を身に着けて
ほしいと願います。
まだまだです。

ところで、このインカレへ、スポーツ健康科学部の私のゼミの卒業生で相撲部
OBの、河村真平君が来てくれました。
彼は今、大手生命保険会社で社会人として立派に頑張っています。
大学を卒業した時よりも一層立派に見えました。
嬉しかった。



できる限り、いろんな形で、彼のような、社会に出て胸を張って、頑張ることの
できる青年たちを社会に送り出すために力を尽くしたいと思います。

Apollo

2018.11.06

少しずつ…

前に、「たかが卒業論文、されど卒業論文」という内容を書きました。
重篤な疾患と障がいのある子の幼いきょうだいの気持ちとその家族の
あり方について、長い闘病生活を送り、他界したのお姉さんの死を経験
したご自身のライフヒストリーを卒業論文として書き上げました。

大学を退学することも考えていた彼は、このテーマを取り上げると決意
してから、驚くほどに日々変わっていきました。ご家族がお姉さんのこと
を話題にしたことは一度もなく、彼の中には大きなしこりのようなわから
なさがドカンと腰をおろしていました。小学校4年生からつもりにつもった
さびしさは、成人しても消えなかったと言います。

お姉さんの死から4年、卒業論文にこのテーマを取り上げ、ご両親、妹さん
と何度も何度も対話を繰り返しました。彼がはじめてきくご両親や妹さんの
気持ち、吐き出すことにできなかった自身の気持ちも少し表現できたよう。
今年のお正月には、仕上がった卒業論文をご両親に渡し、また語り合えた
ようです。家族がまた家族になったような気がすると話してくれたことが
とても印象に残っています。

長く障がいのある子や大人、その家族、そのきょうだいをテーマにしてきま
したが、すぐそばにいて何度も聞き返すことのできるゼミ生であり、また
きょうだい自身が書いた論文の内容に、はっとさせられることばかりでした。

同じ立場の多くの人に読んでいただきたいという欲求にかられ、教育系の
学会誌に投稿してみました。原著論文としての扱いは難しいが、内容は大変
貴重であり、ケーススタディ(資料)としての掲載という結果でした。
ただ、取り組みそのものについては、一定の高評価をいただきました。
看護や哲学では少しずつ認められつつある「当事者研究」ですが、まだまだ
その価値を押し上げるだけの研究手法が確立されていないことに加え、主観
を問題視されるところに留まっています。とても残念に思います。
それでも、ゆっくり、少しずつ、ほんとうに少しずつですが、私の領域のあり
方も変わってきていることを実感できたことをうれしく思っています。

2018.11.05

秋が深まってきました

朝夕も冷え込むようになりました。
日中は、日差しがよければ非常に過ごしやすい気候となりました。

BKCキャンパスの木々も色づき始めました。

  

朝のエクササイズと思索をかねて、BKCキャンパスの裏山である、牟礼山(標高201m)に登ります。1月ほどまでに登ろうと思い立ち、行ってみましたが通行止めでしたので、先週の土曜日に、再度トライしてみました。

  

遊歩道はきれいに、整備され、非常に歩きやすい状況でした。整備された方々に感謝です。頂上に登ると、BKCキャンパスならびに湖西の山々が一望でき、心が晴れやかになります。

  

ただ、路の所々で、大木が根こそぎ倒れていたり、枝が折れたりと、今年の台風の猛威を示すものがありました。不安定な樹木もあり、赤テープが巻かれているのは要注意なのでしょう。傾きが強いのがありました。

  

激しい気候もありましたが、季節は確実に秋を迎えており、紅葉も始まっています。季節の大きな流れとともに、1日1日の変化を自然が受け止めているの感じました。
我々も、1年1年の大きな流れとともに、1日1日の変化を大事に、発展・成長していくものであるとの想いにもなりました。秋の良いシーズンに、身のまわりのことも含めて、今一度、思索にふけるのも良いものですね。

<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>
江戸川大学の小林 至先生と懇談する機会がありました。一浪して東大に入り、野球部で投手、そのあとドラフトでプロ野球に行かれ、社会人と働きながら、コロンビア大学でMBA、そして現職。非常に前向きで、話の上手な先生です。今回は、訪問教授として、特別講義をお願いしました。
【忠】

2018.11.04

卒業論文、修士論文そして博士論文

スポーツ健康科学部では4年間の学びの集大成として、卒業論文を執筆します。今年度は卒業論文の提出期間が12/4〜12/13ですので、提出まで残り1ヶ月となりました。4回生を見ていると、後期に入り卒論執筆に関わる取り組みが一気に加速し、11月に入り追い込み期に突入したように感じます。

写真は4回生のゼミ生とのミーティングの光景です。机には数日前に出来上がったばかりのグラフを並べ、それぞれの解釈や各結果の関連性をディスカッションし、考察の方向性を定めていきます。スポーツ健康科学部の学生は1回生では「ゼミナール大会」、2回生では「研究入門」と、小集団の授業を通して論文執筆や研究計画書の作成を経験しています。ただし、卒論は個人の取り組みとなり扱うデータ(情報)の量も多く、完成に至るまでの道のりは大変険しいものです。



実験データを綺麗にグラフにしますが、その解釈がわからない・・・当然こういったことも起きてきます。そのため大学院生も同席し、彼らからも細かく説明をしてもらいます。写真のMaruくんは博士課程前期課程の2回生ですが、学部時には彼も卒業論文を執筆し、大学院入学後は様々な研究にチャレンジしてきましたので経験豊富です。データを適切に解釈し、上手に説明をしてくれます。そして、メモを取りながらその説明についていこうとする4回生・・・毎年11月に研究室でみられる恒例の光景です(笑)。論文を書くのは4回生ですが、そこに関わる大学院生にとっても大変良いトレーニングになっています(この時期に大学院生は大きく成長します)。

さて、大学院生に目を移すと、博士課程前期課程の2回生は修士論文を執筆しています。こちらは提出が1月ですので、比較的余裕のある段階です。一方で、博士課程後期課程の学生は博士の学位取得のため博士論文を執筆します。博士論文は複数の研究課題から構成され、各研究課題が修士論文の研究規模に相当するとイメージしていただいて良いかと思います。年度末の博士学位取得に向けては、予備審査会、本審査会、公聴会など幾つかの関門をクリアすることが求められます。先月末に博士学位取得に向けた予備審査会の締切があり、研究科では5名の大学院生が申請を済ませました。いよいよ予備審査会が始まります。

卒業論文、修士論文、そして博士論文という3つの学位論文、内容や規模は異なりますが、最後まで妥協せずに力の限りを尽くして最高の論文を提出してくれることを楽しみにしています。



GOTO

2018.11.03

東大阪市花園ラグビー場 杮落し

3週連続、ラグビーのお話になります。
来年の今頃は、ワールドカップが開催されいます。
ちょうど一年前ということで、国際試合が多く組まれています。

この度、ラグビーのワールドカップの試合会場の一つである
「東大阪市花園ラグビー場」が改修工事を終え、
杮落しの試合、日本代表 vs. 世界選抜(World XV)が開催されました。

今回の改修工事で照明設備も設置され、
花園の長い歴史において、初のナイター試合となりました。
私は、これまで何度も何度も花園ラグビー場に通ってきましたが、
夜に訪れるのは初めてでした。
それに加えて、外観が大きく変わっていて、
来場者はあちらこちらで感嘆の声を上げていました。

また、スタジアムの外周に、たくさんのブースが出ており、
チケットを持たないものであっても楽しめるようになっていました。
花園で開催されるワールドカップの
組み合わせ各国の食事もありました。

スタジアムの中に入ると、正面に
「Hanazono Rugby Museum」が迎えてくれました。
以前も花園の歴史を紹介するコーナーがあったのですが
この度スタジアムに設けられたミュージアムは
試合前後に見学するのに適した規模で、
花園の歴史はもちろんのこと、国内外のラグビー史が
分かりやすく、そして、美しく展示されていました。


立命館大学のラグビー部も、花園の歴史に名を刻んでいました。

新しくなった花園ラグビー場が、2019年のその先に、地元の人々の誇りであり、
世界中のラグビー競技者やファンの憧れの地となりますように。



写真は東大阪市花園ラグビー場
撮影:ゆ
写真の無断転載はご遠慮ください


#日本代表は大健闘
#芝も最高のクオリティ
#雨でした
#寒かった
#立命館大学ラグビー部も良いシーズンを!

2018.11.02

AI と言語習得の話

どうも、嶋村です。遅くなってすみません。金曜日になりましたね。僕はいつも「ネタがない」と嘆いているわけですが、スポーツ健康科学部のブログに載せるような話題がないという非常に限られた狭義の意味での「ネタがない」でして、決して日々何もなく過ごしているわけではありません。なので、毎週何かは書いているわけです。そういうことで、今週も全くスポーツと健康に関係ないことを書きます。


以前研究には基礎と応用があるという話をしたと思います。基礎研究とはその研究が実際社会に役立つかどうかを考慮せず、研究者の興味の赴くままに研究するというもので、応用研究とは基礎研究で得られた知見を使ってその成果を社会に還元させていくような研究のことを言います。なんで、「~先生が、どこそこの会社と新しいサプリメント開発したらしいよ、すご~い!」ってなる場合は、その当該先生は応用研究で成果をあげたことになると思います。そのサプリメントを作る上で、それを構成する化学物質の研究があって然るべきですが、そういうのは基礎研究であることが多いと思います。基礎と応用、どちらが素晴らしいとか重要だとかではなくどちらの研究も必要ですが、バランス良くやることが大切ですね。ただ中には基礎研究の方が崇高だって思っている人が割といるかもしれません、個人的な意見ですが(笑)。


さて、そんな言語学の基礎研究・理論的側面ばかり研究している私ですが、僕がやっていることが世間に全く役立たないかというとそうでもないようです。今日うちの奥さんがたまたま見つけた記事によれば、MIT の研究者たちが、人工知能 (AI) があたかも人間の子供が学ぶように言語を習得する(可能性がある)モデルを開発したそうです。以下のリンクに詳しく書いてあります。


https://www.csail.mit.edu/news/machines-learn-language-more-kids-do


これまでの機械学習は統語と意味を解析するパーサー(解析機)を通してなされてきました。統語とは、大雑把に言って文法のことで、単語と単語がどのように結び付けられて文ができるかを規定する規則の総体を表します。これまでのパーサーは、それが利用する文(データ)にいちいちどのような統語構造を持っているか、そしてどのような意味を持っているかの注釈(アノテーション)を人がつけることによって学習が可能になっていました。ただ、この作業は膨大な時間がかかります。しかも人がつけるアノテーションは必ずしも正確というわけではなく、人によって違うということもあり、人が自然に言語を使う様を正しく反映していないこともあります。


ところが、新しく提案されたパーサーは、上述のようなアノテーション付きの言語データではなく、パーサーに説明付きのビデオを見せて、それを基に映像で流れている事象と説明文を関連させることによって言語を学んでいきます。そして、ある一定の学習期間の後、新しい文を与えられたパーサーはビデオなしで文の意味を正しく予測することになります。人の子供は、生まれた環境を観察することにより言語を学んでいきますから、新しいパーサーはこれに似た手法をとっているということになります。


さて、僕の専門は統語論と意味論で、特に後者は、形式意味論 (formal semantics) といって数学的な概念をたくさん使います。フレーゲ、デイヴィッドソン、タルスキ、クリプキなどの過去の偉大な数学者や哲学者の功績に多くを負っている形式意味論ですが、今お話ししているパーサーがビデオみて学習する際に利用する文は形式意味論的な表示がされているようです。記事によれば、The woman is picking up an apple という文は、λxy. woman x, pick_up x y, apple y と表示されているそうで、ラムダ表記を使って表現されています。ラムダ表記は チャーチという数学者が生み出した数学的道具で、言語学への応用はモンタギューという人によってなされました。まあ数学的には色々特徴があるようですが、数学者ではない僕にはチンプンカンプンです(笑)。重要なことはラムダ表記は数式から関数を簡単に作り出すことができるということです。ここで数式とは文字列でも構いません。例えば、「嶋村先生は(女優の)波瑠が好きだ」という文の意味を考えた時に、我々言語学者は文の意味の値を 1 (真)か 0 (偽)で判断します。例えば「嶋村先生は(女優の)波瑠が好きだ」が真であるのは、現実世界において僕が波瑠が好きな場合のみであり、実際そうなので真になります(笑)。さて、ラムダ表記がエライのはこのような文字列をラムダ抽象化により関数にできるということです。つまり、「λx. 嶋村先生は x が好きだ」という具合に、x の値を求めることになり真偽値を決めることができるのです。簡単に言うと、嶋村先生が好きなモノ(人や物)から命題(真か偽か判断できるもの)へ写像する関数(<e,t> と書きます)を作ることができます。例えば、x の値が「奥さん」なら真になる訳です。なので <e,t> 自体は僕の好きなモノの集合ということになります。


まあ、「今日は、マジでわけわからんぞ」ということになっている人が多いと思いますが(ってそんなに読まれているとは思わないけど)、何が言いたいかというと、形式意味論的な意味が機械学習で利用されているんだなあ~ってことです。形式意味論は非常に数学的ですので、プログラミング言語などとの親和性が高いのですが、このように AI の開発にも利用されているとは知らなかったのでちょっと記事を読んで嬉しくなりました。


ちなみに今日ブログに登場させてしまったうちの奥さんは、先日誕生日でした。僕は彼女が 23 歳の頃から一緒にいますが、そんな彼女も 32 歳です。いろいろ難ありの私ですが、いつも支えてもらっています。僕は一人で生きているわけではないのだと最近つくづく思います。末長く一緒にいられたらなあとも思います。まあ、ちょっとダラダラ書いてしまいましたが、人の叡智の可能性に思いを馳せつつ今日はこの辺で。

2018.11.01

本日より11月です。


こんにちは、shinoです。

本日より11月になりました。かなり寒くなりました。
私が住んでいる所も結構寒いですが、BKCキャンパスはさらに寒いですね。

今週は学会に参加しています。
本日は『日本足の外科学会学術集会』という、足の傷害に関してのみの学会です。
主には整形外科的な内容が多いのですが、
学会開催中の丸2日間は足のことばかりを勉強します。
私の専門が『足・足関節』なので、この学会はよく参加するのですが、かなり専門的な学会です。
明日からは別の学会『日本臨床スポーツ医学学会学術集会』に参加します。

さて、昨日の1回生基礎演習の授業では、
来月に迫ったゼミナール大会に向けてのプレゼンテーションの仕方に関する講義がありました。

種子田先生が日本語のプレゼンテーションの仕方について、
細川先生が英語のプレゼンテーションの仕方について、
ポイントを丁寧に説明していただきました。




学生達は、少しずつゼミナール大会に向けて準備をしていますが、
講義中に流れた昨年行われたゼミナール大会のビデオを観ると、
かなり実感できたのではないかと思います。

昨年のゼミナール大会のビデオでは、今の2回生が発表していましたが、
かなり立派に堂々と発表していました。

私のクラスの学生達も、来月には彼らのようにしっかり発表してくれると思うと楽しみです。

私も聞いていて非常に勉強になりました。
是非ともこれからのプレゼンテーションに活かしたいと思いました。

良い経験になると思うので、
是非とも頑張って欲しいです。