2017.05.26

新企画☆教員インタビュー




ウッチ―先生を発見!誕生日おめでとうございました(昨日)。廊下でたまたまお会いしたJoe先生もご一緒にパシャリ。ウッチ―先生とは同い年。お互い、キャリアの中で大事な時期ですね、頑張りましょう!


さて今日は新企画、以前から「やってみたら?」と言われていた若手教員へのインタビューです。
杉浦の限りある人脈の中から、勝手に厳選した面白そうな先生を紹介していく不定期コーナーです(これで終わる可能性もある)。

タイミング的に「ここしかない、そして、この人しかない」と思い、この方にオファーしました。

大塚光雄先生です!



…ごっつ実験中!
ビビりながら入っていったら(もちろんアポはとってましたが)、「大丈夫ですよ~」と快くインタビューに応じてくださいました。

大塚先生・栗原先生・伊坂先生の論文“Timing of Gun Fire Influences Sprinters’ Multiple Joint Reaction Times of Whole Body in Block Start“は、Frontiers in Psychologyに掲載され、先週から今週にかけて多くのメディアで取り上げられました。

研究の内容は論文やこちらの学部の記事、オンラインニュースなどをご覧ください。
ここでは、第1著者である大塚先生の生の声をお届けしたいと思います。


―まずは論文の研究に関して、この研究の着想はどんなものだったのですか?
大塚先生:もともと400mハードルの陸上選手で、コーチもしてるんですが、現場でよく「ピストル音のタイミングがどうやこうや」という話題が出るんですよ。「あのスターター、ちょっとピストル鳴らすタイミングが遅かった」とか。
ピストルを鳴らすタイミングって、最終的にスターターの主観で決まってるんですね。なので選手の反応時間も変わるだろうな…っていう現場の経験がきっかけでした。

心理学用語に心理的不応期(Telford, 1931)っていうのがあって、陸上の現場でもあるだろうっていうので調べたのが今回の研究です。陸上選手は基本的に動作の再現性が高いんですが、反応時間に関してだけは再現性が低くて、そこだけ低いということは外的な要因が影響してるのだろう、きっとそれはスターターのピストルを鳴らすタイミングだろう…と思いました。

ニュースでは全身反応時間が取り上げられがちですが、他にも関節ごとの反応時間をとっています。肩が一番最初に反応します。これは簡単に言うと、物理的に脳から一番近いからです。肩は100ms下回る反応時間をみせます(※100ms=0.1秒)。腕が先に動いて、脚が動く、という順番です。


(別の実験の最中でした)

― へー、肩が最初に反応するとは意外でした。実験中、なにか大変だったことなどはありましたか?
大塚先生:学外から一流選手に来てもらって実験していたので、事故があったらあかん…と思って神経使いましたね。
ちなみにまだ続編もあります。投稿準備中です。

―それは楽しみですね!メディアの反響はいかがでしたか?
大塚先生:プレスリリースに9社反応が来て、全部取り上げてもらいました。ネット掲載70件超え、yahooトップ、NHKの朝のニュースでも流れました。
タイミングがよかったです。ちょうど桐生選手がフライングしてしまったのと、10秒を切る、切らないの話題が出ている時期だったので。

―では最後に、学生に向けて一言。
大塚先生:これは完全に僕の興味から始まった研究で、先行研究がどうこうとか、流行りの研究とかじゃないんですよ。ぜひ自分の疑問を大事にして、自分が楽しめる研究をしていってください。



15分程度お話を聞かせていただきましたが、あれだけ話題になってもおごらず、真摯に研究に向き合う姿勢が感じられました。
現場と研究をつなぐという強い想い、私も見習わなければなりません。

大塚先生、ご協力ありがとうございました!

ほかの若手の先生、突然お願いすると思うので覚悟だけしておいてください。

Hitomi