2018.04.24

スポーツ人文社会学特論

大学院前期課程の授業のひとつに「スポーツ人文社会学特論」があります。
自然科学領域を専攻する学生を中心にスポーツ人文社会学の基礎を学ぶ授業です。
スポーツマネジメント領域は種子田教授が、スポーツ教育学領域は私が担当します。

初回である先週の課題は、スポーツ科学あるいはスポーツ健康科学(どちらかは受講生が決めます)の体系化でした。テキストや文献を一切参考にせず、各受講生が自身で考え、A3用紙に体系図を作成し持ち寄りました。25人の受講生それぞれの25の体系図。同じものはひとつもなく、似ているものもありませんでした。それぞれユニークな体系図です。

どの体系図にも、自然科学領域に含まれる分野は網羅されているのですが、人文社会学領域に含まれる分野はなかなか難しいようです。スポーツ原理・言論、社会学、哲学や歴史、文化、などをはじめ、その他の人文社会学領域の分野がなかなか見当たりません。そういう意味では、この授業の位置づけ、重要さを初回から実感しました。

スポーツ教育学、スポーツマネジメントとは何か、その役割は、意義は?
各専門分野だけを取り出してみても、全体像が見えなければ、その分野の意義や意味は見えません。
自身が研究する意味や意義、他との関連、自身の立ち位置が見えません。
それは、〇〇町1番地に住んでいるとわかっていても、市区町村、都道府県、国が見えないのと同じです。

この授業の目的は、シラバスにあるように「近視眼的なアプローチではなく、多面的な視座から捉えることのできる力を培う」です。まず、自身の領域も含め、全体の中のスポーツ教育学の位置を見出すことから出発です。

初回授業の後半は、4~5人のグループを組み、それぞれの体系図の説明をした後、各グループでよりよい体系図の作成をしました。が、十人十色の体系図、なかなかすり合わせも難しく、まとまらない様子。「う~ん」とうなる声、鉛筆が宙に浮いている手、書いたり消したりで真っ黒になっていく紙、それぞれが熟考しています。

今週は、グループで作成した新たな体系図を各自がバージョンアップして持ち寄ります。
課題は2つ。
(1)2つの文献を参考に、体系図のバージョンアップ。ただし、同じものを作らない、引きずられない。
(2)体系図に使用するすべてのことばの定義をする。
スポーツをはじめ、スポーツ科学、スポーツ健康科学。そもそも、科学とは何?
基礎科学と応用科学、社会学、社会って? などなど、多くの定義が必要になります。

「う~ん」と悩み、考え、熟考し、バージョンアップされた体系図を楽しみにしています。