2018.05.20

頑張る大学院生

5/29から6/2にアメリカのミネアポリスにおいて第65回アメリカスポーツ医学会(ACSM)が開催されます。スポーツ医科学関連では最大規模の学会で、大会期間中に2000以上の研究発表が行われ、日本からも多数の教員や大学院生が参加をします。

ACSMにおける発表は口頭発表(前に出てパワーポイント・スライドを使って発表するスタイル)とポスター発表(B0サイズの大型ポスターを掲示して、その前で参加者と質疑応答を行うスタイル)に大別されます。発表形式は演題登録時に本人が選択できるのですが、口頭発表が可能な会場数には限りがあり、演題の大部分はポスター発表となります。ポスター発表は巨大なホールで実施され(数百枚のポスターが同時に掲示されます)、発表者は自らのポスターの前に立ち、ポスターを訪れた参加者と質疑応答を行います。この他に、ポスター発表の一部の演題はThematic poster sessionとして小会場(部屋)で実施されます。このセッションはまず参加者が自由にポスターを閲覧し、その後、一人ずつ発表内容を説明した後に、10分間の質疑応答を行うという特殊なスタイルです。壇上で発表する口頭発表と同様に難易度が高く、日本人にとって苦手とする発表形式です。

Thematic poster sessionは、登録された演題の中から特に注目度の高いトピックに関する演題を主催者側が選出しているようです。私の研究室の発表はこのThematic poster sessionに割り当てられることが多いのですが、今年も大学院生2名が「低酸素トレーニング(Hypoixc training)」のテーマでThematic poster sessionでのプレゼンを行います。そのうちの1名のYくんはスポーツ健康科学部を卒業後、4月から大学院に進学をした博士課程前期課程1年生の大学院生です。学部時から体育会(カヌー部)でアスリートして頑張る一方で成績も良く、学部成績優秀者である西園寺育英奨学生としても選ばれていました。



学会発表は学部時に経験しているものの、国際学会での発表は初の経験です。そしていきなりThematic poster sessionということもあり、連日、発表練習や質疑応答の練習を繰り返しています。自身の実験もあるために平日は7時過ぎには登校します。日中は実験やデータの解析、授業、研究室のミーティング(勉強会)などが続きますが、それ以外の時間をみつけ毎日最低でも1時間は発表練習や質疑応答の対策を行っています。大学院生というと比較的時間に余裕のある生活をイメージされるかもしれませんが、特に、スポーツ健康科学研究科では彼のように終日、スケジュールが詰まっている大学院生は珍しくありません。一方で、このようなトレーニングを大学院入学直後から繰り返していくことで、短期間で急激に力をつけていきます(本人にとっては大変ですが)。発表練習は地道な作業です。ただ、毎日同じ練習を繰り返す中で、Yくんの確実な成長を感じることができます(教育者としての一番の楽しみですね)。現時点で仕上がりは50-60%程度といったところですが、渡米までの約1週間で最後の追い込み練習をサポートできればと思います。学会での発表の様子は現地から改めて報告いたします。