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2014/11/11 首都大学東京 人間科学研究科 准教授樋口貴広先生によるセミナー「知覚・認知の視点から運動をとらえる-移動行動を中心に」の講演がありました。


 2014
1111日(火)18:00-19:30 に、首都大学東京 人間健康科学研究科 准教授の樋口貴広先生に、『知覚・認知の視点から運動をとらえる―移動行動を中心に―』と題してご講演頂きました。

 講演では、知覚・認知と身体運動の相互作用について、1)移動行動の知覚運動制御、2)聴覚的運動制御、3)Inattentional Blindness(非注意性盲目)の3つの話題に基づいて解説いただきました。

 はじめに、移動行動中の隙間通過行動や、密集の中で接触を回避する回避行動を例に、(1)通り抜けようとする隙間の大きさに関する視覚情報は、身体幅との相対値に瞬時に変換される事で、安全な通過を可能にしている事、(2)これら隙間幅や身体幅は静的な状況で意識的に判断しているのではなく、動きの中で潜在的に知覚されている事、(3)競技中に回避行動を必要とするフットボール選手などにおいては、動きの中で空間関係を知覚できる能力が優れている事、(4)これら能力は学習した環境の中でこそ発揮される事(学習の特殊性)についてご紹介いただきました。

 次に、視覚情報の利用できないブラインドテニス熟練者は、たった23回の音情報を基にボールの落下位置を正確に知覚でき、その位置に対して予期的に動作を開始している事を例に、聴覚情報を利用した優れた知覚運動制御についてご紹介いただきました。

 最後に、歩きスマホの際の視野の研究や審判誤審を例に、明らかに視野に入っていても注意していないと見えない、すなわち集中していないものに対して盲目になってしまう事=Inattentional Blindness(非注意性盲目)について解説いただきました。

 知覚・認知がスポーツの場面においてどのような役割を果たすのかといった最先端の研究事例にも多数触れて頂き、我々スポーツ健康科学部の聴講者にとって非常に興味深く有意義な内容でした。知覚・認知と身体運動の相互作用について学びを深める事ができました。