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2016/7/14 スポーツ健康科学セミナーⅡにおいて、大阪市立咲くやこの花中学・高等学校教諭の西井綾氏が「保健体育科教員の仕事」について講演して下さいました。


西井氏は、まず、「保健体育教師といえば?」という質問を学生に投げかけ、それに基づき、学生たちが「体育教師」にどのような印象やイメージを抱き、またどのような教員になりたいと考えているのかを問いかけられました。多くの学生が、「熱血」「厳しい」「スポーツが得意」「生徒との距離が近い」と回答する中で、「生活指導の先生」や「スポーツや健康のことを理論的かつ実践的に教えてくれる人」といった意見も見られ、そのように抱いた印象やイメージにこそ、保健体育教員の現状や理想、さらにはあるべき姿が投影されていると述べられました。

次に、西井氏は、学校という組織がどのような組織であり、その組織で教員がそれぞれどのような役割を果たしているのか、また「教師」としての仕事と、「保健体育教師」としての仕事の違いや、教員にとって大切な「授業」のあり方やそれをどのように教師がプロデュースするべきかについて、具体的な事例を織り交ぜながら、説明されました。中でも教師は、「子どもたちは、なぜ学校に来るのか?」という素朴な疑問の中にこそ、学校の存在や教師が子どもにどのようにかかわるべきかという本質があると説明され、「児童・生徒」をしっかりと知り、多様な子どもたちの事情を把握した上で、「子どもたちの可能性を信じ、その可能性を開花させることに全てを捧げる」という教師にとっての大切なスタンスについて述べられました。また学校教育において、「教科指導と生活指導の両輪」を機能させることが、子どもたちの学校生活の基盤であり、人生を自分の力で歩んでいくための模索期にいる子どもたちに対して、偏狭的にならずに、感受性を高めるために様々なことにチャレンジするように伝えているとも述べられました。

西井氏の講演の中で特に印象に残ったことは、教員が「教師としての自分」を確立する上で、「フィロソフィーとメソッド」が重要であると述べられたことでした。学校には、体育を好きな子もいれば、嫌いな子もいて、また体育が得意な子もいれば、不得意な子もいる中で、特性の異なる子どもたちの可能性をどう伸ばすかということは、教師が子どもたちをどのような眼差しで見つめるべきか、また保健体育科という教科が持つ特性がどこにあるのか、さらには、多様な子どもたちに対して、どのようにアプローチするのかという持ち札(メソッド)の多さが、教師をする上で重要になるということでした。