ニュース

education

「立命館」の扉を開いた新入生のみなさんへ


「立命館」という学び舎の扉を開いた新入生の皆さん、入学、本当におめでとうございます。

「立命」の名は、孟子の「尽心章句」に由来します。その「盡心(尽心)」という言葉は、文字通り「心の限り尽くすこと」、つまり、物事の真理・真相を、精神と知能の限りを尽くして知ろうとすることを意味し、立命館は、皆さんにとって、「学問を通じて、自らの人生を切り拓く修養の場」であり続けたいと考えています。

皆さんを新入生として迎え入れる2020年度は、皆さんにとって、また我々教職員にとっても特別な時を迎えることになります。それは、1869年に西園寺公望が私塾「立命館」を創始し、その意志を引き継いだ中川小十郎が立命館大学の前身となる「私立京都法政学校」を創設して、今年で120周年を迎えます。また皆さんが学び舎として選んだスポーツ健康科学部は、2010年度に産声を上げ、今年度に創設10周年という記念すべき時を迎えます。

10年の時を刻んだスポーツ健康科学部がこれまでも、そしてこれからも変わらずに大切にしていることは、人々や社会の健康と幸福、そして平和に貢献しうる「人財」を社会へと送り出すことです。その人財像とは、志高く未来を切り拓くことができる人、つまり、我々は、「未来を生み出す人」を育成したいと考えています。このミッションを実現するために、我々は、新たに“CREA”というビジョンを掲げました。この“CREA”という言葉は、イタリア語で「創造」を意味します。

CREA”の“E”は、“Edge(智を極む)”ことを意味し、深く論理的に考える力を身につけるための深い教養を習得することで、スポーツ健康科学分野で尖った研究・教育を可能にする行為者を育成したいという想いが込められています。

CREA”の“C”は、“Collaboration(異分野を紡ぐ)”ことを意味し、ひと、日々の出来事、経験、可能性などに対して働きかけ、その「可能性の束」によりをかけてキャリア、幸福、新しい創造物を生み出そうとする行為者を育成したいという想いが込められています。

CREA”の“R”は、“Resiliency(主体的に挑む)”ことを意味し、常に前向きに挑戦し、失敗してもまた立ち上がって挑戦する行為者を育成したい、またしなやかに、逞しく生き抜く力と勢いを身につけてほしいという期待を込めています。

そして、“CREA”の“A”は、“Attraction(ひとと組織が輝く)”ことを意味し、そこには、「個」が輝いて始めて、「組織」が輝くということが根底にあり、そのため、一人ひとりに違いがあること、またその違いを認め合いながら、その全てが同等であることを理解し、一人ひとりが自らの輪郭をつくり上げ、魅力的になることがスポーツ健康科学部の輝きにつながり、学部がより魅力的な「場」となるという考えに基づいたものです。

いまここにないものやいまここにない世界といった「未来」を創るためには、新しい「知」を生み出す必要があります。つまり、豊かな「知」が豊かな「社会」や「未来」を切り拓きます。新しく、そして豊かな「知」を生み出すためには、ひととひととの関係によって紡がれる想像的かつ創造的な協働作業が不可欠です。その「ひととひととの関係」は、決して同質なものではなく、これまでとは違う感覚や価値観といった「異質な関係」がより重要となります。異なることや違いがあることに違和感を抱くのではなく、それぞれの違いを尊重し合いながら、学び舎で共創と協奏を繰り返し、「未来を生み出す人」になってほしいと思います。

新型コロナウイルスのパンデミックにより、新しい門出を迎える皆さんにとって、また皆さんを迎え入れる我々教職員にとっても、大変厳しい試練に直面していますが、皆さんが選んだこの学び舎である立命館大学という総合大学の強みを活かしながら、人々と社会の健康と幸福、平和に資するスポーツ健康科学を極めて下さい。

 

立命館大学スポーツ健康科学部

学部長 長積 仁

「立命館」の扉を開いた新入生のみなさんへ(PDF版)

(ニュース)20200401-1