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スポーツマネジメント論:特別講義「曲がり角に来た五輪ビジネス-ど~してこうなった?ど~すればいい?-」

去る2021628日の「スポーツマネジメント論」において、本学部の客員教授であり、桜美林大学教授の小林至先生に開催まで1ヵ月を切った「東京オリンピック・パラリンピック」にちなんだテーマでご講演いただきました。今次の状況を踏まえて、オンラインでの授業となりましたが、時勢を捉えたテーマということもあり、学生を引きつける授業となりました。

小林先生は、東京大学から3名輩出されたプロ野球選手の一人であり、千葉ロッテマリーンズに2年間在籍され、引退後、海外で学位取得後、福岡ソフトバンクホークスの取締役などを歴任され、現在、桜美林大学教授として、スポーツ経済学などの教育・研究を手掛けられています。

講義では、まず、202155日付けにおける「ワシントン・ポスト」のコラムの一節を紹介され、オリンピックにおけるIOC(国際オリンピック委員会)のビジネス手法に世界中から批判が殺到していることと、その理由について述べられました。そして、そもそも「近代オリンピック」がどのように発祥し、「近代オリンピックの父」と呼ばれるピエール・ド・クーベルタン伯爵がどのように苦心しながら、オリンピックを開催・運営していたのかについて述べられました。

次に、オリンピックが過渡期を迎えた1976年に開催された「モントリオールオリンピック」と、1984年に開催された「ロサンゼルスオリンピック」の事例を取り上げながら、「オリンピックビジネス」について説明されました。とりわけ、前者のモントリオール大会では、財政難に苦しみ、オリンピック開催後、30年もの期間、市民が「宴の後始末」となった多額の負債に苦しめられていたこと、またこの大会を機に、オリンピック開催に名乗りを上げる都市がいなくなったこと、そして、「国威発揚」として、税金を投じるのではなく、「完全民営化」を掲げたピーター・ユベロス氏がロサンゼルスオリンピックで500億円以上の黒字を生み出す、「ビッグビジネス」になったビジネススキームなどについて説明されました。

その一方で、「儲かるビジネス」となったオリンピックビジネスが、IOCに巨額の富をもたらすものの、開催都市は、全く儲からない仕組みについても説明され、開催に名乗りを上げる都市が激減していることや、このままでは「人類の宝」ともいえるオリンピックというビッグイベントが消滅してしまいかねないため、「持続可能な五輪のための提案」について具体的に述べられました。

小林先生の講義は、先端の情報を提示したり、またこの1年間のオンライン授業のスキルも活かしたりしながら、授業を進められました。授業は、有意義であっただけでなく、あっという間に講義時間が終わり、講義後に学生が講義内容について、熱心に質問するシーンも見受けられました。

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