学部紹介

学部長からのメッセージ

MESSAGE

皆さんは、「スポーツ健康科学」、あるいは、「スポーツ健康科学部」という言葉を目にしたり、耳にしたりしたとき、瞬時にどのようなイメージや印象が浮かび上がるでしょうか?

保健体育教員、体育会系、アスリート、トレーナー、スポーツが好きな人の集まりなどなど…

出来事の受け止め方やものの見方のことを「認知」と呼びますが、私たちの認知は、目の前で生じた事象や現象に対して素早く反応し、瞬時に考えやイメージが湧き出る「自動思考」によって支配されています。多くの自動思考は、過去の経験や環境によって、知らず知らずのうちに培われていくため、多くの企業が「ブランド」を構築することに余念がないのは、消費者がそのブランド名やブランドロゴを目にしたときの自動思考に対して、高評価・好印象を植え付けたいからに他なりません。

自動思考は、過去の経験知を活かし、物事をより早く認識・判断して、意思決定を早めるために役立ちますが、過去の印象や固定観念にとらわれ過ぎると、認知に歪みが生じて、変化していることや新しい可能性に気づかなかったり、本質を捉えることができなかったりしてしまいます。そのように考えれば、「スポーツ健康科学」は、多くの人が自動思考によって意味づけている印象やイメージにとらわれたままになっていないでしょうか?「自動思考」を払拭するためには、人々の認知や活動のフレームを変えるための「リフレーミング」が重要になります。

e-sportsによって人の認知機能が向上したり、スポーツ実施やスポーツ観戦などの行動が喚起されたりするのか、運動するだけよりも、食品素材やサプリメントの摂取と組み合わせる方がフレイルやサルコペニアの改善につながるのか、他者を羨み、妬むという感情を、自分自身のモチベーションの向上につなげることはできないのか、スポーツ健康科学を活かしたSDGsによって、「三方よし」の地域活性化が図れないのか…などなど、スポーツ健康科学における「探究」には枚挙にいとまがありません。スポーツ健康科学は、人々の心身の健康だけでなく、生きがいや幸福感(well-being)の創出、また豊かな社会づくりや世界の平和に貢献する学問です。そして、皆さんが思っている以上に、スポーツ健康科学の領域と可能性は多岐に渡り、さらに広がり続けています。

自動思考にとらわれがちなスポーツ健康科学をリフレーミングし、この学術領域における「可能性の束」に皆さん自身が働きかけ、いまここにない未来を創る主体になって下さい。皆さんの意思が、未来を生み出します。

スポーツ健康科学部 学部長

長積 仁
長積仁学部長