リレーコラム

2012年04月02日

サービスラーニングセンター 副センター長
山口 洋典

サービスラーニングはわかりにくい?~前置詞を入れて考えてみよう!

驚きと疑いのまなざしの中で

「立命館大学にはサービスラーニングセンターがあるんです。」この説明に対する反応は、2つに分かれます。それは「すごいですね!」と「何ですか?」という具合に、「!」という驚きと「?」という疑いの両極端となっています。とりわけ驚きの声を上げる方には学外の方が多く、疑いの声を上げる方には学内の方が多いように思えます。
立命館大学サービスラーニングセンターは2008年に設立されました。その前進は立命館大学ボランティアセンターです。「ボランティア」のためのセンターを「サービスラーニング」のためのセンターへと、役割を見直し、名称が変更されたのです。ただ、同じ場所で、「それまで」の事業の継続・発展にも取り組んでいるため、このコラムはを記している2012年3月の時点では、学内において「サービスラーニングセンター」より、圧倒的に「ボラセン」として認識されてきています。
確かに「サービスラーニング」は聴きなじみがない用語かもしれません。第一、「サービス」という言葉を聞いても、あまりよく響いてこない人もいるでしょう。例えば、サービス残業という表現におけるサービスとは、まるで「おまけ」のことのように捉えられるかもしれません。もちろん、ある人にとっては「ボランティア」の方が「無償の愛」といったイメージを引きずって「うさんくさい」と感じる場合もあるでしょう。
ただし、サービスラーニングセンターでは、他者への関わり(サービス)を通じて学ぶ(ラーニング)という、参加型学習を進めるために、多彩なプログラムを展開しています。そもそもサービスラーニングとは、とりわけ米国を中心に提唱、開発されてきた概念です。少し堅い表現を使うなら、学習者と活動先とのあいだで「互恵」がもたらされるか、ここに力点を置かれています。そのため、共通教育推進機構という、教学機関に位置づけられ、教員やスタッフが学生と受入先と連絡調整を図ってカリキュラムが展開されています。

似て非なる学び方

新しい言葉に出会ったとき、仮にそれが2つ以上の言葉による複合語の場合には、それらを2つに分解し、あいだに前置詞を入れてみると、意外にその概念が明らかになることがあります。実際、サービスラーニングについては、サービスとラーニングに分けてみます。そして英語の文法に従って「learning ( ) sevevice」という具合に順を入れ替え、どんな前置詞が適切かを考えてみてください。結論から言えば、サービスラーニングとは、既に述べている「通じて」という意味の「through」が適するはずです。
サービスラーニングでは、単に「現場で(in)」でもなく、そして殊更に「現場のために(for)」だけの学びではありません。現場での学び(in)はインターンシップやスタディーツアーなど、大学以外に身を置くことを意味します。また、現場のための学び(for)は講義やゼミや書籍など、大学内で多彩な方法により知識と認識を肥やしていくことを意味します。
つまり、サービスラーニングにおける現場を通した学び(through)では、大学の内と外を頻繁に往復しながら、活動の「軌跡」を振り返りつつ、その後の動きを考えることがが必要です。それは「ただ、誰かが何かをする」だけでは、よりよい未来を導くことができないという点で、阪神・淡路大震災や東日本大震災の復興とも重なるところです。そのため、米国等では学びの鍵を「reciprocity and reflection」と示しています。出会いと関わりの中で互いに恵みがもたらされる(互恵)ことが大事なのです。

果たして、サービスラーニングという言葉に興味を持っていただけたでしょうか?あえて馴染みのある「ボランティアセンター」から名称が変更されたのは、他者に何かをすることではなく、そこからの学びを重視しているためです。そしてインターンシップと異なるのは、どこかで何かを体験することよりも、誰に何ができたか、できなかったかを振り返りながら、相手との適切な関係構築をすることを重視しているためです。立命館大学では両キャンパスにサービスラーニングセンターが設置されていますので、衣笠キャンパスなら学而館1階に、BKCならセントラルアーク2階に、地域との関わりながらの学びへの扉を開けに、足を運んでください。