コラム

Column

びわこ・くさつキャンパスとサービスラーニング

スポーツ健康科学部 准教授 小沢 道紀
・びわこ・くさつキャンパスのこれまで
 びわこ・くさつキャンパス(以下:BKC)は、2014年度にはキャンパス開設から20年を迎え、人間で言う成人の年になりました。元々は、理工学部が衣笠キャンパス(以下:KIC)から1994年に移転して、開設されたのですが、その後、様々な学部が増え、2015年4月からは、大阪茨木キャンパス(以下:OIC)も開設されます。
 BKCの開設に当たっては、滋賀県および草津市から様々な支援をして頂いて、現在のキャンパスの敷地が作られています。この開設当初は、下宿できるようなマンションもほとんどなく、南草津駅もありませんでした。
 その後、様々な交通網などが整備され、現在のBKC周辺、南草津駅周辺の姿となりました。南草津駅には新快速が停まるようになり、新名神の草津田上インターができ、駅前のフェリエや西友ができ、居酒屋も多くなりました。また、住宅地や駅前の家族向けマンションも、近年できてきたものとなります。
・キャンパスの環境とまちの環境
 BKCは、郊外型のキャンパスですので、学生生活を送っていく上での色々な課題がまだまだ残っています。例えば、南草津駅から大学までのバスの混雑の問題があります。自宅から通学している人にとって、雨の日の南草津駅の混雑は、嫌だなぁ、と思うと思います。また、下宿している人にとっては、安全な通学(毎年事故が何件かは起きています)ができるような環境の問題もあります。
 こんな交通の問題は、当然ですが、学生だけの問題ではありません。道路は様々な人が通っていきますし、また、自転車やバイクの事故は、加害者にも被害者にもなります。そして、雨の日は、車の量が増えますので、渋滞が起こりやすくなり、大学まで来るバスも影響を受けていきます。
 つまり、雨の日に、バスが混雑しているから増便する、と言う事だけでは、渋滞が激しくなるばかりで、実はもっとバスが混雑し、時間がかかるだけかもしれません。社会の中の多くは、様々なモノやコトが関連して成り立っていますので、問題解決のためには、自分のための解決だけでなく、周りの人の問題も併せて解決していくことで、全ての関係している人にとって、より良い解決策を生み出す事が可能になるかもしれません。
・BKCにおけるサービスラーニングの役割
 先に出したような雨の日の混雑の問題のような事に対して、ただ、嫌だなぁ、と思うだけでなく、嫌だから変えてみたい、変えるために何か取り組んでみたい、と思ったら、どうすれば良いのでしょうか。
 例えば食堂の混雑のような大学内の問題であれば、学友会を通じて、大学に意見を出す事で、変える事ができるかもしれません。ただ、大学内での問題解決になったとしても、雨の日の混雑のように、地域の方も加わらないと解決できないような問題は、どうすれば良いのでしょうか。
 実は(あまり知られていないと思いますが)、大学内で学部を問わずに問題意識を共有して課題解決に取り組んでいけるところとして、サービスラーニングセンターがあります。特にBKCでは、地域の人から、色んな問題解決に若い学生の知恵やアイデア、パワーが欲しい、と期待されています。
 大学内だけでは解決できない問題、大学内だけでは出てこない発想、大学内だけでは会えない人々、大学内だけでは実行できないイベント、こんな事も地域の方と協力し、取り組んで行くことで可能となります。
 サービスラーニングセンターで、自分の生活環境がこうなった方がいいなぁ、という思いを実現してみませんか。
・BKCサービスラーニングセンターの新しいプログラム
 こんな地域の方と協力して課題を解決していくプログラムとして、今年度から新たに「農」のプログラムを展開していきます。草津市でも、都市型住民と農村型住民の間に交流がほとんどなく、また、古くから住んでいる人と新しく住み始めた人の間の交流があまりありません。また、スーパーで農産品を見る事はありますが、どうやって作られていて、作っている人はどんな思いで作っているのか、を知る機会はほとんどありません。
 また、例えば食べ物に関して、安全・安心や、大規模化、競争力の確保、など話題には事欠かないですが、こういった報道される事は、はたして今農業に関わっている人にとって、どう捉えられるのでしょうか。また、どんな思いで未来に向かって取り組もうとしているのでしょうか。
 日本は今、人口減少の中にあって、大規模都市以外は、将来が危ぶまれています。併せて一次産業の従事者も減り続け、将来の存続が危惧されています。この一次産業が地域を支えてきた産業の重要なものの一つだったのですが、30年後、40年後を考えた際に、存続の危機にあるかもしれません。
 また、一次産業の高齢化が進むと、取れる作物にも影響が出てきます。例えば大根のように収穫時に力が必要になるようなものや、果樹のように手間がかかるものは、高齢化が進めば進むほど、作られなくなっていきます。
 「農」に関して、社会の中で、ここまで書いてきたような色々な課題があります。そこで、新しいプログラムでは、草津市の近郊型のハウスでの葉物野菜の栽培に関わり、今農業は、またそこでの働いている人はどんな事を考え、また何が問題なのか、を理解してもらいます。そのために、農家の方に無理を言って、可能な限り同じ敷地内で寝起きをして実習ができるようにしていきます。

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