子ども社会専攻企画「地蔵盆プロジェクト2014」

Posted on 2014.08.29

京都のどこでも見かける「お地蔵さん」は子どもをまも
る仏様。京都の伝統行事「地蔵盆」は、8月23日前後
に町内のお地蔵さんの前で子どもたちの健やかな成長を
祈って行われます。宗教的な行事であるとともにゲーム
・福引き・大人の懇親会などもあり地域の人々の親睦行
事としての意味も大きいです。最近、行われた京都市の
調査によると、京都市の自治会・町内会の80%で地蔵
盆が行われているとのことです。もしかしたら、京都で
一番盛大な伝統行事は「祇園祭」ではなく「地蔵盆」と
言って良いかもしれません。
長く続いてきたこの行事も、少子化、子どもの興味関心
の多様化、地域行事への参加意識の低下などでいま存続
が危ぶまれています。三年前北区のとある町内会から、
地蔵盆を活性化するために大学生のパワーを借りること
は出来ないか、という相談を受け発足したのが、子ども
社会専攻「地蔵盆プロジェクト」です。以下、今年の様
子を紹介します。

まずは、地蔵盆の数珠廻し。お坊さんのお経にあわせて、
大きな数珠をみんなで廻します。この町内に来たお坊さ
んは「数珠の小さい珠はみんながお世話になってる生き
とし生けるものすべて。全部の珠にお礼を言ったら大変
なので、大きい珠が廻ってきたら、ありがとうと言いな
さい」と数珠廻しの意味をわかりやすい言葉で教えてく
れました。普通は子どもと親世代、お年寄りで行われる
ものですが、若者(大学生)たちも入っている珍しい風
景。参加した学生たちにとってはまたとない京都体験に
なったようです。

さて、年齢も興味関心も違う子ども達が自由に参加する
地蔵盆を盛り上げるのは、実はとても難しいことです。
「年齢を超えて楽しめる遊びとは?」ということで、地
蔵盆プロジェクトに向けて学生達は何日もかけて話し合
い、準備してきました。
この日も小さい子ども達は学生と紙芝居・カードゲーム
などなどで遊んでいましたが、大きい子ども達は携帯ゲ
ーム機で遊び始めました。そこで「みんなで遊べるゲー
ムをしよう!」と学生達が呼びかけて、「新聞紙タワー
づくり」「風船バレーボール」を行いました。写真は
「新聞紙タワー」です。ここまで新聞紙を高くするのは、
小さい子ども達にとってはとても難しく、大きな子ども
が小さな子どもを助ける姿が見られました。全員で盛り
上がっている様子がおわかりいただけると思います。

ゲームが終わったら、子ども達は自分の気に入ったお兄
さんお姉さんとゆっくりまったり遊びました。子ども社
会専攻は「子どもと社会」「子どもの社会」を学ぶ専攻
です。地蔵盆は京都の伝統行事を肌で感じる貴重な機会
であるだけでなく、「子どもにとって地域や地域行事は
なぜ大切なのか」「学校とは違う異年齢の子ども集団の
活動を成立させるにはどうすれば良いのか」などを学ぶ
絶好の機会となっています。


文責:子ども社会専攻 中西仁 教授

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