戦後70年と「国際平和ミュージアム」見学会 ~スポーツ社会専攻~

Posted on 2015.08.17

スポーツ社会専攻の基礎演習4クラスは、サブゼミの時間を
活用し、「立命館大学国際平和ミュージアム」(以下平和
ミュージアム)の共同見学会を実施しました。

今回訪問した平和ミュージアムは、立命館の建学の精神
「自由と清新」、そして教学理念である「平和と民主主
義」を象徴する、世界で唯一の「大学所有の平和博物館」
です。平和創造の面において大学が果たすべき社会的責
任を自覚し、平和創造の主体者を育むために設立された
という経緯があります。
ここ数年、東日本大震災や福島の原発事故の混乱が尾を
引く日本社会の中で、今後の日本の未来を左右する政治
上の動きが強く見られるようになりました。特定秘密保
護法案の制定、武器輸出三原則の改変、集団的自衛権行
使容認など、いずれも「表現の自由」と「紛争解決の手
段としての武力放棄」という日本国憲法の根本を揺がし
かねない問題です。戦後70年という節目を迎えた2015年
は、日本が第二次世界大戦への反省から、戦争放棄と平
和を理念とする日本国憲法を制定して以来辿ってきた歴
史の真価が問われる年といえます。
平和ミュージアム内には、「一五年戦争、現代の戦争及
び平和を求めて」というテーマの下、戦時中の人々の生
活や、今もなお世界中で続く紛争の戦地の様子を示す品
々が展示されています。今後の日本社会の未来を担う学
生達は今回の見学を通じて、普段なかなか知ることので
きない日本の戦争の歴史、実情、背景を学び、これから
の日本が「平和な世界」を実現するために何が必要なの
かをじっくりと考える大変貴重な機会となりました。
また、戦後70年平和祈念企画として特別に開催された、
山本宗補写真展「戦後はまだ・・・刻まれた禍害と被害の
記憶」も同時に見学しました。本展では、山本宗補氏が
取材を行った中国などアジア各地を含む、国内外70名の
戦争体験者の肖像写真と証言を展示し、出征・シベリア
抑留・空襲など、70人それぞれの様々な戦争体験から、
加害と被害が複雑に絡み合う戦争の実像に迫ります。

さらに、今回の見学では実際に戦争を体験した10名を超
えるボランティアの方々から、当時の実体験をお聞きす
る時間も設けられるなど、非常に中身の濃い時間を過ご
すことができました。

見学会に参加したスポーツ社会専攻1回生の池田希さんは、
「戦後70年という時が経っても、こうした施設を見学し
たり、戦争を体験した方々のお話を伺うことで、戦争の
ない日常を当たり前に過ごしている私たちの世代が、平
和な世界を目指し努力し続けなければならないという使
命を担っている事を実感します。このように戦争につい
て学ぶことができる環境が身近にあることを感謝しなけ
ればならないと痛感しました。」と感想を語ったように、
今回の見学は今後の学習の面においても学生たちに大き
な影響を与えたといえます。


文責:スポーツ社会専攻 権 学俊准教授


このページの上部へ