教師のたまごたちが京都・地域・子どもからディープに学ぶ~子ども社会専攻中西ゼミ「京の地蔵盆プロジェクト」~

Posted on 2015.10.26

京都の伝統行事「地蔵盆」は、8月下旬に町内のお地蔵さん
の前で子どもたちの健やかな成長を祈って行われます。
宗教的な行事であるとともに地域の人々の親睦行事として
の意味も大きいです。京都市の調査によると、京都市内の
自治会・町内会の80%で地蔵盆が行われており、2014年
6月に京都市によって「京都をつなぐ無形文化財」に選定さ
れました。長く続いてきたこの行事も、少子化、子どもの
興味関心の多様化、地域行事への参加意識の低下などで
いま存続が危ぶまれています。四年前北区のとある町内会
から、地蔵盆を活性化するために大学生のパワーを借りる
ことは出来ないか、という相談を受け発足したのが、子ども
社会専攻「京の地蔵盆プロジェクト」です。
中西ゼミでは、「京の地蔵盆プロジェクト」を、①京都に
ついて深く学ぶ ②子どもにとって地域とは何かを考える
③異年齢集団との接し方・遊び方を学ぶ という三つの目
標を立てて取り組んできています。さていったい学生達は
どのように学んだのでしょうか?参加学生の感想を紹介し
たいと思います。
(子ども社会専攻 中西仁教授)

8月22日、北区のM町の地蔵盆に参加してきました。
ところで、「地蔵盆」ってご存知ですか。
近畿地方の出身でない方にはなじみないものかもしれませ
ん。
「地蔵盆」とは、毎年8月下旬ごろに行われる伝統的な民俗
行事です。町内安全や子どもの健全育成を願う町内の行事
として古くから受け継がれ、京都をはじめ、主に近畿地方
で行われています。人間関係の希薄化が進む現在では、世
代を超えた交流を図る場としても機能し、地域コミュニテ
ィの活性化としての重要な役割も担っています。
私たち子ども社会専攻中西ゼミは、地蔵盆にやってくる子
どもたちとともにプラバン作りなどをして楽しいひと時を
過ごしました。

子どもたちの年齢層は、1歳未満の赤ちゃんから小学生高
学年の子どもたちあたりまでと幅広く、またお友達と来る
子、一人で来る子、ご両親と来る子などさまざまです。
初めて出会う子どもたちもいる中で、プラバン作りを通し
てふと子ども同士会話が生まれる場面もありました。
地蔵盆ならではの貴重な経験もさせていただきました。
それは、こちらです。

数珠回しです。
直径2,3メートルの見たこともないような大きな数珠を大人
も子供もみんなで輪になって掌の上に置き、お坊さんの読
経にあわせて回していきます。この数珠には、ところどこ
ろ大きな珠があり、その珠が自分のところへ回ってきたら、
日々の安心安全な暮らしや食べ物の命への感謝の意を込め
て、高く持ち上げ、今後の無病息災を珠に祈ります。
私には、地域コミュニティに深く関わったり、地域行事に
参加して育った経験がなく、地域の方が子どもの成長を見
守るという感覚がよくわからなかったのですが、地蔵盆で
の大人と子どもの関わりをとてもあったかいと率直に思い
ました。また、行事を通して地域が維持されていくという
のは、なんとも京都らしいと感じます。
しかし、年々、少子化問題や職住分離などから地蔵盆の簡
略化や衰退している町内が増えているのが現状です。無形
文化遺産にも指定された地蔵盆を、できる限り形を変えず
にいかに残していくかは、今後ますます課題になって来る
と思います。地蔵盆プロジェクトのような形で積極的に地
域の大学と関係を持ち維持していくのも一つの形なのかも
しれないなと思いました。
(子ども社会専攻4回生 高居真夕子)



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