メディア社会専攻企画「二十歳の無言館」上映会、監督を招いて開催

Posted on 2016.11.01

10月14日、メディア社会専攻企画として「二十歳の無言館」の上映、
ならびに製作にあたった森内康博監督を交えたティーチインが行なわ
れました。
上映は午後6時10分から、以学館3号教室の大スクリーンを使用し、
産業社会学部の学生・教職員らが鑑賞しました。

「二十歳の無言館」は、横浜国立大学附属鎌倉小学校の2007年度卒業
生有志が出演する作品です。小学校の修学旅行で、長野県上田市にあ
る戦没画学生慰霊美術館を訪問したことをきっかけとして何度か足を
運ぶ中、作品から語りかけられる何かを感じるようになる生徒たちが、
大学生になって今一度、無言館を訪れます。そこで今の自分の生き方
や現代社会に対する考え方を率直に語る様子を、丹念に収録・編集し
ています。
無言館に収蔵されているのは、日中戦争、および太平洋戦争で戦死し
た画学生の画や作品で、館長の窪島誠一郎さんが、全国の戦没画学生
の遺族を訪ね歩き、一つひとつ集めたものです。作品からは、当時を
生きた、若者の希望・不安などを感じることができます。また、小学
生の時の印象と、これからの自分の将来や未来を考える大切な時期に
ある大学生では、作品から受け取るメッセージが大きく異なっている
ことが分かります。鑑賞の経験をもとに、二十歳となった若者たちが、
人生の悩み・自分たちを追い立ててくる社会に対する葛藤・将来の夢
などを、時にはけんか腰になりながら語りつくします。



上映後の森内監督によるティーチインでは、製作の背景などについて
の解説があった後、会場の鑑賞者との間で、質疑応答が行なわれまし
た。
同じ二十歳世代の産業社会学部学生からは、「『無言館』を訪問する
ことで、忙しく、追われるように生活する現代の若者は、生きること
が未来と直結していることに気付かされた。他方、今日の平和な社会
では、現代の若者は戦争に対するリアリティがなく、イマジネーショ
ンによって考えようとしている」との指摘がありました。そのうえで、
「自分たちは、もっと人の痛みを知ることが大切で、この平和な世の
中も、突然、外からの力で断ち切られる危うさを抱えていることを
もっと自覚すべき」との発言がありました。
また、産業社会学部教員からは、「迷う現代の学生の現実がよく描か
れている。また、映画の最後でみられた、現代の若者の"自分さがし"
は、二十歳代で終わるものではなく、自分たちのあり方、・ありよう
を求め続けることは、何歳になっても続くのだ、ということが、とて
もよく描かれていた」とのコメントがありました。



立命館大学国際平和ミュージアムには、「無言館」の分館展示として、
京都館「いのちの画室(アトリエ)」があります。「二十歳の無言館」
の中で、自分の生き方と向き合う世代となった若者が、作品からさま
ざまな感じ方をしたように、産業社会学部の学生のみなさんも、直接、
作品を鑑賞して、現代社会と向き合う自分への気付きを得てもらえれ
ばと思います。

文責 BEN

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