社会の現場で学ぶ

Rits-DAISY (リッツ・デイジー)

プロジェクト概要

だれもが読みやすいデジタル図書や音声付パワーポイントを使って、読み書きが困難な子どもや日本語での学習にこまりを抱えている外国にルーツを持つ子どもに対して学習支援活動に取り組んでいます。

Rits-DAISY

外国にルーツを持つ児童の学習支援@京都市のA小学校

グラフのように、日本には日本語の習得や日本語での教科学習にこまりを抱える外国から来た児童がたくさんいます。熱心な支援活動も行われていますが、まだまだ、多くの外国にルーツを持つ児童が文化の違いや日本語の習得に苦労しています。目標は、子どもたちが希望する進路に進み夢を実現すること。

日本語指導が必要な外国人児童生徒

京都市立A小学校にも、外国から来た児童がたくさん学んでいます。Rits-DAISYは、2013年4月に、デジタル図書とiPadを活用した学習支援の試みを始めました。2013年12月21日には、こうした児童を大学に招いて、デジタル絵本を一緒に作るワークショップを行いました。日本の子どもたちと一緒に挿絵を描き、物語を朗読してもらい、その声を録音し、世界で一つのデジタル絵本を完成させました。わたしたちは、そうした先輩たちのイベントにボランティアとして参加して問題意識を育むことができました(京都新聞2014年2月5日夕刊2・3面の「@キャンパス」で、この活動は大きく取り上げられています)。

こうした経験を踏まえ、私たちは、2014年9月から、外国にルーツを持つ児童を対象に、「iPadで楽しく学ぼう」という放課後学習サポート活動に取り組みました。子どもたちをいくつかのグループに分け、1週目はAグループ2週目はBグループといったように,水曜日の放課後に順番に学習を行いました。
DAISYを利用して国語教科書の音読や、アプリを使用した漢字学習を楽しく続けました。最終日には、子どもたちと、iPadのアプリを使ったオリエンテーリングを行いました。

  • 放課後学習サポート活動 01
  • 放課後学習サポート活動 02

ディスレクシア児童への学習支援 @京都市立B小学校

視力や知力には障害がないのに、文字が読みにくかったり書きにくかったりする子どもたちがいます。ディスレクシア児童と呼ばれています。わたしたちが、2014年から入らせていただいている京都市立B小学校では、先生方と協力して、ディスレクシア児童に向けた学習支援を行っています。

単元別テストの音声付Power Pointファイル化

ディスレクシア児童にとって、教科書を読むことはたいへんなことです。そのために、DAISY版教科書が制作され、読みが困難な子どもたちに配布される仕組みができあがっています。しかし、試験の支援の必要性は、今まであまり注目されてきませんでした。ディスレクシア児童に対して試験を音声付きにした場合、この児童の成績が急激に良くなったという調査データが報告されています。こうした児童は、理解できていなかったのではなく、読みが困難なために、問題文が理解できなかったのです。先生たちも、本人も気がつかぬまま、学習努力が正当に評価されていない児童・生徒はたくさんいるのです!

試験DAISY化の大きな効果・ディスレクシア児童のケース

わたしたちは、京都市立B小学校のLD等通級指導教室担当の先生から依頼を受け、単元テストを音声付Power Pointで作成して、ディスレクシア児童に提供する支援を行い始めています。子どもたちに使いやすい形にするのは難しく、音声の区切り方、画像の配置の仕方を、日々、工夫しているところです。

保健体育教科書の音声付Power Pointファイル化

DAISY版教科書は、日本障害者リハビリテーション協会のインターネット・サイトから、読み困難な子どもたちに無償で提供されていますが、提供されている教科書は、まだ、主要科目(国語、算数、理科、社会)に限られています。わたしたちは、先生から「保健体育という科目は、命と健康に関わる教科です。こうした科目の教科書のDAISY化にも、ぜひ取り組んでほしい」と要望されました。本格的なDAISY版教科書の制作には時間がかかるため、取りあえず、図書室司書の先生と保健体育教科書の音声付Power Pointで作成して、教室で使ってもらいました。

大学生が、小学校の先生と協力して、ICT機器を使って学習困難児童を支援する。このような支援活動は、全国でもとても珍しいことだそうです。現在は数名を対象とした小規模な支援ですが、わたしたちは、ディスレクシア児童への理解が深まり、こうした新しい支援の形が全国に広がっていってくれることを期待しています。

「世界の絵本展」での多言語DAISY絵本の出展

2013年8月、Rits-DAISYは、京都市国際交流会館が開催した「世界の絵本展」に始めて参加しました。インドネシア人の子どもを主人公としたオリジナルデジタル絵本「京都が好きになったデウィ」を出展し、外国から来た子どもたちが日本の学校で生活するうえで直面しているさまざまな困難を人びとに広く伝えようとしました。 2014年8月には、「絵本にでてくる奇妙でステキな仲間たち」という絵本展の総合テーマのもと、わたしたちは、ブラジルに伝わる民話「サシ・ペレレー」を選びました。

  • 世界の絵本展フライヤー
  • サシ・ペレレー

日本には、1990年以降、多くの日系ブラジル人が住むようになりました。滋賀県では、日系ブラジル人の子どもたちが公立学校でたくさん学んでいます。そうした子どもたちの日本語や母語の学習に少しでも役立てばと考え、ポルトガル語と日本語の多言語DAISY絵本を制作しました。

この物語に出てくるサシ・ペレレーは、いたずら好きの子どもの妖怪です。彼が起こす楽しいいたずらの数々が盛り込まれた物語を、日本語とポルトガル語の文字と音声で楽しむことができます。

「世界の絵本展」に参加することによって、京都市国際交流会館のスタッフの方と、どの絵本を選ぶか、どのようなかたちで出展するかなど、事前に話し合って決めたり、デジタル絵本の挿絵を描いてもらう協力者を探したりと準備に向けて、多くの人びとと連携していくことを学びました。思いを持った人びとと繋がることによって、自分たちでは不可能だったことが可能となっていくことに驚いています。

 
  • 世界の絵本展 01
  • 世界の絵本展 02
  • 世界の絵本展 03
  • 世界の絵本展 04

右京区民話のDAISY絵本化:NPO3団体との連携活動

2014年春、NPO法人「京都の文化を映像で記録する会」は、右京区の民話5編のDVD作品を完成しました。右京区まちづくり活動「まちづくりキャンバス」に参加したわたしたちは、地域の文化を守ろうとする市民活動を知ってとても感動しました。ぜひ、これらの作品を目や耳の不自由な人びとや文字を読むのが苦手な子どもたちにも楽しんでもらおうと考え、デジタル絵本化に取り組みました。

「まちづくりキャンバス」では、友禅染めを子どもたちに伝える活動を行っているNPO法人「京・ものづくり塾 和らいふ」とも出会えました。そして、Rits-DAISY、「京都の文化を映像で記録する会」、「京・ものづくり塾 和らいふ」が連携して、魅力溢れる京都の文化を子どもたちに楽しく知ってもらうイベント企画「京の文化を楽しんでみませんか? 友禅染体験と京の民話の「読み聞かせ」会」を、右京区役所で2015年3月21日に開催しました。

DAISY絵本の制作では、NPO法人「みのりのもり劇場」の協力も得て、子どもたちの声を録音しました。また、これらの民話は、英語・中国語・タガログ語に翻訳して、外国から来られた子どもたちにも楽しんでもらえるよう取り組んでいます。

このイベント企画のなかでは、録音に協力してくれた子どもたちによる「民話の読み聞かせ会」を実施しました。子どもたちの朗読と音楽療法士の千代道子さんの手づくりハープ演奏との共演は、聴く人のこころに沁みるものでした。また、友禅染職人の方が来られ、職人の指導のもと、子どもたちが京友禅染を体験しました。このようなさまざまな魅力溢れる団体や人びととの出会によって、大学の中だけでは学べない貴重なことを学んでいます。

まちづくりキャンバス


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