社会の現場で学ぶ

時は今だプロジェクト

プロジェクト概要

岐阜県大垣市上石津時地区と時山地区を舞台に、地域の方々と交流しながら、地元にある小水力発電所再稼働の可能性を探求し、地域おこしや「人と人との関わり方や人と自然の関わり方」を学んでいます。

時は今だプロジェクトが大事にしていること

~小水力発電の可能性と課題から見る東日本大震災に資する小規模分散型エネルギー政策と持続可能な地域づくりの探求~

このプロジェクトは、岐阜県大垣市上石津町時地区と時山地区をフィールドにしています。時地区には、1921年に開設され1970年まで稼動していた出力数200kwの小水力発電プラントが丸ごと残っています。この小水力発電プラントの歴史的価値、技術的価値、経済的価値を把握し、「見える化」する作業を進めつつ、(1)リスクを最小限に抑える小規模分散型のエネルギーの地産地消の可能性と、(2)「人と人との関わり方や人と自然の関わり方」を学びながら持続可能な地域づくりの可能性を探求しています。

  • 牧田川の流れと約100年前に建設された発電所建屋。
    牧田川の流れと約100年前に建設された発電所建屋。
  • 約100年前に建設され昭和40年まで活用されていた発電設備。
    約100年前に建設され昭和40年まで活用されていた発電設備。

プロジェクト発足のきっかけや目的など

当プロジェクト発足のきっかけは2011年3月11日の福島第一原発事故です。この事故は日本においても、そして世界でもチェルノブイリに次ぐ史上最悪の原発事故です。こうした状況の中、エネルギー政策に深い関心を持った教員と学生が集まり、原子力発電の代替エネルギーとして小水力発電に可能性があると考え、2011年8月にプロジェクトが発足しました。当プロジェクトの目的は、ただ小水力発電の仕組みを学ぶだけではなく、実際に小水力発電所を稼働させる可能性を探り、中山間地域の潜在力である小規模分散型エネルギーの可能性や地域おこしの可能性を開花させることにあります。そのためには小水力発電の知識や電気の使い方を考えると共に、地域の人々との信頼関係を築きながら、小水力発電所を再稼動させるプロセスデザインや地域を活性化させるアクションプランを地域の方々と構想し、「ボヤキをヤルキに!ヤルキをウゴキに!」「小さくても成果!」を合い言葉に、活動を継続しています。

  • 地域の人たちとのワークショップ。
    地域の人たちとのワークショップ。
  • 地域のワークショップでは空家の活用法も提案。
    地域のワークショップでは空家の活用法も提案。

発足から現在までの活動状況

2011年8月のプロジェクト発足当初から、現地に赴き、地域住民の方々から時村の歴史や小水力発電所が稼働していた頃の様子、実際に発電所の管理運営に携わっていた方々へのヒアリングを行ったり、プラントの測量調査を実施したりしました。ヒアリング調査や測量調査から知り得た情報を地域の方々に還元し、小水力発電所の可能性や課題、そして地域の将来像についての意見交換を行うためのワークショップも開催しました。また、空き家を1軒、お借りし、活動の拠点とすると共に、村のお祭などの行事にも参加しながら地域の方々との交流を深めています。

さらに、時地区における活動だけでなく、実際に小水力発電を導入し「村おこし」に役立てている岐阜県郡上市石徹白地区へもフィールドワークを実施し、小水力発電が導入された経緯、導入後の活動についても関係者からお話をうかがい、交流させていただいています。また、小水力発電の可能性を探求する他の研究者の方々や技術者の方々とも交流し、現地踏査などにご参加いただきながら、時地区に残された小水力発電プラントの歴史的価値や技術的価値の「見える化」を進めています。

  • 実際に空家を借りることになった。「時の家」と名付ける。
    実際に空家を借りることになった。「時の家」と名付ける。
  • 時地区だけでなく牧田地区でも地域の将来像を検討するワークショップにファシリテーターとして参加。
    時地区だけでなく牧田地区でも地域の将来像を検討するワークショップにファシリテーターとして参加。

2012年後半からは治山治水、「山の恵」に注目した活動にも従事

2012年9月以降、時地区の山間部は大雨による土砂災害が続いています。かっては高級炭焼きの地として保全されていた山林が、1970年代前半のエネルギー革命以降、人の手が入らなくなったことが原因の1つとされています。数年前から「間伐を行い、間伐材を地域通貨と変換し、材と財を地域内で循環させる社会実験」「薪ボイラーを導入した温泉事業の社会実験」が地元の方々の努力で始まっています。いずれも地域の資源である山林の再生が目指してのことです。小水力発電を再稼働させるにしても、治山治水はその必要条件となります。私達は、2年前に始まった「治山治水に資する間伐体験と地域の良さを味わうことを融合させたグリーンツーリズム」にも積極的に参加し、また、かって炭焼きに従事されていた古老達へのヒアリングなども開始しました。

  • 岐阜県郡上市石徹白の上掛け式水車発電。
    岐阜県郡上市石徹白の上掛け式水車発電。
  • 石徹白小水力発電の「村おこし」への効果をヒアリングしている様子。
    石徹白小水力発電の「村おこし」への効果をヒアリングしている様子。
参加学生の感想
中村綾乃(現代社会専攻)
このプロジェクトは、大講義の授業では経験できないことが主体的に経験できて、とても刺激的で興味深いです。大講義では教員の話を座って学ぶことが中心になりますが、学生自らが主体的に情報を集め、学び合い、実際にフィールドワークに出て地域の方々と交流し、学んだことを活用しながら次の展開を構想します。つまり、「学んだことを活用し実践した後、そこからまた新たな学びと実践のサイクルが始まる」という具合に、様々なことが新鮮で、予期もしないようなことが起き、本当に刺激的なアクティブ・ラーニングだと感じています。
中雅喜(現代社会専攻)
このプロジェクトに携わる中で、通常の講義ではできない多くの経験をすることができました。フィールドワークやそれに伴う地域の方々との交流、そこから見出せる新しい発想など、研究活動の内容は変化に富み、実に新鮮です。また、学生がお互いに議論し合い、知識の点からも、コミュニケーション能力の点からも、さらなる向上を目指せるという点で、非常に刺激的な学びであると感じています。
石原宏樹(現代社会専攻)
私はこのプロジェクトを通して「すべての人が私たちの先生だ」と気づかされました。私たちを温かく迎えてくださる地域の方々、まちづくりや小水力発電の普及活動に情熱を注ぐ方々との多くの出会いから新しい発見や感動を経験し、大学の外で学ぶ面白さと醍醐味を味わいました。プロジェクトの仲間たちとの真剣な議論も、気付きをさらに深めることになりました。こうした経験が「もっといろんなことを学びたい!」という新たな好奇心を育み、私の学ぶ姿勢そのものを変えてくれたのだと思います。

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