メディア社会専攻
瓜生 吉則 教授

メディアを通じて現代社会のこと、自分のことを広く、深く知る
「大衆文化」をメディアの視点から考えると、現代社会が見えてくる

最近、「クール・ジャパン」という言葉で、日本の「大衆文化」としてのマンガやアニメ、ゲームなどを海外に「輸出」しようという動きがあります。しかし日本で流行っているものを海外に持って行けば、そのまま受け入れられるというような単純な話ではありません。まずはなぜ、日本でその「大衆文化」が育ったのかをきちんと考える必要があるし、「輸出」先の国についても知らなければなりません。英語の“culture”に「栽培、耕作」という意味があるように、「文化」のことを考えるには、その土壌への理解が重要なのです。

「大衆文化」は、英語で“popular culture”や“mass culture”と言います。popularは「人気のある/世間一般の」、massは「大量の/集団的な」といった意味ですから、特殊な/少数の人々ではなく、「フツー」の人々の文化、ということです。

19世紀後半から20世紀にかけて、新聞や雑誌、ラジオ、映画、テレビといったマス・メディアが発達したことによって、連載小説やジャズ、ロックといったポピュラー音楽、テレビのバラエティ番組など、さまざまな「大衆文化」が生まれました。つまり「大衆文化」は「メディア文化」でもあるわけです。人々やモノの「あいだ」で情報を媒介する「メディア」が「文化」の形成にとってどのような作用をしているのか、また人々は「メディア」を通じてどのような「文化」を作り出しているのか。私は研究を通じてそれを探究するとともに、講義や演習を通じて学生とも一緒になって考えています。流行や人々の嗜好のあり方(これも広い意味での「文化」です)をメディアによる情報流通(コミュニケーション)の観点から考えると、現代社会がどのように形づくられているかも明らかになってきます。

メディアと社会の関係を掘り下げ、知識を深く・広く身につける

「メディア社会専攻」という名前から皆さんは何を想像されるでしょうか。「メディアについて学ぶ」というと、CMの企画を立てたり番組を作るための映像を撮影したりといったイメージを持つかもしれません。しかし、いい企画を立てたり、おもしろい映像を撮影したりするための「技術(スキル)」は、メディアそのものの特性や、メディアと社会との関係についての知識や考察があって初めて活きるものです。

メディア社会専攻には、社会との関係の中でメディアについて幅広く、そして深く学ぶ機会がたくさんあります。アカデミックな研究に基づいた講義・演習はもちろん、マスコミやエンターテインメント産業の現場で働く人をゲストに迎えたり、学生と教員が一緒に企画を進めるなど学び方は実に多様です。

市民メディア、メディア社会、メディア文化の3領域で専門性を深める

本専攻では「市民メディア」「メディア社会」「メディア文化」の3つの領域で専門性を深めていきます。「市民メディア」領域では、ジャーナリズムなどの「情報発信」と読者・視聴者の「情報受信・解釈」との相互関係について学びます。また「メディア社会」領域では、社会の中でのメディアという観点から情報産業や広告などについて学びます。さらに「メディア文化」領域では、映画や音楽、マンガなど、エンターテインメントや芸術などについてメディアの観点から学びます。

専門的な学びと同じくらい重視しているのは、他専攻の授業を含めた幅広い分野についても知見を広げること。「メディア」が私たちのコミュニケーションを媒介しているものである以上、すべての領域が密接に連関しているからです。幅広い領域にアプローチしてこそ、社会の中でのメディアのあり方を広く、深く学ぶことができると私は考えています。

メディアと社会の関わりを俯瞰できる“メディア・リテラシー”を習得してほしい

メディア社会専攻の学生には、情報機器を使いこなすことだけではなく、そこで行われているコミュニケーションを相対化し、自分とメディアと社会との関わり合いについて俯瞰的に考察できる力としての“メディア・リテラシー”を習得してもらいたい。そのため1回生に“メディア・リテラシー”について学ぶ「現代とメディア」という授業を用意しています。「(マス)メディアからの情報にダマされないこと」といった浅薄な理解も見られますが、“メディア・リテラシー”とはもっと深い、本専攻での学びにとって土台となる教養なのです。

メディアはいまや私たちの生活に欠かせないものとなっています。皆さんもテレビや新聞でニュースを知り、ケータイ・スマホで友人とコミュニケーションをとっていることでしょう。このように日常的に利用しているメディアがどのような産業構造・社会の仕組みの中で機能しているのか、そのメディアは私たちのコミュニケーションにどのように作用しているのか、そこでどんな文化が生み出されているのか。学びのアプローチは多岐にわたります。

メディアのこと、社会のこと、そして自分自身のことをより広く・深く知りたいと思っている皆さんとキャンパスで出会えることを楽しみにしています。

瓜生 吉則 教授

瓜生吉則 准教授
専門分野
メディア論、文化社会学
研究テーマ
近現代日本社会における「大衆文化」のメディア史/論
担当科目(2012年度)
メディア文化論、マンガ文化論など
詳しいプロフィール
立命館大学研究者データベース 瓜生 吉則
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