コラム

体験を元に考える

 今年度、4月に入ってからの体験は、誰にとっても初めてのことで、そこで皆、それぞれに、いろんな体験をされているのではないかと思います。そういう時の、一般的な反応や、対処法など、このサポートルームのサイトでも、皆さんのヒントになるような情報を載せていますので、どうぞそちらもご覧ください。

さて、宣伝はこのくらいにして、本日のコラムでは、また違う角度からの、コロナをめぐる体験について、徒然なるままに書いてみたいと思います。

外出の自粛が求められるようになってしばらくしてから、“コロナ疲れ”という言葉をよく聞くようになりました。朝テレビをつけると、どの番組でもコロナについてゲストを交えて議論を繰り広げています。どれだけ大変な状況であるのか、どれだけ今、耐えねばならぬのか…。私の場合、かえってテレビを見ていることで、どんよりとした暗い気持ちになるので、普段より格段に在宅時間は増えている一方で、在宅中にテレビをつけている割合が減りました。

そんな中、早くこの状況が終わって日常に戻らないかなと思っている自分は、確かにいました。何よりもまず、サポートルームでお会いしていた皆さんの様子が気になります。楽しみにしていたドラマも、放送開始は未定のまま。何をしていても、“普段とは違う”違和感は、心の中にゆっくりと溜まっていきます。

そういう中で、“変わらない”人々とオンラインで繋がる体験は、とても助けになり、自分が人とのかかわりの中で生かされていることを改めて実感することにもなりました。

一方で、それとは違う体験もあったように思います。コロナをめぐる生活の変化によって普段の密な繋がりが薄れざるを得ない中で、少しだけ、自分のスペースがとりやすくなったという側面もあったのです。

振り返ってみると、これまでがいかにいろんなものに追われる日常だったのか、ということなのかもしれません。参加する予定だった勉強会が中止になったことをはじめ、そういったものが、一旦全て棚上げになった時、立ち止まって考える時間が少しできました。

総括すると、コロナ禍をめぐる体験は、私にとって、人と繋がりを保つことの大切さと、自分一人の心のスペースを確保することの大切さを教えてくれているのではないかと思います。

自分のスぺースができて楽になった部分の私は、少しずついろんなものが再開していくことに少し戸惑いを感じていたりもします。もしかしたら、このコラムを読んでいる人の中にも、再び動き始めた社会の流れに、取り残されていくような気持ちを持っている人がいるかもしれません。

なによりもまず、オンライン授業が始まった学生さんの中には、突然レポートの締め切りが怒涛のように押し寄せてきて、戸惑っている方もいるのではないでしょうか。

ある出来事が起こると、人それぞれに気持ちが動きます。その背景にはさまざまな体験があるでしょう。どういう反応をするのが正解であるとか、答えはありません。いろんな方とカウンセリングでお会いする中で感じるのは、私がコロナをめぐってしている体験のように、ひとつの出来事がポジティブな側面とネガティブな側面両方を持っていることも少なくはないということです。

もしかしたら、よく分からないモヤモヤに襲われている人もいるかもしれません。そういう人にとっては、自分の体験を誰かと一緒に考え、“腑に落ちる”ようにすることが、助けになることもあります。

さて、皆さんは、今何を感じているでしょうか。  

学生サポートルーム カウンセラー