TANQ「?」があるなら実験だ-立命館大学理系スペシャルサイト

2018.09.28

ダイエットには朝ごはんが欠かせない?食事と筋肉の関係を調査!

「痩せたいから、ダイエットのために朝ごはんを食べない!」「朝ごはんを食べるより、少しでも長く寝ていたい…」
そんな人、まわりにいませんか? 立命館大学スポーツ健康科学部の藤田研究室に所属する安田純さんは、「朝食を食べないことで、筋肉量にどんな変化が起こるか」を270人の学生を対象に調査。朝食と筋肉には相互関係があることがわかったと言います。慌ただしい朝、ついつい軽んじてしまいがちな朝ごはんの大切さを教えてもらいました!

朝ごはんを抜くと、筋肉も痩せる!?

▲スポーツ健康科学部4回生の岸さん

安田さん、ちょっと質問があるんですけど、いいですか?
いいよ、どうしたの?
私の友だちが最近ダイエットしてるんですけど、「体重を減らしたいから、朝食を食べないようにしてる」って言うんです
それはちょっと良くないね~
ですよね! 私は毎朝、必ず朝食をとるタイプなんですけど、ダイエットをするならどっちが効果的なんだろう…、なんて思っちゃって

▲スポーツ健康科学研究科博士課程2年の安田さん

朝食を食べなければ、体重は確かに減ると思うよ。でも大きな問題があって、長い間朝食を食べずにいると、筋肉量が減ってしまう可能性があるんだ
え、筋肉が! 脂肪が落ちるだけじゃないんですか
そうなんだよ。ちょうど最近、「朝食の摂取状況と筋肉の関係」についての研究を行ったんだけど、朝食を食べるかどうかと、個人の筋肉量には、はっきりと相関関係があることがわかったんだ

270人の学生を対象に調査!その結果は…

どんな方法で調べたんですか?
まずはじめに、270人の立命館の学生に協力してもらって、過去1ヶ月間の朝食の摂取状況をアンケートに書いてもらった。野菜ジュースだけとか、栄養ゼリーみたいなものはカウントせず、きちんとした朝食を、どれくらいの頻度でとっているか調査したんだ
ふむふむ
次に、その人たち一人一人について、大学にあるDXA(デキサ)という名の装置で、「除脂肪量」を測ってみた

▲これがDXA(デキサ)。X線を使って体組成を調べることができる

除脂肪量って体の組織から脂肪分を除いた、骨や筋肉・内臓の重さのことですよね
その通り。このDXAはX線を使って、全身の骨密度や筋肉量を測れる装置なんだ。本研究では、内臓を含まない四肢の除脂肪量を測定した。さらに、岸さんと僕は体格が違う分、もちろん除脂肪量も僕の方が多い。その個人間の体格差を考慮するために、体重で割った「除脂肪率」というものをメインの結果として算出しているんだ。その結果、次のグラフのように、朝食を食べている頻度によって、明白に除脂肪量に差があることがわかった

週に0~3回しか朝食をとらない人、4~6回の人、毎日(7回)食べる人で、こんなに筋肉量の差があるんですね!
実験協力者は、体育会に所属する学生を除いた一般学生で、年齢や性別、一人暮らしか家族と一緒か、睡眠の質、身体活動量などの影響によって差が出ないように、統計処理を行っている。かなり正確に、朝食と筋肉の相関関係が示せているはずだよ

筋肉にとって理想の朝ごはんとは?

それにしても、朝食を食べないことで、なぜ筋肉が減ってしまうんでしょうか
ひとつは一日の摂取カロリー自体が、朝食を食べている人に比べて少ないことが理由と考えられる。前の晩の19時にご飯を食べ終えて、次の日のお昼12時まで何も食べなかったら、合計17時間も「絶食」していることになるよね
確かにそうですね。
それだけ長い時間、何も食べないことで脂肪だけでなく筋肉も代謝のエネルギーとして使われてしまうことが考えられるね。それに朝食を食べない人は、タンパク質の摂取量も少なくなるから、筋肉を合成する材料自体が足りなくなる
なるほど。健康な人は、どれくらいのタンパク質を一回の食事からとるのが望ましいんですか?

先行研究では、体重1キロあたり0.24グラムのタンパク質を、1回の食事で取ったときに、もっともタンパク質の合成量が高まるという報告がある。体重60キロの人だったら、1食で14.4グラムだね。ただしその実験では、吸収率の高い牛乳由来のホエイプロテインや卵由来のエッグプロテインなどでグラム数を出しているから、単純に食事に含まれるタンパク質の量とは比較できないけれど
朝からしっかりとした食事をとって、しかもタンパク質を摂取することが、筋肉を減らさないためには必要なんですね。ちなみに私は今朝、カニカマとカイワレ大根にチーズとマヨネーズを載せたトーストと、ヨーグルトの朝食を食べてきました!
前半はお酒のおつまみみたいだけど、いいと思うよ(笑)。ちなみに、僕が考える筋肉のために理想的な朝食のメニューは、こんな感じかな。どれもコンビニで買えるメニューだね

▲安田さんおすすめの朝食

わあ、「ザ・和食」って感じですね! 美味しそう!
鮭の塩焼きと卵焼きで、良質なタンパク質をとるのがポイントだね。魚の油には人間が合成できないEPAやDHAといった必須脂肪酸も豊富に含まれている。それに加えて、ひじきの煮物で食物繊維、ごはんでエネルギー源になる糖質もしっかり摂取しておくことで、一日を元気に過ごせると思うよ
友だちにも朝食抜きはダイエットに良くないよ、と伝えます

「痩せるために食べない」をなくしたい

朝食抜きで痩せても筋肉が減るから、基礎代謝も落ちて、リバウンドしやすくなる。基礎代謝は、何も運動しなくても生きているだけで使われるエネルギーだから、それを高めておくことがダイエットにはとても重要なんだ。最近は「フィットネスモデル」と呼ばれる、しっかり筋肉がついたモデルさんが、健康的で美しいと世界的に人気になっているよね。それはすごく良いことで、「痩せるために食べない」という考えをこの世から無くしていくことが僕の研究の目標のひとつなんだ
「痩せたいから食べない」って人、友だちにも多いです。あと「食事の代わりにサプリを飲んでるから、栄養は大丈夫」って話もよく聞きます
もともとサプリメントは英語で「補足」という意味だから、食事を代替できるものではないんだ。サプリの代表格のプロテインも、しっかりと三回の食事でタンパク質をとって、その上で必要に応じて摂取するぐらいで十分なんだよね。僕は「管理栄養士」の資格を持っていて、自分自身、栄養学の知識を活かしながら筋力トレーニングを続けている。だからこそ、ふだんの食事の大切さが身にしみてわかるんだ

私は「人がどうやって健康的に生きていくか」について昔から興味があって、この学部に入りました。安田さんの朝食に関する研究は、ダイエットをする人や体を鍛えて筋肉をつけたい人だけでなく、ふつうの人が健康に生きるためにも役立ちそうですね
そのとおり。1日3回ご飯を食べるということは、1年で1095食になる。つまり1年間でそれだけの数、自分の健康をより良くする機会があるということなんだ。スポーツに取り組む人にも、競技の練習だけでなく、もっともっと食事の大切さに目を向けてもらえるよう、研究を続けていこうと思っている
私はこれから「睡眠と食事の関係」というテーマで卒業論文を書こうと思っているのですが、先輩の研究とともに、少しでも人々の健康の役に立てればと思っています

すべての人の健康に役立つ研究

▲安田さん、岸さんの指導に当たる藤田教授

「筋肉をいかに効率よく肥大化させるか」は、私たちの研究室の重要な研究テーマの一つです。筋肉を大きくするには、運動と栄養(食事)の両方が欠かせません。なぜ筋肉をテーマにするかといえば、十分な量の筋肉を維持することは、若者やスポーツマンだけでなく、高齢者をふくめすべての人が健康に生きる上で欠かせないからです。

老化とともに起こる筋量の減少と機能の低下を「サルコペニア」と呼びます。サルコペニアが進むと、糖尿病や心臓病などの発症リスクが高まり、認知症になる確率も上がります。寿命と筋肉量にも明白な相関があることもわかっています。私たちは、筋肥大に有効な運動や食事内容を研究するとともに、動物を使った研究により、遺伝子レベルでサルコペニアを防ぐ方法も探っています。

食事や運動は、自分自身を「被験者」として研究することができる、他の学問領域に比べて「イメージがしやすい」テーマです。またその研究結果は、人々の健康やスポーツ成績の向上など、多くの社会的価値を生み出します。学問を通じて「問題解決力」を身につけ、社会に還元したいという人に、ぜひこの学部に来てもらえたらと思います。
立命館大学 スポーツ健康科学部 立命館大学研究活動報 RADIANT

おすすめ記事