○宋詞研究会設立の言葉


 このたび有志の者数名が謀り、宋詞研究会を設立することとなりました。
 御承知の通り、「漢文唐詩宋詞元曲」という言葉もありますように、詞は宋代を代表する文学として、極めて重要な中国韻文の一ジャンルです。その作品は、晩唐五代両宋はもちろん、元明代にも続き、さらに清代には再び活況を呈して、近現代に及んでいます。詞は、歴代中国文人の創作活動や教養にとって、欠くべからざる分野として確固たる地歩を占めているものと言えましょう。その研究についても、中国では続々と新たな成果が生み出され、日本でも多くのすぐれた業績が残されております。ただなお日本では、詩や小説等と比べ研究者数も少なく、一般にもあまり知られていないのが現状です。このような状況を改善するには、研究者の増加と研究の質の向上とが肝要であることは言うまでもありません。
 近年、日本の中国学界でも各時代やジャンルごとに多くの学会・研究会が設立、開催され、活発に研究が行われております。そこで我々は、詞においても互いの交流や意見交換などを通して切磋琢磨できる場の必要性を痛感し、ここに宋詞研究会を設立することといたしました。「宋詞」を冠してはおりますが、最も隆盛した時代として宋を代表させたのみで、もとより唐五代、元明清、近現代、さらには域外の作品や理論等も研究対象とします。また、詞を理解するためには、当然のことながら、詩や楽府、散曲など、他の韻文ジャンルとの関わりも視野に入れておかねばならないと考えております。
 この宋詞研究会の活動によって、多くの方々が詞に関心を持ってくださり、少しでも研究の活性化と質の向上に効果を挙げることができましたならば、有志一同望外の幸せであります。皆様の御指導と御支援を心からお願い申し上げる次第です。

2003年6月30日
発起人一同