<取材報告>

〜神谷氏へのインタビュー〜




AAP:

まず一点目に質問なんですけれども、これから求める新しい人材というものは、具体的にどういった人達が求められているのでしょうか?

神谷 :

どんな時代でも同じだと思うんですけども、やはりナイーブな感性を持った人、これを求めていると思いますね。

AAP:

ナイーブな感性、ですか。また、ここ数年で声優をされている方を取り巻く環境、声優という職業を取り巻く環境というのが随分と変わってきていると思うんですよ。今まで通りのアフレコ、ナレーションとかアニメーション、洋画の吹き替えなどを越えて、アイドル的な活動をしたりと、かなり変化してきたと思うんですけれども、そういう環境の変化に対して神谷さんご自身はどういったお考えをお持ちでしょうか?

神谷 :

僕はね、環境の変化というのは今に始まった事じゃないと思うんですね。むしろ、僕が若い頃にそれが始まってるんですね。で、幾つかのピークを越えて、今の女性声優アイドルブームというのが来てると思うんですけれども、まあ、来るべくして来たというか。また逆にいえば、そういう道を通ってきた先輩としてとても嬉しいし、ぜひ良い意味でそれを活用し、なおかつ世界を広げていこうという人には、それを活用して世界を広げていってもらいたいし。また、林原めぐみちゃんみたいに「私は声優」ということ、つまりフランチャイズをきちっと押さえた上で、活動している人もいるんですね。ですから、まあいろいろな人がいて良いと思いますけれども、そうやってたくさんの方に注目、支持されるということは素晴らしいことだと思うので、どちらにしてもがんばって欲しいと思いますし、先輩としては大応援をしていく、というところですかね。

AAP:

今回、こういうワークショップの講師として参加されて、実際に新人の方を見て先輩として彼らにこれからどのような活躍を期待されていらっしゃるでしょうか?

神谷 :

約二倍という関門をくぐって参加された皆さんですから、やはりそれだけ良いものを持っていると思うんですね。また一般の方もいらっしゃいますけれども、半分くらいの方は今声優の養成コースに通われているということで、なるほどなと思うような実力を皆さん持っていました。ですから、なお一層の研鑽を積んで、ぜひ一刻も早く僕らの世界に入って来て、一緒にお仕事できれば良いなと思います。どちらにしても非常に上昇志向を持ったパワフルな皆さんですから、僕はこういう時に思うんですけれども、そういう人達の力もまた、僕自身の力として、一緒にね、やはり歩んでいけたら非常に嬉しいな、という気持ちがありますね。ですから、最終的にはやはり一人でも多くの参加者の皆さんが、声優という職業の、とりあえず入り口にたどり着いて、後はホントに努力をして立派な声優さんになって欲しいなという風に思います。

AAP:

今日の昼間に、アニメーション神戸フォーラムがありまして、そこであの『少女革命ウテナ』の監督をされた幾原邦彦監督がゲストとして来ていらっしゃいました。その場で、これから期待する人材にとって一番重要なものは何か、という話になった時に、「やはりパーソナリティでしょう」、という話をなされていらっしゃいました。ところで、今回の選考は神谷さんご自身もなされていらっしゃるんですよね。

神谷 :

そうですね。

AAP:

その時にはやはり、技術的な面をさておき、声に個性がある、とかそういう基準はあったんでしょうか?

神谷 :

ありませんね。声に個性があるということは逆にいえば、出来るキャラクターをスポイルするという事ですから、やはり基本的には、明るく、元気で、素直な人というのを基準に選ばせていただきました。それに対しては、間違いなかったと思いますね。(自分の)世界はこれから創り上げていくんですね。今はまだ素材ですから、皆さん。で、その素材をいかに活かすか。ですから、個々のパーソナリティーというのが自分では解らない人達ですから、それをぜひ見つけて、それを大いに発揮して欲しいという風に思いますけどね。

AAP:

実際に講師として参加されて、参加された二十人の生徒さんをご覧になられて、「実力があるな」とか、「これから伸びるな」、というような、そういった手応えみたいなものは感じられましたか?

神谷 :

そうですね、半数ぐらいの人はなかなか良いものを持ってるし、できればそれを素直に伸ばして欲しいな、という風に思いますね。

AAP:

なるほど。どうもありがとうございました。

神谷 :

いえいえ、どういたしまして。


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