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第3週 知識資源管理技術の基礎(2)
〜セマンティックWebツール実習〜


1. セマンティックWebの復習

セマンティックWebの考え方では、Web上のリソースの意味的な関係性を表現するため、

という、3つの階層を用いる。

出典:曽根原、岸上、赤植(2006)

2. セマンティックWebツール

2.1 概要

現在、データ共有を効率化するため、MS Office などの多くのアプリケーションソフトウェアが、XML データ形式でのデータの読み書きをサポートしている。また、直接XML でリソース記述をする作業を支援する「XMLエディタ」と呼ばれるソフトウェアも利用できるようになっている。

しかし、項目数が多くなった場合、メタデータやオントロジーのレベルまで、直接XML で記述することは困難である。

「セマンティックWebツール」は、RDFなどによるメタデータ記述や、OWLなどによるオントロジー記述の作業を効率良く行うためのソフトウェアである。現在、以下のような無料ソフトウェアが利用可能となっている。

メタデータ / RDF

オントロジー / OWL

2.2 セマンティックWebツール実習

以下では、MR3を用いた RDF 作成実習を通して、セマンティックWeb(特にコンテンツ記述)の基礎知識について学ぶ。

(1) 準備

1. 以下のリンクから、MR3(圧縮ファイル)をダウンロードする。

2. デスクトップの「一時保存用フォルダ」(=D:\Temp)に保存する。

3. 保存したファイルをダブルクリックし、ファイルを展開する。

4. 展開されたフォルダ(MR3_1_0RC5)を開く。

5. run.bat をダブルクリックする。

6. 「ファイル」→「新規」を選択する。

(2) 名前空間の指定

ここでの「名前空間」とは、XML のレベルで、要素やプロパティの名前が重複しないようにするための仕組みである。「接頭辞」(または「修飾子」)と、名前空間を表すアドレスによって定義される。

1. 「ウィンドウ→「名前空間テーブルを表示」を選択する。

2. 以下のように入力する。

3. 「追加」をクリックする。

4. 以下のように入力する。

5. 「追加」をクリックする。

6. 右上の×印、または「取消し」をクリックする。

(3) クラスの定義

ここでの「クラス」とは、リソースの「型」を表す名称である。

1. クラスエディタ上で、右クリック。

2. 「クラスの挿入」を選ぶ。

3. 以下の通り入力する。

4. 「了解」をクリックする。クラスエディタに contact:Person という文字が表示される。

(4) プロパティの定義

「プロパティ」は、同じクラスに属するリソースが共通に持つ属性を表す。

1. プロパティエディタ上で右クリック。

2. 「プロパティの挿入」を選ぶ。

3. 以下の通り入力する。

4. 「了解」をクリックする。

5. 上と同様の方法で、以下の2つのプロパティを定義する。

(5) RDF リソースの定義

「RDFリソース」は、リソースの実体(オブジェクト指向の「インスタンス」に相当)のことである。RDFリソースは、URI (Uniform Resource Identifier) によって特定される。

1. RDFエディタ上で右クリック。

2. 「RDFリソースの挿入」を選ぶ。

3. 以下の通り入力する。

4. 「了解」をクリックする。

(6) RDF リテラルの定義

「RDFリテラル」は、URI (Uniform Resource Identifier) と結び付けられていない、単なる文字列を表す。

1. RDFエディタ上で右クリック。

2. 「リテラルの挿入」を選ぶ。

3. リテラル欄に、自分の氏名を入力する。

4. RDFエディタ上で右クリック。

5. 「接続モード」を選ぶ。

6. プロパティエディタ上で、contact:fullName をクリック。

7. rits:me から自分の氏名まで、ドラッグする。

8. 上の 1〜7の方法に従って、contact:personTitle と contact:mailbox のリテラルを定義する。

9. 以下のようなRDF コンテンツが定義される。

(7) RDF の保存

1. 「ファイル」→「エキスポート」を選ぶ。

2. 以下の通り設定する。

3. 「↑ファイル」をクリックする。

4. 一時保存用フォルダ(= D:\Temp)を選ぶ。

5. ファイル名を入力し、ファイルタイプを「RDF(S)」に変更する。

6. 「保存」を選ぶ。

(8) 結果の確認

1. 上で保存した RDF を、テキストエディタ(秀丸エディタ、メモ帳など)で開く。

2. RDF のテキスト部分をドラッグ選択&コピーをする。

3. 以下のツールのテキストフィールドをクリアした後、上のテキストを貼り付ける。

4. 「グラフ描画」をクリックし、結果を確認する。


第2部:事例紹介


  1. 神崎著、セマンティック・ウェブのためのRDF/OWL入門、森北出版
  2. 斎藤・荻野監、セマンティックWeb入門、オーム社
  3. 曽根原・岸上・赤植著、メタデータ技術とセマンティックウェブ、電機大出版局
  4. 溝口編、オントロジー構築入門、オーム社

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Mitsuyuki Inaba (inabam@sps.ritsumei.ac.jp)
Last modified: Mon Jul 13 12:53:51 JST 2009